第24話 救出完了
ラウスは生徒2人を連れ、無事に廃墟を抜け出した。
「じゃあ、帰るぞ。あんまりキョロキョロするなよ。ここは危険だ」
スラム街に居る連中と深く関わるのは危険だ。
よそ者は排除しようとしてくるのだ。
「よし、ここまで来たら大丈夫だ」
スラム街を抜け出したラウスは言った。
「「先生、ありがとうございました!」」
2人はラウスに頭を下げる。
「いや、礼はいい。俺は教師としての義務を果たしたまでだ。むしろ守ってやれなくてすまない」
「気にしないでください」
「そうですよ。自分の身くらい守れるようにならないとこれからやっていけませんよ」
確かに、2人は魔術で上を目指しているのだ。
もっと強くなっていかねばならない。
「今日は2人を送っていくよ。方向は同じなんだろ?」
「はい! ありがとうございます」
「こっちです」
さすがは地方貴族なだけあって、貴族街のはずれに屋敷があった。
しかも、隣同士らしい。
「もう、大丈夫です。ありがとうございました」
「ご両親に挨拶だけしてもいいかな? 謝らないと」
下校中の出来事とはいえ、学院の教師であるラウスにも責任はあることだろう。
「かまいませんよ」
2人は快諾してくれた。
家族同士でも交流があるらしく、2人のご両親はフレイヤの屋敷に一緒に居た。
娘たちを心配する親どうし、一緒に居たかったのだろう。
娘2人の顔を見て安堵の表情を浮かべた。
「初めまして。学院で魔術講師をしておりますラウスと申します。この度は、我が生徒を守れず申し訳ございませんでした」
ラウスは深々と頭を下げる。
「先生、頭を上げてください」
1人の男性が立ち上がって言った。
「フレイヤの父です。学院長先生から聞きました。あなたは真っ先に娘たちを助けるために、自分の身を危険に晒してまで助けようとしてくれた。教育者の鑑のような人だ」
「私もそう思います。エレノアの父です。こうして、無事に娘が帰ってきたのです。それでいいじゃないですか」
2人とも貴族とは思えない発言だった。
ラウスの前に居た国の貴族なら、暴言は吐かれていたことだろう。
貴族の権利が絶対的に保障されている国だった。
これが、ベノン陛下の治める国なのかと感激した。
「ありがとうございます! では、私は学院に戻らねばなりませんので失礼いたします」
まだ、学院に戻ってやらねばならないことがある。
学院長への報告だ。
「うむ。これからも娘たちをよろしく頼むよ。君はベノン陛下が見込んだ優秀な魔術講師と聞いているからね」
「はい、お任せください」
そう言ってラウスはフレイヤの屋敷を後にし、学院へと戻る。
ここから、学院までは歩いても10分くらいである。
学院に戻ると、ラウスは学院長室の扉をノックする。
「入ってくれ」
中からへレーネ学院長の声が飛んできた。
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