第10話 メイルス王都
ボスウルフはスピードを緩めることなくどんどん進んで行く。
メイルス領に入ってしばらくすると、日が暮れてきた。
しかし、予想よりは早く進んでいる。
このペースでいけば明日にはメイルス王国の王都に到着できることだろう。
今日は次の街で一泊することにしよう。
「今日もありがとうね。また明日よろしく頼む」
ラウスはボスウルフから降りると、頭を撫でてやる。
『お役に立てて何よりです。それでは』
そう言って、ボスウルフは紫色の魔法陣の中に消えて行った。
♢
翌朝、ラウスは早朝から起き出して宿を出た。
今日中にはメイルス王国王都への到着を目指している。
「一応、アーナに連絡を入れておくか」
ラウスは通信用の魔法石を取り出して魔力を流す。
通信相手にはアーナを選択した。
すると、すぐに通話が承認された。
「朝早くから悪いな。今、大丈夫か?」
『おはようございます。大丈夫ですよ』
アーナの弾んだ声が魔法石から聞こえて来る。
「今日の夕方にはそっちに着きそうだから連絡した」
『本当ですか!? ずいぶん早いですね』
アーナは驚いた声を上げた。
「ああ、ボスウルフの力を借りているからな」
『なるほど! さすがはラウスさんです! では、使いの者を出しておきますね。検問所があると思いますがラウスさんの名前を出せば分かるようにしておきます』
アーナが王女としての権限を存分に使うようであった。
しかし、迎えがきてくれるのはありがたい。
「助かるよ。俺もアーナと会えるのを楽しみにしてる」
『私も楽しみにしてます!!』
そう言うと、ラウスは通話を終了させた。
アーナと約3年ぶりに顔を合わせることになる。
ラウスは街の門から外に出ると、少し歩いた所で召喚魔法を展開した。
「今日もよろしくね」
『主人、おはようございます』
ラウスはボスウルフの頭を撫でた。
そして、ボスウルフはラウスを背中に乗せる。
『では、参ります』
一気にスピードを上げて行く。
そこから何度か休憩を挟みながらもメイルス王都へと進んで行く。
「飯にするか」
『承知しました』
太陽が真上に上がった頃、ラウスはボスウルフに向かって言った。
魔法袋の中から干し肉を取り出すと、ボスウルフに食べさせる。
そして、ラウスも同じものを食べる。
食後のお茶を飲み干した後、ラウスは再び出発する。
ボスウルフにはポーションを飲ませた。
「行こうか」
『かしこまりました』
ボスウルフの背中に乗ってルースト王都を目指す。
日が少し傾いてきた頃、メイルス王都が見えてきた。
「この辺で大丈夫だ。ありがとう」
王都の検問所の少し手前でボスウルフを止めた。
「ゆっくり休んでくれ」
『ありがとうございます。主人もお気をつけて』
そう言うと、ボスウルフは紫色の魔法陣の中に消えていった。
ラウスはそこから歩いて王都の検問所へと向かう。
そして、王都に入るための検問所の列に並んだ。
さすがは王都の検問所である。
そこにはかなりの長い列が出来上がっていた。
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