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短編集:私がダンジョンマスターになったわけ  作者: 木苺
(6)ダンジョン、飛躍開始す?!
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ネコちゃんトイレ:ダンジョン経営の基軸①

最近、ダンジョンの階層増加に伴う改定作業があいついだので、基本のおさらいをすることにした。


(1)

「大陸」:人々が住む土地。大陸全体が一つの国


「お隣の大陸」:ダンジョンがある土地


(2)

「ダン管」:転移陣・転移ゲートの統括&ダンジョンマスターの支援

  「大陸」の主要都市に支部がある


  各ダンジョンと「大陸」との、人やモノを移動には「転移陣」が必要。


  ミーちゃんダンジョンに来場するお客様方は、「ダン菅支部」の転移ゲートを通る。


(3)みーちゃんダンジョン入園切符


現在「ミーちゃんダンジョンの入園切符」と「ダン菅支部⇔ミーちゃんダンジョンお客様広場、の往復切符」は、ダン菅支部でセット販売している。


・往復切符売り上げ金は、ダン菅支部とダン菅本部とで分配される。


・入園切符の売上金は、ミーちゃんダンジョン90%・ダン管支部5%・ダン管本部5%の分配


・入園料と往復切符がセット販売されるのは、移動陣の運送限度とダンジョンの収容限度を超えないように 各種調整が必要だから。


 ゆえに 現在、ダンジョンに宿泊するのは、完全予約制・入園後の延泊不可となっている。


不法入園もぐりが発生しないよう、ダン菅は 転移ゲートの監視を幾重にも行っている。


・さらにダンジョン内に不法滞在(残留者)が出た場合速やかに発見できるように、ダン菅では、入退場者数の監視と記録を徹底している。


 だからこそ、ダンジョン側でも お客様の安全管理・保護に最新の注意をはらっているのである。


◇ ◇

ダンジョン内の敷地が拡大するだけでなく、各エリアが階層化して

ダンジョン内でも 転移陣を使って移動するとなると、

お客様の動向を把握するのも、従来の警備員方式から一歩進める必要が出て来くるのではなかろうか?


選択肢としては、

①入場者全員にチップをつけて、モニターで監視して

問題行動をとる者は摘発する系


②通過ポイントごとに、カウントもしくはチェックして、異常があれば

 エリア内を捜索する系


の二通りがある。


これまでは、ダンジョンの特徴(転移陣を使わなければエリア移動ができない)をいかして②の方式でやってきた。


「①方式にすると モニターコストが膨大になるのに

 個体の位置やおおまかな状況を把握できるだけで、

 お客様の安全を守ったり 犯罪が防げるわけじゃないんだよなぁ」みーちゃん


「ダン菅として、ダンジョン内滞在者数を重視するのは、

 ダンジョンに負担をかけない為のダンジョン内定員を守る為なので、

 不法滞在者があっさり死んで ダンジョンエネルギーに変換されるのなら

 一向にかまわないんですよ」ダンサン


「それは知ってるけどさ。

 囚人島流しダンジョンって、けっきょく

 収容された囚人の収奪的破壊行為により再生エネルギーが枯渇して継続不可能になった、

 という過去の記録からもわかるように

 『お客様に快適にお過ごしいただき、マナーを守って気持ちよく出て行ってもらう』

 現行方式の方が ダンジョンの長期的発展にも有効だと思うのよねー」


「だったら 現行方式で発展させていくよりしかたがないでしょう。」ダンサン


「でもさ 現行方式を成熟させていくための組織再構築が 結構むずいのよ。


 それでさ、つい 犯罪発生・モラルハザードにつながらない程度の人的損耗、つまり事故死の許容限度を設定しちゃいたいなあーという誘惑が・・」

 

「経営者あるあるの 甘い誘惑ですね、それ」ダンサン


「だね。

 冒険者エリアは、その性格上 最初から事故死発生率・許容限度込みの設計になるのだけど

 リゾート&ファミリー系は事故率ゼロの設計がはずせない。


 ただ「採り採り野山・食べ放題野原」の上級キャンプ場エリアをどうしようか迷ってしまう」


「というと?」ダンサン


「宿泊期間厳守を貫けば 必然的に『安全にお帰りいただきます!』の従来方式の延長で

 宿泊可能日数も3泊が限度でしょう。

 

 キャンプ連泊疲労度曲線からしても 人間は4~5泊目で疲労がつのって事故率が上がるのは、

 事故統計からも生物学的測定からも判明してますから。


 一方 キャンパーとしたら 4・5泊以上への憧れも募るのが

 過去のレジャー産業の記録からも明らかだしぃ。

 予定を厳密に決めずに 滞在日数をざっくりと決めるだけでキャンプしたいというのが

 冒険へのあこがれみたいなものだもん。」みーちゃん


「たしかに 長期滞在と短期滞在では 安全上の留意点は、大きくかわってきますもんね。

 宿泊者側にとっても施設管理者側にとっても 」ダンサン


「うんうん。

 エリアを細分化して 宿泊を期間を短くさせると、

 経営者にとっては 安全管理・運営コストが割高になるんだけどねぇ」


「放牧よろしく お客様を広いエリアで長期滞在させたほうが

 『自己責任~』と言って 手抜き営業で人件費を安くできるのは確かです」ダンサン


「しかたない、『上級キャンプエリア(案)』は、冒険者エリア設置時の初級コースに回そう。


 今はまだ、マナーを守って楽しく過ごしお帰りいただく」形式重視で行こう!」みーちゃん


「しかし トイレの数を絞って、排泄物をきちんと穴に埋めないとモンスター化する案は、

 プレ冒険者エリアの実習もかねて、『中級キャンプエリア』に適応しませんか?


 お客様は、『トイレの穴掘りが大変だから、宿泊上限が3日でよかった』って

 思ってくれると思うんですが(笑)」ダンサン


「なるほど ワイルドな愉しみに(ひた)るつもりが、

 モンスターに追い回されるサバイバルキャンプになるわけね」みーちゃん


「猫ちゃんだって 砂かけを覚えるためのトイレットトレーニング期間は必要なんですから」ダンサン


「ひっど~ ネコちゃんを引き合いに出してお客様を例えるのはダメです!」

みーちゃんは ダンサンに向かって 「めっ」をした。



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