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短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
(8)社長業はじめました!
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みーちゃんは、最終面接に残った25人に対し、試験課題に対する出来栄えに応じた報奨金を支払った。


その後 各自の職務能力・ライフスタイル・性格に合わせて 個別に契約を()わした。


◇ ◇

経営者が 臨時に新規採用を考え、失敗するパターンの中には、次の二つのケースがあるのではなかろうか。


1.忙しいから とりあえず人を雇おう

   忙しくなった日常業務の点検もなし、

   どういう人材が必要かという深い考えもなく

   とりあえず労働力確保に走る。


   こういう経営者に雇われた労働者こそ災難だ。


   労働者は、涙を呑んでブラック職場に耐え、

   転職率が高いと社長はぼやき、

   古参社員は いじめに走るかも。


 俗にいう3K職場というのは、「就職難で、人を人とも思わず使い捨て労働力扱いにできた『人余ひとあまりり』時代」から、

「衣食住に困らぬ最低限の生活環境が保証された『豊かな社会』時代」への適応を怠けた経営者が生み出したものであり、

その職種そのものが3Kだったわけではない←ココ大事


 言い換えるなら 個人事業者は 自分が頑張ればそれがそのまま自分の儲けになり、己の事業欲も満たされる。

 でも 人を雇えば、雇用者としての責任が生じる、つまり社長としての社会的責務が生じるという己の立場わきまえない人間が、「形だけの社長(=雇用者)」になってしまったことから、3K職場が生じたのである。



2.事業拡大の夢をもって採用増員に走り、

  でも事業計画の穴に気づいた新入社員に逃げられたり、

  古参社員からあきれられ、

  時には新採用者に余計な入れ知恵をされて、

  社長の奮闘は空回りして終わり。


結局 古参社員の中から さぼり魔、時には 暇つぶしにいじめをやるやつが発生して、「いやな職場」として事業が続いていく。


みーちゃんは 一介の従業員から

突然ダンジョンマスターという個人事業主となり、

今後は 複数の社員を雇用する「社長」となるわけだから、

職員採用やら人間の配置やらに 大いに悩んだ。


とりあえず 新規採用において、タイプ1の失敗はしないでおこうと心がけた。


そして 心の中では タイプ2の失敗をしないように、ダンサンが相談相手になってくれたらいいのにという期待も生じつつあった。


 でもそれは 彼に対する甘えになるかも?

 それともそんなことを考えることそのものが 彼への信頼感の欠如なのかな?

 にしても 彼の立場が 思ったよりも複雑だったなぁと

 心が揺らぐ思いもあった。


一方、ダンジョンマスターをサポートするダンサンは、

 大企業の管理職ではあったが、

 そして大企業の役員であり、社長候補でもあったが、

 自分の資本で会社経営を行う社長経験はなかった。


 (注:俗に大企業の社長を「雇われ社長」と呼ぶのは、

    自分の資本で会社経営する社長と「雇われ社長」とでは

    社長業の責任の及ぶ範囲・気苦労のありようが本質的に異なるからである)


また、ダンサンは、ダンジョンだけでなく、ミーちゃんも経営者としても成長を続けていると 彼女の手腕に対する期待が高まりつつあった。


ミーちゃんの人物査定という公安系のお仕事は、ダンジョン内に引っ越してきた最初の1か月で調査報告書を提出したのを最後に終了していた。


むしろ 今は、マスターに近い存在として、自分も監視対象になったのだろうなと

社長がミーちゃんにかけた言葉から察していた。



みーちゃんに、社長としての手腕も期待するダンサン

 vs

「社長業」という未知の領域においても、これまで同様 

良きサポーターであって欲しいとついついダンサンに期待をよせてしまうみーちゃん


これまで、ダンジョンマスターと、

ダンジョン管理部から派遣された担当職員として

良い関係を築いてきたミーちゃんとダンサン。


最近では、ホンワカムードも漂ってきた二人の関係は

今後 どのように展開するのであろうか?


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