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時のトキ  作者: ガオ
ハジマリノトキ
4/4

出会い

……………





………………




「……んッ…」


目が覚めた。


「……痛てて…あれ?なんで身体が痛いんだ?」


記憶が曖昧だ。とりあえず、周りを確認する。


「…⁉︎な、なんだこれ?」


丸い半円状の窪みの中にいた。俗に言うクレーターみたいな所に裸で……


「ハッ!そ、そうだ。お、俺は……魔法に失敗して……か、母さんは?」


額に嫌な汗が流れる。

……まさか…俺が……


「う、ゔぁァァァァアアアァ」


………その日は声が枯れるまで泣き続けた。





北の極地


「!!……西の方か…見に行ってみるか。」


彼は口元に笑みを隠しつつ南に飛びたった。


「ま、魔王様そっちは南っていうんですよ!!」


飛び立った魔王と呼ばれた者の口元には、笑みが消えていた。代わりに、頬が赤くなっていたような…なっていないような……





翌日


ジークは昨日のクレーターの中心から動けずにいた。なにもやる気が起きず思考する事を放棄していた。時間だけが流れて行く。


それから三日……

ジークは痩せこけ、力なく横たわっていた。このまま死んでも構わない。そう思っていた。かつて、神の前では生きたくてしょうがなかった彼だが、今では死を願っていた。


ただ早く死なせてくれと願いながら時は流れ、爆発から九日目に衰弱して彼は()()()の死を迎えた。





…………ガサッ…


「う…うぅん……はっ!し、死んでないのか?」


ジークは()()した。


「な、なんで死なないんだよぉぉぉ。クソがぁ!」


その時、ジークはふと思い出す。


「ま、まさかガチャで出たreplayのスキルか?リプライ……再生…俺は死ねなくなったのか?いや、そう考えるのは早計か。ただ、その今蘇ったのは事実だよな……」


スキルの事を考えていると、少し罪の意識が薄れていた。



「…ぃ!…い!おい!」


ビクッ!

考え事をして、人がいる事に気付かなかった。後ろを振り返ると、蝙蝠のような翼を生やした黒髪長身の男が立っていた。


「やっと気付いたか…貴様はここで何をしておる?」

「え?えーと…分かりません…何もしていないのかもしれません。」

「……??…では、このクレーターは何か分かるか?」

「こ…これは、……俺がやりました。」


そう、俺がやったのだ。俺が家族や家、村を消し去ったのだ。殺ってしまったんだ…

人に話す事で自分の行いを改めて理解した。


「そうか…では、小さき人間よ我と共に来い!」

「…? いや、俺は死にたいんだ。そ、そうだ!俺を殺してくれませんか?」

「フハハハハ!そうか!貴様()死にたいのだな?ならば尚更来い!我は魔王サタン。我と共に来ればいつか死ぬだろう。貴様名はあるか?」

「俺はジークです。本当は今殺して欲しいんですけどぉ……」

「そうか。ジークか。ジークよどうせすぐ死ぬ事になるゆえ黙って来い!!」


背筋が冷たくなるような感覚を覚えた。これが殺気か。殺してくれるならいいか…


「わ、分かりました。着いて行きます。」

「それでよい。城に転移するゆえ掴まれ。」

「はい。」


自称魔王の手を握った瞬間光りに包まれた。

こうして、死にたがりの人間と魔王は出会ったのであった。

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