第22話 救出へ
まずは、攫われた2人を見つけ出す所から始めなければならない。
「王都に居てくれたら見つけやすいんだけどな」
ラウスは王都に2人が居る可能性が高いと思っていた。
とはいえ、王都の中心には居ないだろう。
王都の外れやスラム街に近いところに監禁されている可能性が極めて高い。
「久しぶりにやりますか」
ラウスは目を閉じる。
そして、魔力の流れを感じる。
人それぞれに流れている魔力は微妙に違う。
魔力の流れが全く同じ人間はまず居ない。
いわば、究極の個人情報だと言えるだろう。
索敵魔法とこれを組み合わせれば、フレイヤとエレノアの2人の居場所を突き止めることができるだろう。
幸い、昨日の授業の時に2人の魔力の流れは覚えていた。
索敵魔法の効果範囲を広げるのと同時に、魔力の流れを調べていく。
「お、これは……」
2人の魔力の流れを感じとった。
索敵魔法が示している場所はスラム街の近くにある廃墟だった。
「さて、行きますか」
ラウスは索敵魔法が示す場所に向かって走り出す。
「この辺りだな」
反応があった場所に近づくと、そこからはゆっくりと進む。
スラム街というのは、あまり気持ちのいい場所ではない。
よそ者が入ると、鋭い視線を向けられる。
時には金目当てで襲われることもあるので十分注意しなければならない。
しかし、スラム街の連中も馬鹿ではないので、自分より強いと判断した者を襲うことはない。
「ここか」
索敵魔法の反応は近い。
間違いなく、2人はここにいることを示している。
「外に、見張りは居ないようだな」
ラウスは廃墟の中に足を踏み入れる。
中には埃が舞っていて、薄気味悪い。
「地下か」
反応があるのは地下である。
ラウスはゆっくりと歩みを進める。
「ここだな」
地下の扉には鍵がかかっている。
「こんなもの」
ラウスは勢いよく扉を蹴り破った。
そして、扉が向こう側に倒れて砂埃が舞う。
「よう、うちの生徒たちが随分と世話になったみたいだな」
「誰だテメエ!!」
男たちが声を上げる。
「「先生!!」」
生徒たち2人も叫ぶ。
「テメェ、どうしてここが分かった!」
「それは教えられないな」
「教えるのがテメェの仕事だろ!!」
男がラウスに殴りかかる。
しかし、ラウスはそれを半歩移動するだけで綺麗に躱した。
「君は動きに無駄が多すぎですよ」
「舐めたこと抜かしてんじゃねぇ」
そう言って、男はナイフを抜いた。
ラウスの顔にナイフを向けている。
「ナイフの使い方、お教えしましょうか?」
ラウスがドスの効いた声で言い放つ。
ナイフの先端が揺れているのが正確に見える。
「カッコつけやがって!!」
そう言って、ナイフを振り下ろそうとした。
しかし、次の瞬間には男はナイフと共に地面に転がっていた。
一瞬のことでそれはここにいる誰の目にも見えていなかったことだろう。
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