第8話 賊の始末
「兄貴、こいつ、よく見たら結構良い体してますよ」
「そうっすよ。売り飛ばす前に俺たちで、いい思いしましょうよ」
「ああ、あんま傷つけんなよ」
そんな男たちのゲスな笑い声が聞こえて来る。
「へぇ、モテない男ってそうやって性欲処理するんだ。勉強になるなぁ」
ラウスが男たちに近づきながら言った。
「なんだ貴様!!」
男たちが鋭い視線を向けて来る。
「いくらモテないからって、女の子1人に男が寄ってたかってってのは感心しないなぁ」
「貴様、舐めてんのか!」
「いや、そんな汚い顔誰も舐めないから。揃いも揃って悪人ヅラしやがって。まるで悪人ヅラの展覧会だな」
男たちの注意が完全にラウスに向けられた事を確認する。
「おい、彼女を守れ」
『承知』
ボスウルフに指示を出して少女の前に立たせる。
「ウルフを連れてるってことは召喚術師か?」
「召喚獣なしでどうやって戦うんだよ」
男たちは余裕の笑みを浮かべている。
「こうやってだよ!!」
ラウスは一気に間合いを詰めると、一番手前に立っていた男の顔面に拳を叩き込んだ。
その男は数メートル吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
どうやら、気絶しているらしい。
「俺、お前らみたいのが一番嫌いなんだよ。ザコのくせに寄ってたかって強くなった気でいる馬鹿」
「このやろう! 調子乗ってんじゃねえぞ」
男がナイフを抜いた。
「いくら強くたって丸腰で勝てると思ってんのか!」
ナイフを持ってそのまま突っ込んで来る。
「え、おっそ」
ラウスは男の手首を掴むと、そのまま後方へ投げ飛ばした。
再びナイフを掴もうとする手を踏みつける。
「静かにしててね」
鳩尾に拳を叩き込むとそのまま気絶して動かなくなった。
「おじさんたちさ、女相手にあんまイキがんなよ」
「貴様、召喚士じゃないのか?」
「俺は魔術師だ」
ラウスは親切に答えてやった。
「魔術師が肉弾戦を挑むなんて聞いたことねぇぞ!」
「じゃあ、見せてやるよ」
ラウスがそう言うと、残り2人の男たちの足元が氷付いた。
「無詠唱、だと……!?」
「兄貴、こいつやばいっすよ!」
2人はラウスが無詠唱で魔法を展開したことに驚いている様子だった。
「はっ、俺たちはとんでもない奴を相手にしてたらしいな」
兄貴と呼ばれている男がそう言ったのと同時に、2人の体に電流が走った。
ラウスの雷魔法である。
男たちは感電してその場に倒れたのであった。
「彼女を守ってくれてありがとう」
『いえ、主人はご無事ですか?』
「ああ、問題ない」
『さすがでございます』
ラウスは倒れている少女に近づいて、意識を確認する。
息はしているが、かなり浅い。
完全に気絶しているようだ。
両手足には怪我をしているように見える。
「間に合ってよかった」
『かの者に癒しを。救いの御手を』
ラウスは治癒魔法を少女にかける。
すると、少女は目を覚ました。
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