表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/24

第5話 辺境の街

 ラウスはノンストップで進み続けていた。

しかし、それでも休息は必要だ。

ボスウルフだって、いくら神獣クラスの魔獣とはいえ、全く疲れないわけでは無い。


「これを飲め」


 バッグの中からスタミナ回復のポーションを取り出すと、ボスウルフに飲ませる。


 ポーションというのは、聖水と薬草を魔術によって生成したものである。

それぞれの症状に適合したポーションがこの世には存在する。


 薬師ギルドがポーションのメニューを公開しているので、魔力適正のあるものなら、ポーションを生成することが可能だ。

それでも、魔力の質によってポーションには雲泥の差が生まれるとされている。


『ありがとうございます』


 ボスウルフはポーションを飲み干した。

それによって、随分と体力が回復したように見える。


「よし、じゃあ先を急ぐか」


 俺はボスウルフの頭を撫でると、再び背中に跨った。


 このペースで進んでいけば、日暮れまでにはラール王国西の辺境の街イーメルに到着できるだろう。

イーメルはラール王国の中でも王都からは一番遠く離れた街であると記憶している。

流石に、そこまでは王宮上層部の手が回るのにももう少し時間がかかることだろう。


『参ります』


 ボスウルフは一気にスピードを上げて走り出す。

太陽は真上に昇っている。


 そこから、ノンストップで進み続ける。


『主人、街が見えてきましたよ』

「ああ、あれがイーメルの街だ」


 空が茜色に染まり始めた頃、イーメルの街が正面に見えた。

街からは光が漏れているので、街があることはすぐに分かる。


「この辺で止まってくれ」


 俺はボスウルフに指示を出す。

その指示で、ボスウルフはその場で止まる。


「今日はありがとう。ここからは歩いて街に入るよ。今日はゆっくり休んでくれ」

『かしこまりました』


 ボスウルフは魔法陣の中に消えて行った。


 流石に、神獣クラスの魔獣を連れたまま街に入ったりしたら怪しまれてしまう。


 歩いてイーメルの街に入る為の検問所へと向かった。

ここは辺境の街なので国境と隣接している。

その為、セキュリティがかなりしっかりとしている印象を受けた。


 一般的に王都などの大都市や国境に接している街などは、セキュリティは厳しいものになるのだ。


「お待たせしました。何か、身分を証明できるものはお持ちですか?」


 検問所に立っている騎士に尋ねられた。

街に入るには公的機関が発行している身分証明書が必要らしい。


「これで大丈夫か?」


 俺はコートの内ポケットに手を突っ込むと、魔術師協会の会員証を取り出して提示した。


 魔術師協会というのは、この世界の魔術師たちを統括するような組織である。

各国に魔術師協会は存在し、本部がメイルス王国に、それ以外の国には王都に支部がある。


「これは失礼致しました! 最高ランクの魔術師様をお止めするなんて」


 俺の会員証の色は紫。

それは、最高ランクの魔術師であることを示している。


 会員証の色によって、魔術師ランクが決められているのだ。

宮廷魔術師になるとその功績が認められ、最高ランクに認定される。


 魔術師のランクは使える魔術のレベルによって分類される。

下から、初級、下級、中級、上級、帝級といった感じだ。


 帝級の魔術を使える者が最高ランクに任命される。


 まあ、この国において科学の方が優れているとされているので、最高ランクの魔術師資格を持っていても何の役にも立たない。


「いえ、そちらもお仕事ですからお気になさらず」

「ありがとうございます。どうぞ、お通りください」


 こうして、俺はイーメルの街に入った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ