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短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
(8)社長業はじめました!
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職員宿舎

職員採用時の最終試験会場と、採用後の職員たちの仕事部屋と宿舎をどうするか?

みーちゃんは、悩んだ。


本能といえる「縄張りを守りたい」意識と表裏をなす「乗っ取られることの不安」は、見知らぬ人間を 自分のエリアに入れることへの警戒心をつのらせる。


が、しかし 機密保持は、なにも自分が雇った人間をサインで縛ることだけで成し遂げられるわけではない。


盗聴防止その他もろもろの産業スパイ対策に加え、

従業員に安心して働き続けることのできる環境(=いたずらに不満や不安をあおったり発生させない職場環境・生活環境)の提供と表裏をなす、適切な社内管理・社員管理も必要である。


そして 経営者としては、機密保持にかかる経費コスト負担も考えなくてはならない。



指先で、コツコツと机をたたきながら、ミーちゃんは考え込んだ。


 子供のころ、考え事をしながら鉛筆で机をたたいていたら

鉛筆の中の芯が折れてしまって、鉛筆を削っても削っても

削った先の芯が折れた状態で出てきて 往生おうじょうした。


 そこで イライラするときは、自分の指先で机をトントンしながら 考えをまとめることにした。


 木の机だと 実のところ音がたたず叩き甲斐がないので 一時期 憂さ晴らしの方法が見つからず困ったのだが

就職してから、スチールの事務用机だと、いい音がすることに気が付いた。


 それでも 職場では 周囲の迷惑になるので じっと我慢をしていたが、

今や ダンジョンマスターとして 己の専用作業部屋を持つ身なので、誰に気兼ねすることもなく 机コツコツできる。


 おかげで 良い案が浮かんだ♡


 そうだ! 以前馬術競技会関係者のために用意した区画を使おう!


♬ ♬

以前馬術競技会を開いたときに用意した厩舎きゅうしゃ厩務員きゅうむいん用宿舎などの建物は、

その後 一部を みーちゃんダンジョンの発展にあわせて、他のエリアに移築して活用した。


しかし 馬や厩務員たちの宿泊エリアとして用意した場所そのものは、目下 客たちが入り込まないように閉鎖したAゾーンの中に繰り入れ 休眠させている。


そこは、当時、競技会に出場する馬の安全確保と健康維持のために、馬術協会の要請で厳重な保安体制と快適な自然環境が得られるように設計した特別区画だった。


なので、競技会終了後、一般客向けの開放区画に変更するのがもったいないと思い、Aゾーン内の予備区画として残していたのだった。


あそこなら、ダンジョン到着ゲートのあるお客様広場の中でも 特別なお客様専用の閉鎖ゲートから直通で移動できる特別区画として利用できる。

 ならば 職員用宿舎と 作業部屋を設置するのに絶好の場所ではないか!


しかも 最終テストの場所として使えば、ダンジョン環境への適応度の判定にも役立つ!


というわけで、当時の厩舎エリア改め、「試験会場」として整備して、25人の最終候補者たちのテスト会場として使用した。


そのときは、「特別に借り切った施設だ」と受験者たちに説明した。


「機密保護」のために、外部と試験会場との行き来の際には眠ってもらった。


滞在中の食事は、こちらで用意した食材を使って自分たちで調理~後片付けをさせた。


クリーニングサービスは 毎日ミーちゃんとダンサンが交代で受け渡しをしたが

それ以外の家事・身の回りのことはすべて自分たちでやらせた。


 それでも 脱落者が出なかったことに ダンサンは感心した。

 もちろん閉鎖空間での生活適応度の判定はしっかりと下しましたけどね、ミーちゃんは。


さらに グループディスカッションのアイスブレーキング(開始時の雰囲気をほぐすための軽い課題)のお題の一つとして、「従業員宿舎・缶詰作業場の理想と最低ライン」も入れておいた。


缶詰作業場というのは、突貫作業を行なう場所という意味であって、

作るのは缶詰ではなく「システム・プログラム」の(たぐい)である。←念の為の補足


その最終選考時に受験者から出た意見や感情なども考慮して、職員採用選考終了後、

当該エリアを、人間用職員宿舎や作業場オフィスとして再度整備しなおした。


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