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第11話 アーナ王女殿下

 王都に入る為の検問に並んで数十分が経過した。

ようやく、ラウスの順番が回って来た。


「お待たせしました。身分証のご提示をお願いできますか?」


 検問所の騎士がそう尋ねて来る。


「これでいいか? 俺はラウスという者だ」


 ラウスは懐から魔術師協会の会員証を取り出すと、騎士に提示した。


「し、失礼しました! アーナ王女殿下からお話は伺っております!」


 門番の騎士はラウスの魔術師協会の会員証を見ると、勢いよく敬礼した。


「こちらにどうぞ」


 そう言って、騎士がラウスを案内してくれる。

そこには、一台の馬車が停車していた。

豪華に装飾されているその馬車にはメイルス王国王家の家紋が描かれている。


「ラウス様でいらっしゃいますね。アーナ王女殿下より使いとしてまいりました、クリスと申します。どうぞ、お乗りください」


 燕尾服を身に纏った初老の男が、粛々と一礼した。


「ラウスです。よろしくお願いします」

「では、参りましょう。アーナ王女殿下が楽しみにお待ちしております」


 クリスに促され、豪華に装飾された馬車に乗り込む。


「出発致します」


 御者台からクリスの声が飛んでくる。

そして、馬車はゆっくりと動き始める。

地面を踏む蹄鉄の音が、規則正しく聞こえて来る。


 そこから、王都の中央通りを抜けて貴族街へと入る。

王家の馬車というのはそれだけで民の視線を集めるということを痛感した。


 そして、馬車は豪華な西洋風の城の前で停車した。

ここが、メイルス王国の王宮である。


「到着致しました」


 そう言って、クリスが馬車の扉を開けてくれる。


「では、ご案内致します」


 馬車を降りると、クリスの案内により王宮内に足を踏み入れる。

中に入った瞬間、大勢のメイドによるお出迎えがあった。


「こちらで、少々お待ちいただけますか?」

「分かりました」


 ラウスは応接間へと案内された。


 応接間には豪華な調度品が並べられている。

どのくらいの価値のものなのかはわからないが、高価なものであることは察しがつく。

ラウスは、ソファーに座るとなんとなく部屋を眺めながらアーナを待った。


 そして、数分後。

再び応接間の扉が開かれた。


「ラウスさん!!!!」

「おう、アーナ!」


 アーナが勢いよくラウスに抱きついた。

よほど嬉しかったのだろう。

満面の笑みを浮かべている。


 腰の位置まで伸ばした銀髪をハーフアップにし、赤色の瞳。

雪のように白い肌がとても美しい。


 3年前に会った時よりも随分と成長したようだ。

大人っぽい雰囲気になったと思う。

確か、今年で17になるのだったろう。


「久しぶりだな。いいのか? 王女様がこんな男に抱きついてきて」

「ラウスさんならいいんです! お父様もそうおっしゃっていましたよ」


 おい、いいのかよ。

何故俺はこんなにもこの国の重鎮たちから信頼されてしまっているのだろうか。


 そんなことを思いつつ、ラウスは王女様を引き離すと対面のソファーに座らせた。

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