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いよいよ採用試験実施!

かくして 「ミーちゃんダンジョン」初の職員採用が始まった。


募集要項には、就労先に関して、「へき地勤務・強い守秘義務あり・長期間外部との連絡を絶つ必要のある職場環境」と記載し、ダンジョンとのかかわりを記さなかった。



ダン菅本部からも10人ほど応募はあったが、

ミーちゃんが出した1次試験(職務能力に関する筆記試験)で 全員落ちた。


「そもそも 情報処理やプログラマーの資格もないのに 応募して来ないでよ」 ミーちゃんはつぶやいた。


「そこはそれ 各部署の思惑やら 受験者のうぬぼれってやつです」

ダンサン



一方 一般から応募してきた人々は・・

職務能力を問う一次試験に合格後、ダン菅本部が作成した採用試験を受けさせられた。

 倫理観や一般教養を問う筆記試験と、ダン菅職員が行う面接である。

 

 実はこれ、受験者には伏せていたが ダン菅が通常行う、採用一次試験の筆記と2次試験の面接とほぼ同じ内容であった。



「なんで 私より先に面接するのよ~」みーちゃん


「ダンジョン及びマスターの存在を受験者に知られないための措置です。


 それに 貴方が面接して気にいった人が、ダン菅の採用前人物判定に不合格だったら、あなたの評判がダン菅内でがります。

 人を見る目がないって」ダンサン


「一理ありますね。

 私も 変にこだわってはいけないですね。自分のメンツとかって」みーちゃん


「ご理解いただけまして 何よりです」

すまし顔で答えるダンサンに みーちゃんは モノをぶつけるふりをした。


「だけど 心理判定を専門としない管理職が採用面接を行うのはあたりまえのことだし

 その不足を補うために、心理判定員が別枠で採用面接を行うわけでしょ。

 

 だから 心理職じゃない私の不足部分を、お宅の心理判定員が指摘したことにより

 私の評判がさがるとしたら、それは ダン菅内の悪意と人事の問題ではないかしら?」


みーちゃんは ダンサンに請求して受け取った追加資料=ダン菅がおこなう採用面接の詳細を読みながら言った。


「ご指摘の通りでございます。


 でもね ダン菅だって 聖人君子の集合体ではないんです。

 シツジーの件を出すまでもなく そこは ご理解くださいませ」ダンサン


「だねー。やっかいだねー」みーちゃんは ダンサンの顔をみて 溜息をついた。


 というわけで、みーちゃんは、ダン菅本部が作成した筆記試験の具体的な中身を確かめ、出題の意図や採点基準を確認した。


さらに、ダンジョン所有者の立場で、ダン菅内で行われた選考内容過程すべての録画の保全措置を取った。


これは、小規模事業主が、融資を受けいてる銀行から 会社活動にあれこれ介入を受けている場合、もしくは企業活動の一部を外部に委託した場合にとられる標準的措置であった。


(そもそも 私とダン菅との関係ってどうなってるのかしら?

 ダンジョンマスターとダン菅及び ダン菅担当職員の関係って どういうものだったっけ?)


みーちゃんは ふと浮かんだ疑問を 思い切って口にしてみた。

「今更ですが」と


「ほんと 今更な質問ですねぇ」ダンサンは微笑んだ。


「みーちゃんは、このダンジョンの所有者であり 経営者です。


 ダンジョンの成長のためには、ダンジョンマスターがダンジョン内にとどまることが必要です。


 ダンジョン管理部というのは、この世界の安全を守るために、

 この世界でその存在を確認されたすべてのダンジョン及びダンジョンの種を管理する国家機関です。


 それゆえ、ダンジョン管理部には、ダンジョンマスター・ダンジョン所有者・ダンジョン経営者の行動を監視し 必要に応じてその行動を規制する権限を有するとともに、

悪意ある存在からダンジョンマスターを守る責任があります。


 その一方で、勧誘銀行と提携する一企業として、ダンジョンの健全な成長を促し・安定的発展を実現するためにダンジョンマスターを援助し、ダン菅とダンジョンマスター双方の収益を上げることを目指すという会社でもあります。


 だからね、私たちダン菅職員も、いつも 企業としての利益追求と、ダンジョン研究と、マスター支援のバランスをとること、そして営利企業であるとともに国家機関であることの両立に、頭を痛めています」ダンサン


「で?」みーちゃん


「だから みーちゃんが個人としてダンジョン内職員を雇う場合には、

 それ相応の調査をさせていただくわけです。」ダンサン


「なるほど。

 それで あなたは どっち側の人間なんです?」みーちゃん


「何の側の話をしているんです?」ダンサン


「国家機関の人間なのか、営利企業サイドの人間なのか?」みーちゃん


「無意味な質問をしないでください。

 常識的に考えれば 営利企業の顔を持つ国家機関なんて、営利企業としても成功してなければ

 本来の目的を果たせるわけないでしょ」ダンサン


「そういうもんですかねぇ」みーちゃん


「はぁ」ダンサンは溜息をついた。


(これだから技術畑の人間は・・

 

 あえて 言葉の裏を読むことを拒否するというかなんというか・・


 「物質を科学する」ことに徹するから、その方面での画期的な業績あげることにもつながるんだろうけど、そういう人は

 「人間は 物質のように『規則に従って動く』のでなく、『己に都合の良い規則を選びながら動く』のだといういうことに あまりにも疎い」というかなんというか・・


 時々話がつうじているのかいないのか、わからなくなる。


 今 私は かなりの機密事項を彼女に告げたのだが・・)


「私に 言葉の裏を読む力はありませんけど、

 守秘義務厳守の法則と、信頼に基づく打ち明け話を口外しない分別はあります」

みーちゃんは にっこりとしてみせた。


「やさしいですねぇ。


 でも 言葉の裏を読んで行動する力もないのに、言葉の裏に気が付く人って

 生きにくいんじゃないですか?」ダンサン


「グサッときた。

 そういう いじわるを言わないでください。

  傷つきました」みーちゃん


「すみません」ダンサン

 


◇ ◇


1次・2次とも合格した人物は30人いた。


これは ダン菅本部もミーちゃんも\(◎o◎)/!(びっくり)の予想外のできごとだった。



ダン菅本部へ、ダン菅の審査を合格した人の資料を受け取ちに行った時の会話より↓


「いやープログラマーというのは ただのオタクや青瓢箪あおびょうたんかと思ったら、みんな ガッツあるし 体力あるし コミュ力強いし びっくりだわ」とは ダン菅の人事部長


「頭の回転の速さと持久力、体力・気力・コミュ力は 今やプログラマーの基本的要件です」みーちゃん


「らしいねぇ。

 プログラミングって 一人でコツコツやるのかと思ったら

 全員で手分けして 一気呵成いっきかせいに攻め落とすって言ってる人が多かったんで驚いたよ」部長


「君んとこで採用しなかった人物は うちでもらおうかなぁ」ダン菅総務部長


「うちに優先権あり、変に粉かけたら怒りますよ」みーちゃん


「それは すでに ダンサンから五寸釘打たれて念押しされてるから 大丈夫。


 ダンサンはね、社長のいすを蹴って、君の担当に張り付いている我が社の専務だから」ダン菅代表取締役社長


「社長 口が軽すぎます」ダンサン


「いいじゃないか そろそろ君の背景を教えても。」社長


「私は 専務であると同時に、ミーちゃんダンジョンの担当者でもある。それだけのことです」

ダンサンは みーちゃんの顔を見て穏やかに言った。



「ねえ 社長のいすを蹴ったってどういうこと?」

その夜、ダンジョンの執務室に戻ったミーちゃんは、ダンサンに尋ねた。


「私が 専務だってのは知ってましたよね?」ダンサン


「ええ 最初にもらった名刺にそう書いてあった」

(でも いつのまにやらそのことを忘れてた)←ミーちゃんの心の声


「私は 課長時代にダンジョン担当を経験しています。

 その後も、ダンジョン関連の統括部門で昇進を重ねてきました。


 一応 わが社では 社長は、専務の中でもダンジョン担当・統括経験者が優先して選ばれることになってます。


 しかし 現在私はダンジョン担当をしておりますので、社長の業務まではこなせない、ゆえに専務のままとどまりたいと希望を出してます。 ですから今後とも専務を続ける予定です。」ダンサン


「社長になりたいとは思わなかったの?」


「ミーちゃんダンジョンの担当を引き受ける前は、社長になってすべてのダンジョン開発にかかわりたかったですけどね。


 今は 最新のダンジョンであるミーちゃんダンジョンの担当の仕事が気に入っているので 社長業には興味ありません。

 というか 取締役会での発言力は 今でも維持してますから

社長になる必要性を感じてません」ダンサン


「あらためて ダンサンの偉大さというか 強さを実感しました」


「だから 少しは安心してくださいよ

 慢心はダメですけど 安心は良いですよ」

いたずらっぽくダンサンは笑った。


「むしろ 畏れ多いかも」


「それは 無しでお願いします」ダンサン


「だよね、でないと わがまま言えないもん」

罰が悪そうにミーちゃんは答えた。


「ほどほどのわがままは マスターの特権です、なーんてね」ダンサン


「にしても よくもまあ ダンサンが私の担当に。

 苦情はなかったんですか?」


「あー シツジ―の尻脱ぐいに手を挙げる者がいなかったんですよ。

 というのも、常務以上で 新規ダンジョン立ち上げ経験者は、ぼくと現社長だけなんですよ。

 長らく 新規ダンジョンの誕生がなかったもので。


 既存のダンジョン管理の引継ぎ経験者は、今の常務にも居ますが。


 それでね、シツジ―の失態を補うためにも新規ダンジョン立ち上げ経験者を新担当にってことになると、

僕と現社長のどっちかってことになって

彼は妻帯者ですから ダンジョン担当は嫌だと言って。


 逆に僕は 婚活よりダンジョンの成長を見るのが好きなタイプだったので僕が引き受けたんです。


ちなみに シツジ―は既存のダンジョンすら担当経験のないまま部長になった男です。

そんな男を 新規ダンジョン立ち上げ担当にと推した責任を取って本部長は更迭されました。


結局 ダンジョン管理部と言いながら、24時間体制でダンジョンに向かう情熱を持った人間がほとんどいないのが 今のダン菅本部なんですよ。


既存のダンジョンは、担当者も4交代制で、それでも 家族サービスがってぼやいている現状ですから。」ダンサン


「だからこそ 人事部長が、今回応募してきた人達の仕事への情熱に感銘を受けてたんです」ダンサン


「なるほど」


◇ ◇


というわけで、1次・2次合格者30人の職務能力と人間性を見るための面接をみーちゃんとダンサンの2人で行なった。


面接時に いかにも重役(ぜん)としたダンサンと、フツーの人っぽい雰囲気のミーちゃんとで異なる態度を見せた5人は 早々におひきとり願った。


最終試験では、グループごとに異なる課題を与え、

その出来栄(できば)えにあわせた特別褒章を出すことを約束した。

もちろん 作業のために拘束する時間を明確にしたうえで

拘束期間に応じた諸手当も出した。


受験者たちは それを、継続雇用に向けた試用期間or今後の契約受注にかかわるコンペに相当するものと正しく理解した。

(参考)

役職について

https://resily.com/blog/14192

  会社役員の序列を念のために、上記サイトで確かめました。


コンサルタント とは

 https://www.executive-link.co.jp/about-consul/ 


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