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第17話 生徒たちとの対面

ラウスは早速自分の担当するクラスへと向かう。

ここの学院では少人数制の授業を取り入れているらしい。


 それによって、教師の目が生徒全体に届くのに加え、教師の負担も軽減しているらしい。

1クラス15人というのが、この学院の平均である。


 魔術講師を始め、教職は常に激務である。

それを少しでも改善したいという陛下の考えらしい。


 ラウスは廊下を歩いて自分が担当する1年Aクラスの教室の前まで到着した。


「よし、行くか」


 気合いを入れて、ラウスは教室の扉を開けた。


「おはよう」

「「「おはようございます!!」」」


 元気な挨拶が返ってくる。

初めて立つ教壇にラウスは緊張をしていた。


 女子が7人、男子が6人のいうのがAクラスである。


「今日から1年間君たちの担任になるラウス・フォードだ。よろしく頼む」


 少なくともこのクラスで1年は同じ生徒に教鞭を取る。

基本的に担当した生徒の学年が上がると、教師も教える学年が上がって行く。


「僕は、隣の国で宮廷魔術師をやってましたが、縁があってべノン陛下に拾ってもらいました。今後は講師として自分の魔術をみんなに教えられたらと思っている」


 ラウスの挨拶が終わると、教室の中は少しざわめいた。


「ねえ、じゃあ、7年ぶりに国王様が推薦したのって……」

「この先生ってこと……」


 どうやら、ラウスの噂は既に学院内に広まっているらしい。


「先生、質問です!」


 一番前の席に座っている女子生徒が手を挙げた。


「えー、君はアリシャさんだね。どうぞ」


 名簿で名前を確認する。


「先生はアーナ王女殿下と仲良しだと聞きましたが、本当ですか?」

「もう、そんなことも広まってるのか。本当だよ」

「じゃあ、王女様を助けた伝説の魔術師ってのは、先生のことですか?」


 何じゃそりゃ。

3年前に王女を助けたことは本当だ。

それが、随分と話が大きくなっているものだ。


「3年前なら、多分俺かな」

「すげー!」

「そんなすごい人がなんで講師なの」


 生徒たちのキラキラした眼差しがラウスに向けられてくる。


「本格的な授業は明日からになります。今日はこのホームルームが終わったら解散です」


 今日は始業式だけの予定である。

本格的な授業は明日から始まって行く。


「じゃあ、お疲れ様でした」

「先生、さよならー!」

「明日からの授業楽しみにしてます!」


 生徒たちが順次帰って行く。


「おう、気をつけて帰れよー」


 ラウスは帰る生徒を見送った。


「先生ってのも案外、悪くないな」


 窓の外にいる生徒たちの姿を見て口にした。


「おうおう、黄昏ちゃってぇ」

「へレーネ学院長!」


 後ろから学院長に声をかけられた。


「どうだった? 講師生活の初日は」

「まだ、授業してないですからね。明日からが本番かと」

「そうかね」

「でも、先生ってのはいいですね。あんなに希望に満ちた目をしている子供たちは久しぶりに見ました」


 魔術師を志そうとしている子供たちを導く。

宮廷魔術師を引退した身としては、そんな人生も悪くない。


「ラウス先生はこの仕事向いてるよ」

「そうですか?」

「ああ、これでも10年この仕事している私が言うんだから間違いない」


 こうして、ラウスの講師生活がスタートするのであった。

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