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時のトキ  作者: ガオ
ハジマリノトキ
1/4

始まり

死の淵にふと考えた。

今までの人生何を成し遂げたのか。


ここまで普通に生きてきた。

普通に学校に行き、普通に就職、そして普通に結婚?

いや、結婚は出来なかった!!

まだ、アラサーだからしょうがない。

モテなかった訳ではない。ただ縁がなかったのだ。


「脈拍、・・弱まってます。」

「このままじゃ・・」


そして今、何故か救急車で運ばれている。

記憶が曖昧だ。

ただ、目が開かない。頭が徐々に白に塗りつぶされていく。これが死ぬということなのかと考え、そしてそれすらも白く・・・






「ここは・・」


真っ白な空間にいた。


「これが天国・・・?」


いや、俺は無神論者だ。

天国や地獄なんてない。死ねば無になるはず。

この白い空間が無なのか?

そもそも死ねば、思考することすら出来ないはず。



「やあ!」


ビクッ!!

周りを見ても、白一色。


「誰かいる・・のか?」

「目の前にいるじゃないか・・あぁ、君には魔力がなかったね。」

「魔力?」


何度目を凝らしても見えない。


「まぁ、見えなくても問題はないからいいか。君にはチャンスを与えにきたんだよ。」

「フッ、俺はチャンスや緑保留は信じてない。」

「??・・・何のことを言っているんだい?まぁ、いいや。君にはこれから転生してもらいます!」


転生・・・!イタイ創作小説の定番異世界か!!

ついに俺にも巡ってきたか!

千載一遇のチャンス!

まだ生きれるのか。


「あのー、異世界に転生という事でよろしいでしょうか?」

「おっ!君は察しがいいね!その通り、異世界に転生してもらいまぁーす!」


キタッ!

俺はガッツポーズ決めた。

しかし、ガッツポーズは白に塗り潰されて見えなかった。


「まぁ、このガチャで当たりを引けたらだけどね。」

「え?ガチャ?」


気が付けば目の前に、小学生の時お世話になったガチャガチャがあるような気がする。

白くてモヤモヤの中ほんのり見える…


「チャンスは3回!当たりには、君の転生する時のスキルが書いてあるよ。ハズレには何も書いてないからね。」

「・・ハズレを3回引けばどうなるんですか?」

「その場合は、輪廻の輪に戻ってもらおうかな。」

「つまり俺は本当に終わるってことですか?」

「そうなるね。まぁ、それが通常なんだけどね。」


どれくらいの確率なんだ・・・

そもそも何でこんなチャンスをくれるんだ?

クソッ!

上げて下げやがって・・いける気がしない。

結局は死ぬんだ。もう失うものはない。こうなりゃヤケクソだ。やってやる!


「さぁ、一回目引いちゃってよ!」


ドクン・・ドクン・・・


「・・・いっけええぇぇ!」


手首が千切れるほど右に回した。

半回転くらいで、さすがに持ち直してもう半回転回した。


コロン・・・!

真っ黒なカプセル!

パカっ・・・


・・・中には何も書いてない紙が入っていた。


「・・・」

「・・・これはハズレだね。」

「まだ、・・まだ二回ありますよね!」

「うん。まだまだこれからさ!」


後二回回せば決まる。

生か死か。気付けば手が震えている。

白くて分からないけど、感覚的に分かる。

・・・やるしかない。こういう時は単調な思考に陥りやすい。だが、やるしかない!!


「た、頼む!」


ギリギリ、ギリ、ギリギリ!

コロンッ!

くっ!また、黒だ!

パカッ・・


「はーい。ハズレー!やっぱり君には無理かなー」

「・・・クソッ!大体何分の一で当たりなんだよ!!」

「8192分の1」

「あなたが神か!じゃなくて、そんなの無理だろ!」

「でも、君が生きたいのなら引くしかないよね?」


どうしたらいいんだ。普通にやったら終わる。つまり死ぬ。もうやるしかない。ぶっ壊す!!


「さぁ、最後のチャンスだよ!」


先程までの震えは止まっていた。

一周回って心の芯まで冷えていた。

ぶっ壊す!ぶっ壊す!ブッッ壊す!!


「・・・」


ギリッ、ギッ、ガリッ、ガリガリガリガリッ!!

俺は冷徹な眼差しで全力で回した。左に!!


「こ、壊れちゃうぅぅー!」


途中変な声が聞こえたが回しきった。


・・ゴロン

金のカプセルッ!!

少し重いようにも感じる!


「こ、これは当たりだろぉ!」

「さぁ?開けてみなよ!」


・・パカッ


(replay)


・・・紙にはそう書かれていた。


「えーと、これはどういうスキルなんですか?」

「それは自分で確かめてよ!」

「ということは、俺は転生出来るって事ですよねッ!」

「そうだよ。君は裏技・・真の攻略法で勝ち取ったのさ!」


・・やった!やったんだ!これで俺はまた生き直せる!!


「あ、あれ?」


白の空間が黒に塗り潰されていく。


「これってもう転生しちゃいます?余韻とか、聞きたいことがあるんですけどー!」

「説明は不用さ!自分で見て感じて理解するのが一番さ。」

「ちょ、ちょっと待ってぇぇー」


白は完全に黒に塗り潰された。


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