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第7話 襲われた冒険者

 翌朝、ラウスは少し早めの時間に目を覚ました。

朝食を済ませると荷物をまとめる。


「チェックアウトをお願いします」


 カウンターの中に居る女将さんに鍵を差し出しながら言った。


「あら、早いのね」

「ええ、少し急ぎの用があって」


 ラウスは一刻も早くこの国を出たかった。

メイルス王国では王女様が待ち侘びている事だろう。

それが、ラウスを突き動かしている。


「そうなのね。でも、気をつけてね。この辺り最近、盗賊が多いって聞くから」

「ご忠告感謝します」


 ラウスはチェックアウトの手続きを済ませる。

そのまま、昨日入った門を目指して歩く。


「おや、昨日の魔術師殿。随分とお早いですね」


 立っていた騎士は昨日、ラウスが入ってきた時に検問をしていた騎士と同じだった。


「そちらも、朝からお疲れ様です。少し先を急いでましてね」

「心配無用かと思いますが、道中お気をつけて!」


 そう言って、騎士は勢いよく敬礼する。


「ありがとうな」


 ラウスはそう言って、街を後にする。

しばらく歩き、門が見えなくなった所で再びボスウルフを呼び出す。


 ラウスの呼びかけにボスウルフが応じ、魔法陣から現れた。


「今日もよろしくな」


 ボスウルフの頭を撫でながら言う。


『主人、お待ちしておりました。どうぞお乗りください』


 ボスウルフは姿勢を低くしてくれる。

そして、ラウスがボスウルフの背中に跨った。


『では、参ります』


 ボスウルフは一気にスピードを上げて行く。

そろそろ、ラール王国の国土からは出るはずである。


「この森は魔獣もいる。不審な事があったら伝えてくれ」

『かしこまりました』


 この森を抜けるのが、メイルス王国までの1番の近道である。

ここさえ、抜けてしまえばメイルス王国の国土に入る。


 ラウスの方でも索敵の魔法を展開しているが、魔獣は魔獣にしかない感覚を持ち合わせているため、ラウスよりも早く異変に気づけることがある。


 それに、ボスウルフの圧によってそこらの低レベルの魔獣は寄って来ない。

寄ってくるとしたら、ボスウルフ以上の魔獣か何も考えていない人間の盗賊くらいだろう。


 ボスウルフはスピードを落とす事なく森を突っ切って行く。

しかし、ボスウルフは途中でスピードを落とした。


「どうかしたか?」

『主人、血の匂いがします。これは、魔獣の血ではありません。人間のものです』


 ボスウルフが言うには、魔獣の血液と人間の血液では匂いが全然違うらしい。

これも、嗅覚に優れたウルフだから人間の嗅覚では感じ取れない匂いも感じる事できるのである。


「匂いのする方に向かってくれ」

『承知しました』


 ボスウルフは方向を変えて再びスピードを上げる。

その時、ラウスの索敵魔法にも魔力生命体ではない気配を感じ取った。


 その数、5人。

そして、そのうちの1人は生命反応が薄い。

このままでは危険な状況であると察することができる。


『主人、この辺りです』

「みたいだな」


 ラウスの正面には1人の少女が倒れていた。

そして、それを取り囲むようにして、4人の男が立っている。


 薄い生命反応は少女のもので、その他の4人はその男たちのものだった。


 少女の服装からするに冒険者だろう。

至る所から血を流していた。


「こりゃ、穏やかじゃないな」


 ラウスはボスウルフから降りて、少女たちの元に近づいて行く。

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