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第4話 さらば、ラール王国

 翌朝、窓から差し込む光によって目を覚ました。

時刻は朝の8時前といった所である。


「結構、しっかり寝たみたいだな」


 日頃の疲れやストレスが溜まっていたのだろう。

王宮に居た頃はまともな睡眠なんて取れたもんじゃ無かった。

久しぶりにベッドでゆっくり寝れた気がする。


 随分と体もスッキリしたことだし、メイルス王国までの短くない旅も大丈夫だろう。


「早速行きますか」


 ラウスは身支度を済ませると、部屋をでた。

階段を降りて、カウンターに頬杖をついている店主に声を掛ける。


「チェックアウトを頼む」

「なんだ、もう行くのか? もっとゆっくりしていけばいいのに」


 店主はラウスが差し出した鍵を受け取りながら言った。


「ああ、この国を出ようと思う。親父さんともしばらくお別れだな」

「そりゃ、寂しいな。でも、お前さんの決めたことだ。俺はどこに居たって応援してるぞ」

「ありがとう」

「じゃあ、餞別だ。持ってけ」


 店主が布に包まれたものを手渡してくれる。


「これは?」

「弁当だ。腹が減っては戦はできねぇだろ」

「ああ、もらって行くよ」


 店主の悪人ヅラをしばらく拝めないと思うと、それはそれで寂しいもんだ。

チェックアウトの手続きを済ませると、ラウスは宿屋を出た。


 道中に必要になると思われる備品は昨日のうちに買い込んで、魔法袋の中に入れてある。


 魔法袋とは、空間魔法が付与されている革で出来た袋である。

かなり貴重な魔道具の一種であり、見た目の何倍もの容量を収納することが可能である。


 しかし、生き物は仕舞えないし、保温などの機能も無いので、ある程度収納できるものは制限される。


 そして、ラウスは王都の西側にある外に出る門へと向かって歩いて行く。


「お疲れさん」


 門に到着すると、門番の騎士に軽く挨拶する。


「お、ラウスさんもお出かけですか?」

「まあ、そんな所だ」

「お気をつけて」


 長いこと王宮に居ると知り合いも増える。

さっきの門番も知り合いの騎士だった。


 門を出てしばらく歩く。

振り返っても門が見えなくなった所で立ち止まった。

周りにも誰も居ないことを確認する。


「よし、この辺りなら大丈夫そうだな」


『顕現せよ。我が望むはブラックウルフ』


 これは召喚魔法である。

しばらくして、白く光った魔法陣の中から大きなブラックウルフが現れた。


『お久しぶりです。我が主人』

「久しぶり。なかなか呼び出せなくてごめんね」


 ラウスはブラックウルフの頭を撫でてやる。


 召喚獣として契約を結ぶと、魔獣と意思疎通を交わすことができるようになる。

ちなみに、今召喚したのはブラックウルフのボス。

つまりは、ボスウルフである。


 ボスウルフということは、ブラックウルフの長と契約を結んでいることになる。

そこらの魔術師にできる芸当では到底無い。


『いえ、主人にも都合があるでしょう。お気になさらずに。我に御用向きですか?』

「今からメイルス王国に向かう。背中に乗せてくれるか?」


 歩いて行くと一週間はかかる。

その点、ボスウルフに頼めば、その半分ほどの時間で済むことだろう。


『お安い御用です。どうぞお乗りください』


 ボスウルフは乗りやすいように姿勢を低くしてくれる。


「助かるよ」


 ラウスはボスウルフの背中に乗った。


『主人、振り落とされないようにしっかり掴まっていてください』

「了解」

『では、参ります』


 ボスウルフは一気にスピードを上げて走り出す。

確かに、これは振り落とされてしまうほどのスピードだ。


 これで、メイルス王国までの旅は随分と楽になっただろう。


 ラウスたちはメイルス王国に向けて一気に進んでいくのであった。

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