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第14話 ラール王国の苦悩①

ラウスがラール王国を去って1週間が経過しようとしていた。

王国は特に何も問題なく機能していた。


「ほら見ろ、何も問題は起こらないじゃないか。やっぱり魔術師は不要だったようだな」


 宰相は1人、笑みを浮かべながら口にした。


「宰相、大変です!!」


 王宮の兵士が声を荒げて口にする。


「何をそんなに慌てているのだ!」

「そ、それが、魔獣の大群が王都に向かってきています! 現在、騎士と冒険者でなんとか侵入を食い止めている状況です」

「何!?」


 魔獣の大群が攻めてくることはこれが初めてではない。

この国は、土地柄魔獣がよく発生する地域なのである。


 しかし、ここまでの危機的状況になったことは無かった。

そう、結界があるからだ。


「結界はどうなっている! あれがあれば王都に魔獣の侵入はしないはずだ!」

「それが、魔術結界は魔力が枯渇して維持することが不可能になってしまっています」


 今まではラウスたち宮廷魔術師が結界の管理をしていた。

しかし、宮廷魔術師の制度を廃止した今、その管理をする者はこの王宮には居なかった。


「科学で代用できると聞いているが、それはどうなっているんだ!」

「それが、まだ研究段階とのことで上手く起動していない模様です!」

「あの、たぬきめ。私を騙したのか!」


 王立科学研究所の所長は結界は科学で代用できると言ってきた。

宰相たち、国の重役はその言葉を信じて宮廷魔術師を王宮から追い出したのだ。


 その結果がこれだ。


「とにかく、陛下に報告だ! どけ!」


 宰相は勢いよく部屋を飛び出して行く。



 ♢



 王宮の会議室に今回の対策本部ができていた。

そこには国王と王子の姿もある。


「宰相、報告は聞いている。どうなっているんだ!」

「それが、結界が上手く機能していないようで。決して、私のせいなどでは……」

「今は、誰の責任などという話をしている場合ではない! この危機をどうやって乗り越えるかを考える方が先だ!」


 国王が宰相を怒鳴りつける。

このままでは少なからず、国民にも被害が及んでしまう。


「民を守るのも政治権力を持った者の務めだ! 結界を再展開することはできんのか?」

「魔力が足りません! 今、この国には圧倒的に魔術師が足りないのです!」


 国王の発言に王子は答える。

宮廷魔術師制度の廃止は宰相が積極的に通した法案だ。


 国王は反対していたのだが、王だからといって何でも通るわけではない。

今回は宰相に負けてこのような結果になってしまったのだ。


 そして、宮廷魔術師廃止の知らせが出た途端にラール国内の魔術師は、他国に流れ始めた。

それもそのはずだ。


 宮廷魔術師を廃止するということは、魔術師はこの国に要らないということを国が公式発表しているようなもんなのだ。


「今まで、この結界を維持していたのは誰だ!」

「ラウスという元宮廷魔術師です」

「この高度な結界を1人で維持していただと……」


 国王は驚きの表情を浮かべる。

到底、1人で管理できるほどの結界ではないのだ。

王都を丸ごと囲むような結界を維持するには膨大な魔力が必要になってくる。


「彼を、呼び戻すべきだな……」

「陛下! なりません! 魔術師ごときに頼るなど!」

「では、宰相、他に方法があるのか? 私はラウスという宮廷魔術師を呼び戻すことが一番の解決への近道だと思うが」

「それは……そうかもしれませんが、しかし!!」


 宰相はそれでも食い下がる。


「異論は認めん! 今すぐラウスの足取りを調べて連れ戻せ!」


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