新しい担当者:ダンサン
馬術連盟からイベントのお話を持ち込まれたはものの、それは宿泊施設ありきの提案だった。
現在私のダンジョンは日帰り施設のみで、主な客相は どちらかといえば庶民が気軽に遊びに来れる場所、庶民的なリピーター狙いの運営である。
それに比べて馬術連盟の役員の方々の言葉のお話の端々から高級志向がうかがえる。
そのような方々が宿泊になるところといえば、高級なリゾート施設とか ハイクラスホテルのイメージが浮かんでくるのだけど・・。
しかも 競技会場や馬関連の施設に関する注文が細かい><
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そうこうするうちに 馬術連盟から 近々大陸で開かれる馬術競技会とそれとほぼ平行して行わる商談会を見に来て欲しいとご招待がありました。
AIの情報では、マスターがダンジョンを留守にするときには、
ダンジョンの出入り口=転移陣を封印して、ダンジョン内の生き物をすべて休眠状態にすればよいとのことでした。
そして ダン菅に確認しても、ダンジョンを休園にすることについて、客とのトラブルが起きないなら、ダン菅としてはそれを止める理由はないと、ただダンジョンを封鎖する際の注意事項にはくれぐれも気を使ってねということでした。
さらにまた、ダン菅の方で 私の新たな担当者が決まったので、ダン菅まで会いに来てもらえると大変ありがたい、その際には ダンジョン1日休園分の損失補償として、過去1か月間の入園料収入の1日平均分を支払うと言っていただけた。
ありがたい。
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というわけで とりあえずダン菅で 新しい担当者さんとお会いしました。
その名も「ダンサン」
年齢不詳の30代男性 独身だと自己紹介されました。
そこで 馬術協会からのオファーについて、いくつか気になる点についてダンサンの見解を尋ねてみました。
①馬術協会からの 競技会場や馬関連の施設に関する注文があまりにも細かいので
彼らが求める物をすべて 彼らに用意さして それをダンジョンに持ち込むという形を考えているのだが?
すると ダンサン曰く
・現在大陸で消費されている耐久物の90%はダン管が管理するダンジョンで生み出された素材を加工したもの
・よそのダンジョンで作った天然もの加工品を大量に別のダンジョンに持ち込んだら拒否反応が起きることがある
(だから ダン管から新規ダンジョンに支給される品は、そいう問題が起きないことを確認ずみの特別品)
ここまでの情報は 私もすでにAI検索で知っていたが、あえてそれに触れずに見解を尋ねたの。話が円滑に流れるように。
・馬術関連の設備というのは ダンジョン産の木とか植物・動物由来の物が圧倒的に多い。
しかし、ダンジョン内持ち込み品を、ダン菅が厳しく事前審査している本当の理由は、よそのダンジョンで生産した素材を持ち込むことによる 持ち込まれた側のダンジョンの崩壊や暴走を防ぐためであるが、この情報が外部に漏れて、テロリストの悪用されると困るからから ダン菅としても対応に苦慮している
(ああ やっぱり。なんとなくそんな気がしていた)
・だから 馬術協会が 設備一式を ミーちゃんダンジョンに持ち込むつもりなら、
「それらはすべて ダンジョン内持ち込み品制限規定に基づき、持ち込み主 この場合は馬術協会から事前に審査申請し、検査に合格したら その場で搬入という形にしなければいけない」
という点についてよくよく理解させなければいけない。
とのことでした。
「でも 向こうが搬入予定直前に審査を受けて 全部没になって、備品持ち込めないから イベントドタキャンとかってなったら、うちもイベント開催準備してたのに大損!ってなるので困るんだけど」
「ですよね」ダンサン
「前回の犬の品評会の時は、備品類を主催者側にもちこませることになっているという事前情報をシツジ―が利用して、
主催者側には何も言わずに、当日の持ち込み検査で 失格になった物品の代わりにと、
シツジ―があらかじめ用意していた物品を主催者に売りつけてダンジョンに搬入させ、
それをダン菅の利益として報告して、自分の手柄(成績up)にしていたんですよ。
我々による『ダンジョン経営監査』までにまだ半年以上あったので、
そのことに気づいたのが、あなたから彼を首にするという通告を受けた後の審議の途中だったというのが なんともお恥ずかしい話なんですが」ダンサン
「その話 初耳です」
「報告が遅れてすみません。
直接会って お伝えしたかったので。
ほかにも 彼の不正リストはxxx番号でAI検索をかけると 出てくるようになっていますので お時間のある時に見てください」ダンサン
「あの~ お客様に関係するような 彼の不正ってほかにありましたか?」
「犬関連で ちょこちょこと」ダンサン
「ショックです。」
「すみません」ダンサン
「ダン菅からの正式謝罪なら 文書でお受けします。
ダン菅職員としての個人的な謝罪なら 私にあなたを責める理由がなければ謝罪されても居心地悪いだけです」
「微妙ですね。
この件については 保留ということで上に報告しておきます。
あなたが 不正リストを読んだら ダン管の方でも それが分かるようになってますから 話の続きは それからですね」ダンサン
「そのための 番号入力と暗証システムなんですね」
「そういうことです」ダンサン
「しかし そのことが 今度の馬術協会との取引に影響を及ぼすと困るなぁ」
・・
というわけで ダン菅に2時間ほど滞在しただけで 私はすぐにダンジョンに戻った。
ダン菅から 本日1日分の休園補償をもらっているけれど、ダンジョン内を休眠状態においたあとの回復等の手続きも いろいろやらなければいけなかったから。
本日は その初体験ということで。
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それらをすませて ただいま 夜の10時
いや~ いろいろと気疲れしましたわ。
ダンジョン内生物の休眠措置も 休眠からの回復措置も
今度からは ダンサンと面談の時には、彼に ダンジョンまで来てもらおう。
シツジ―の部屋のあったところを、応接室にすればいいよね
今回、私がダン管まで出向いたのは、ダンジョンを留守にするときの予行演習って考えたのと、
ダンジョンを開園している状態で、ダンジョン内でダンサンの応対してたら、お客様関係でなんかあったときに困るなぁと思ったから。
今までは シツジ―との打ち合わせは、いつも客の少ない夜だったからよかったんだけど、ていうか 彼が地上の我が家に押しかけて来た時から そうだったよなぁ。
というわけで ダンジョン生物である従業員たちを統括する存在を新たに作ることにした。




