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【Ⅳ】戦うあたし

【Ⅳ】戦うあたし


〈十二月十九日 日曜日〉



毛布に覆われ、異様な雰囲気を放っている鏡台の前に座って、ひたすら考えていた。

 どうすれば真実を明らかにすることができるんだろうか。

 まず手っ取り早いと感じたのは、すきを見計らって、高台の小屋裏を掘り返すことだった。

 でももしそれで本当に死体とか出てきたら、あたしは耐えられるだろうか? それに、昨日鉢合わせしてしまった以上、穴に埋めた「なにか」を別の場所に移されてしまった可能性も高い。

 となれば、あとは考えて、推理するしかない。メアちゃんに、一体なにがあったのかを。

 もうなにも映せない鏡を見つめる。

 多分、鍵はあたしの記憶の中にあるんだ。今まで見てきたことの中に、ヒントはきっと眠っている。

 そう強く信じて、あたしは過去をたどっていく。

 思えば、沢山の人から話を聞いた。昼も、夜も、メアちゃんの周りには色々の人が関わっていたんだ。

 パズルのピースをよく混ぜてから作り直すように、あたしは全ての証言を思い返し、少しずつ形を作っていった。

 ……やがて、出来上がったのは二つの異なるカタチだった。


→〈昼の疑惑〉情報提供者:二年二組の生徒たち

 芽亜里は妹を手にかけた。芽亜里は体育の時間に消えては、倉庫の備品のスコップを使って、死体を埋めていた。その証拠に、芽亜里の部屋には妹の物品の名残があり、二人の関係が良好でなかったことを匂わせる証言もある。また夜に出会った芽亜里の様子も尋常でなく、人を殺めてきた帰りのようだった。



→〈夜の雑音〉情報提供者:八百屋やおや雅章まさあき結城ゆうき彩子あやこ結城ゆうき芽亜里めあり(夜)、ゆめっち、つじ奈緒美なおみ

 最近地域の様子がおかしい、夜中についた電気とひそひそ声。メアの家には〝消えるべき人間〟がいる。メアは高台で見学していただけ。ゆめっちはゆめに成り代わる。クラスメイトは噂好き。


 二つを見比べてみると、昼に聞いた情報を集めた〈疑惑〉は、きれいなストーリーになっている。対して、夜の情報を集めたものは〈雑音〉と呼べるような、バラバラの発言だった。

 やっぱり、メアちゃんが殺人犯とするのが一番しっくりくる。というか、探偵なら、きれいな昼の情報をもとに、事件を推理するべきなんだろう。

 でも、あたしは探偵じゃない。ただのメアちゃんの友達の、高崎ゆめだ。それに、今のあたしには〝おまじない〟がある。

「信じたいものを、信じること」

 それが今のあたしにとっての、最強の〝おまじない〟だ。

 友達を殺人犯に仕立て上げるなんて真実、認めてやるもんか。それにこれ以上情けない姿を見せたら、きっとゆめっちに本当に成り代わられてしまうだろう。

 そんな風に自分を鼓舞したとき、なにかが頭に走った。

 なんかあたし、とても大切なことを思い出したような……。そういばさっき、なんて考えたんだっけ?

 えーと、あれは確か、

「このままじゃ、ゆめっちに成り変わられて……」

 口にした瞬間、電流が流れたようなひらめきがあった。

 そうか、そうだったんだ。

 奈緒美ちゃんの言ったとおりだ。真実はずっと、あたしの中にあったんだ!

 

 日が傾くころ、あたしは考えをまとめ終わった。

 そして同時に、これからやらなきゃいけないこともわかっていた。

 部屋を出て一階に降りると、一直線に居間に置かれた黒電話の前に向かう。

 そして記憶を頼りに、丁寧にダイヤルを回して電話をかけた。

 ――数回のコールで、お目当ての人が電話口に現れた。

『もしもし、結城ですが』

 いつもの声だ。

 冷たくて厳しい、いつもの彼女の声。

 でも、もうその声に対しての恐怖はなにもなかった。

「もしもしメアちゃん? ゆめだよ」

『あら、あんただったの。ついに迷惑電話まで掛けてくるまでに落ちぶれたのね』

「例え迷惑でも、聞いてもらいたい話があるの」

 毅然と言うと、少し間が空いた。

 やがて、ぎこちない返事が返ってくる。

『申し訳ないけど、私も忙しいのよね。長くなるようなら……』

「ううん、長くなんてならないよ。たった一言、それだけ伝えられれば良いんだよ」

『……なにかしら?』

 胸に手を当てて、少し息を吸う。

 そして、大きな声で言った。

「明日、十二月二十日の朝七時に、学校の高台まで来てほしいの。大切な話があるから」

 また間が空いた。

 今晩のメアちゃんは、調子が悪いみたいだ。

 〝予想通り〟だ。

 やがて、メアちゃんの返事が返ってくる。

『いいわ……。明日の、七時ね』

 その声が震えているように聞こえたのは、きっと気のせいじゃない。

「ありがとう。それじゃあ、絶対に来てよね」

『ええ』

 返事を聞いてから、ゆっくりと受話器を置く。

 これで「決戦」の準備は整った。あとはあたしの覚悟次第といったところか。

 未来のことはわからないけど、それでも一つだけわかっていることもあった。

 たった一つ。

 メアちゃんを巡る事件は、良くも悪くも明日終わる。

 それだけだ。 



〈十二月二十日 月曜日〉


 緊張もなく、ぐっすりと眠れたらしい。あたしは目覚まし時計よりも早く目覚めた。

 ひさしぶりに爽快な朝だった。

 こういう日は、いい日になるってジンクスがある。だから大丈夫。

 ベッドを出てから、これからやるべきことを思い出してみる。

 まず朝ごはんを食べて、

 歯を磨いて、

 軽くシャワーを浴びて、

 でもその前に……。

 あたしは鏡台のそばに近寄ると、そのまま毛布を一気にはがした。

 そこにはピカピカの鏡があって、朝の光を反射していた。 

 鏡に映ったあたしの顔に向かって、一つだけ唱える

「出てきていいよ、ゆめっち」

 言葉にすると同時に、鏡の中のあたしが少し揺れる。そして、にっこりと微笑んだ。

『もう、あたしのことは怖くないの?』

 たしかにゆめっちの言葉だった。

 だからあたしは微笑み返してやる。

「うん、だってあなたはあたしの一部じゃない」

『元気になったんだね』

「閉じ込めたりしてごめんね。ゆめっちが脅かしてくれたお陰で目が覚めたよ」

『それはどういたしまして』

 あたしたちは、ようやく笑い合えた。

 鏡台の上に置かれたヘアゴムを手にとって、後ろ手に髪を結ぶ。それからあたしはゆめっちに頭を下げた。

「お願いゆめっち、もう一度だけ力を貸して」

 顔を上げると、あたしが笑っていた。

『もちろん。ゆめっちにできることだったら、なんでも』

「ありがと、やっぱ最高だよ。あたしは」

 それからあたしは、ぱっぱと準備を終わらせた。

 これから旅行にでも出かけるような、清々しい気分だった。

 もちろん、忘れてはいない。

 玄関口で、真っ白なハチマキをしっかりと巻いてから家を出る。

 ……あたしはゆめっち。

 お喋りとメアちゃんが大好きな、もう一人のあたし自身。


*


 高台についたのは、時間ピッタリだった。

 朝靄あさもやに包まれた小屋のすぐ前に、メアちゃんの姿がった。

 見る限り手ぶらだ。さすがに今日は、なにも大きいものは持っていない。

「おはよ、ゆめっちに会いに来てくれてうれしいよ!」

 あたし……すなわち「ゆめっち」の甲高い挨拶に、メアちゃんは少し残念そう顔をした。

「たしかに、すごく久しぶりな気がするわ。今みたいな、無駄に元気なあんたと話すのは」

 その物言いは『ゆめ』と『ゆめっち』の違いを見透かしたような言い方だった。

「いつだって元気でしょー!」

「そうかしら」

 軽く流して、メアちゃんは先を急いだ。

「さ、早く本題に入って頂戴」

 どうやら直球勝負がお好みらしい。

 だったらすぐにでも始めよう。

「実はね、ゆめっちはメアちゃんについて一つ推理を立てたんだ」

「へえ、そうなの。陸上部上がりのくせに、推理とか難しい言葉を知っているわね。聞かせてもらえる」

 煽り半分なセリフも、ゆめっちには通じない。

「正直に言って欲しいんだけど、メアちゃんさ、妹ちゃんのこと殺して、ここの小屋の裏に埋めちゃったでしょ」

 本当に直球を投げ込むと、メアちゃんは鼻で笑った。

「それがあんたの推理っていうわけね。ってことは、私ももうお終いかしら。一月に一回くらいは、刑務所で面会しましょ」

「あははは、ウケてよかったよ。……だってこんな推理、冗談だし」

 さすがにこれには、メアちゃんも驚いたようだ。

「どういうことかしら」

 すぐに尋ねてきた。

 まず一本取れたって感じで満足したので、あたしは本題に入ることにする。

「だから、ゆめっちは思ってたよ。メアちゃんが妹ちゃんを殺して、荷物も全部捨てちゃって、最後は埋めてしまったんだって。……最初はね」

 メアちゃんは手元をせわしなく動かして、不愉快そうにしていた。

「考えを変えて頂けたみたいで嬉しいけれど、いずれにせよ愉快な話じゃないわね。そうだ、あんたのことも消しちゃおうかしら」

 すごく物騒な発言だ。

「まあまあ、消す前に真面目な方の推理を聞いていってよ。ゆめっちのことをスコップで殴って埋めるのは、それからでもいいでしょ?」

「あら、少しは言うようになったのね、ゆめ……いいや、ゆめっちかしら。ご褒美に、あと少しだけ付き合ってあげるわ」

「ありがと、やっぱり大好きだよ」

「私は嫌いよ」

 軽く振られたことは気にしないことにして、一気に言ってしまう。

「ゆめっちの推理、それはね……メアちゃん、あなたが実は『結城芽亜里の裏自分』だって推理だよ」

 聞いた瞬間に、メアちゃん首をかしげた。

「裏自分? 聞いたこともない単語ね」

「しらばっくれるつもりなら説明してあげる。裏自分っていうのは、学校で流行ってる〝鏡のおまじない〟によって生み出された、別の人格のことだよ」

「それなら聞いたことあるわ、夜中に鏡の前でナントカって唱えると、理想の自分が現れてくれるんでしょう?」

「そう、だからその理想の自分、つまりゆめっちが〝裏自分〟って呼んでる人格こそ、メアちゃんの正体なんだよ」

 腕を組んで、拒否感を露わにする。

「つまりあんたはこう言いたいワケ? 今喋ってる私は、本来の結城芽亜里の人格じゃないと」

「そうだよ。そして、その本来の人格っていうのが……空ちゃんなんだ」

 一歩前に出る。

「メアちゃん言っていたよね『妹がいる』って。でも一方では『結城空なんて人間はいない』とも言ってた。ゆめっちはね、ずっとこの矛盾の理由を誤解してた」

 そう、だから最初にあたしは間違えた。

「ゆめっちはね、ずっとメアちゃんのことを殺人犯なんじゃないかって疑ってた。ってゆーか、なんなら結城一家全員を疑ってたよ」

 自己弁護になっちゃうけど、そういう結論になるのも無理はなかったと思う。

「ゆめっちが事件を調べだした時、最初に聞いたのは、メアちゃんの家から言い争う声が聞こえるって話だった。メアちゃんは家族と問題を抱えてるって話も聞いた。だから、不安になって家を訪ねたら、メアちゃんのお母さんに『妹なんていない』とか『消えるべき人間がいる』とか言われちゃった」

 今思い出しても、ひどいことの連続だった。

「それで、あらためてお家に招かれたと思ったら、妹ちゃんの荷物っぽいものが入ったゴミ袋を発見しちゃうし、メアちゃんまで『妹はいない』って念押しされた。その上、帰る時に表札を見たら、結城空なんて名前ないじゃない! これはもう絶対だって確信したね。メアちゃんは妹と関係が上手くいかなくなった末に、殺したんだって。本気で思ったよ」

 さらに一個付け加えるなら、その翌日にスコップ事件だ。我ながら、よく発狂しなかったなと思う。

 感慨にふけっていると、ずっと黙って聞いていたメアちゃんが口を開いた。

「なら、やっぱり私が妹に手をかけたと考えるのが自然じゃないかしら?」

 確かにその考えはもっともだ。

 でも、認めない。

「それは違うよ。あたし……ゆめっちがメアちゃんの殺人を疑ってたのは、それ以外に状況を説明する方法がなかったから。でも見つけたんだ、別にメアちゃんを殺人者にしなくても、全てを説明できる方法を」

「なるほど。それが〝裏自分〟とやらだったと」

 どうやらメアちゃんも察してくれたようだ。

「うん。これまでのメアちゃんの行動はぜんぶ、裏自分で説明できるってことに気が付いたんだ」

 身振り手振りを付けながら、説明を始める。

「前提として、いまあたしと話している人格を『メアちゃん』、そしていまは裏に回っているけど、結城芽亜里という身体の本来の持ち主になる人格を『芽亜里』って呼ぶことにするけど、いい?」

「好きになさい」

 相槌を聞いてから、一つ一つ順を追って解説する。

「まず、メアちゃんは十二月一日に『結城空という名前の妹を、学校に来させて欲しい』ってあたしに頼んだ。でも、これは半分くらいは嘘の話。ゆめっちの推理が正しければ、本当は『〝芽亜里〟を、学校に来させて欲しい』っていうお願いだったんだよ」

 そう、メアちゃんも言っていた通り、結城空という人間は最初からいない。

 いたのは、あくまでも『芽亜里』という、結城芽亜里本来の人格。

 これをあたしの状況で例えるなら、

 不登校になった〝ゆめ〟(あたし)を救うため、裏自分の〝ゆめっち〟が代わりに登校して、友達に「〝ゆめ〟を助けて」ってお願いした……っていう感じになる。

 でも、友達からしたらそれは「不登校のあたしを助けるために、いま登校してるあたしに協力して」って言われるようなもだ。きっと、頭がおかしくなったと思うだけだろう。だからメアちゃんは、『結城空』という架空の妹を作り出した。そうすれば「不登校の妹を助けるために協力して」と言えばいいので、かなり話が簡単になる。

 一度息を吸ってから、あたしは続ける。

「でも、裏自分の『メアちゃん』と、本来の人格である『芽亜里』は、あんまり仲が良くなかった。学校に苦情を入れたレコード屋さんが聞いたのは、『メアちゃん』と『芽亜里』が言い争う声だったんだよ」

 それを聞いて、メアちゃんは嘲笑する。

「自分と喧嘩だなんて、あんたの妄想だとしてもお笑いね」

 なるほど、やっぱりこっちの話を認めるつもりはないらしい。

 だからきっぱりと言う。

「お笑いなんかじゃないよ、だって、ゆめっちがそうだったから。あたしもゆめちゃんと喧嘩したもんね!」

「ふーん。つまり、裏自分とか〝おまじない〟ってのは、あんたの経験則だったわけ。前々からあんたの変貌ぶりには気がついていたけど、まやかしに頼ってたなんて、堕落したものね……ゆめっちさん?」

 それについてはなんというか……返す言葉もない。反省してる。

 挑発には答えずに、あたしは説明に戻った。

「……仲がどんどん悪化したことで、『メアちゃん』は考えを変えた。具体的に言えば『芽亜里』を消して、結城芽亜里という人間を完全に乗っ取ろうとした。鏡の中の裏自分ではなく、正真正銘、表の自分として。または、自暴自棄になった『芽亜里』にそうして欲しいと頼まれたのかもね」

 言いながら、あたしは一昨日の晩のゆめっちを思い出す。

 狂ったように笑いながら、言い放ったセリフ。

『ゆめちゃん、これだけは覚えておいて。うかうかしていると、私はあなたに成り代わる。私はあなたの一部なのだから』

 あれはきっと、ヒントだったんだろう。

 だからあたしはたどり着けたんだ、自分の信じたい唯一の推理に。

 胸を張って、メアちゃんに指を突きつける。

「『メアちゃん』、あなたはその体を乗っ取るために、『芽亜里』の私物をゴミに捨てたり、『妹はいない』と言い切ることで、『芽亜里』の存在をかき消そうとした。そうだよね?」

 言い放たれた声は、早朝の高台一面に響き渡る。

 かくして、事件は解決……とはいかないみたいだ。

 話を聞き終わったメアちゃんは、とうてい受け入れられないという表情だった。いつも浮かべている氷のような笑いすら消え去って、怒りだけがにじみ出ている。

「あんた、自分がなにを言っているかわかってるのかしら。この私を〝おまじない〟から生まれたまやかし呼ばわりした上に、そのたくましい想像力であることないこと並び立てたのよ?」

 メアちゃんは突き刺すように睨みつける。

「……もちろん、これだけ侮辱が吐けたということは、もちろん証拠があるんでしょうね?」

 予想していたセリフではあったけど、その迫力にすこし気圧される。

 だけど真相を暴くために、この最終関門を乗り越えなくちゃならない。

 あたしはなんとか目をそらさずに踏ん張った。

「わかった、今から話すよ。でも約束して、あたしの言う証拠を否定できなかったら、この推理を認めるってね!」

「ええもちろん。喜んで認めるわ」

 メアちゃんは約束してくれた。

 つまりこれからが、ほんとのほんとに正念場。勝つか負けるかの、勝負の土俵になるわけだ。

 でももう逃げない。最初に「戦え」と言ってくれた、親友のために。

 できるだけはっきりと、考えを言葉にする。

「じゃあ最初に、今までの経験から得られた裏自分の性質について話すね。

 それは大まかにわけて二つ。

 その①、裏自分は本来の人格と真逆の性質を持つ。

 その②、裏自分は光のあるところでしか存在できず、暗い場所や夜には消えてしまう。

 つまり『メアちゃん』が、これらの性質を持ってれば、裏自分だっていう証拠になるよね?」

「ええ。そうなるでしょうね」

 前提を理解してくれたようなので、いよいよ証拠に移る。

「メアちゃんって、どっち利きだっけ」

「右よ。知ってるでしょう」

「……でも改札の形には、文句を言ってたよね?」

 思い出されるのは、デートをした日。

 メアちゃんは改札を通るのに少し手間取って、その理由を「駅員が右側に立っているから」と言っていた。

「あたしはあの時、メアちゃんがたまたまきっぷを左に持っちゃったせいで、手間取ったんだと思ってた。でもよく考えたらおかしいことだよね。右利きの人が、反射的に左手できっぷを取り出しちゃうところなんて、見たことないよ」

 利き手についての違和感は他にもある。

「あと、あの日はメアちゃんの家で切り絵をやったよね。その時に使ったハサミも、やっぱり左利き用のハサミだった。でもどうして、右利きのメアちゃんの部屋に、左利き用のハサミなんか置いてあるのかな。実際、メアちゃんも切りにくいって言ってたよね?」

 メアちゃんの反応は待たずに、さらに続ける。

「これらの変なことも、裏自分の性質①を使えば説明できる。だって『メアちゃん』が右利きなら、『芽亜里』は左利きってことになるからね。それで、まず改札の件だけど、『芽亜里』が本来の人格だとすれば、結城芽亜里の体には『芽亜里』の習慣が染み付いているはずだよね。だから反射的に左手を使っちゃう時があるんだって考えたら、あの時、メアちゃんが思わず左手できっぷを持っちゃったのも納得だよ。次のハサミの件も、切り絵が『芽亜里』の趣味って考えたら話が通る。左利きの『芽亜里』が、左利き用のハサミを持っていることはなにもおかしくないからね」

 一気にまくしたてて、一つ息を吸う。

 メアちゃんと目が合った。こっちを品定めするみたいだった。

「……もう終わり?」

 表情一つ変えないメアちゃんに、少しだけ焦る。

 口調も自然と強くなった。

「いいや、これで終わりじゃないよ。おかしな点は他にもあるんだから! まず、あの部屋にはメアちゃんの趣味の大きなものが一つもなかったし、切り絵だって、『自分の趣味じゃない』って言ってた。それを、どうして部屋に置いて――」

「ゆめ、いいえ『ゆめっち』」

 言葉を遮って、メアちゃんは名前を呼んだ。

 あたしが驚いて顔を向けると、メアちゃんは憐れむような声色で切り出した。

「ゆめっち、あんたもほんとはわかっているんでしょう? 『無理がある』って。あんたの意見は、しょせんは私の些細なエラーに意味をくっつけただけ。思わず左手できっぷを持っただけで、どうして裏自分だなんて疑われなくちゃならないのよ。ほんと、やり口がしょぼい占い師みたいで、気に入らないわ」

 冷静に、そして的確に、メアちゃんは言葉を選んで攻撃してくる。

「長々とお喋りになっていたけど、しょせんは状況証拠に過ぎないわね。動かぬ証拠を出してくれなくちゃ、認めたくても認められないわよ?」

 冷たい朝の風にお下げ髪を揺らしながら、メアちゃんはそうやって凄んでみせる。

 顔には自信と余裕があり、勝利を確信しているように見えた。

 あたしはため息をつく。

「はぁ、やっぱりこれじゃ認めてくれないんだー」

「もちろん。あんたの話を信じるなら、今日はわざわざ裏自分とやらを出してきたようだけど、無駄だったようね。ご愁傷さま」

 どうやら、ゆめっちの存在を完全に理解した風だ。それが高すぎる洞察力ゆえか、それとも、自分が裏自分だからなのかはまだわからない。

 でも、きっとすぐにわかる。

 風でよれてきたハチマキを結び直して、顔を上げる。

「なら〝これから作る〟よ、動かぬ証拠ってやつを!」

「はぁ? 作る? 見せる、じゃなくて、作るですって?」

 驚き半分、呆れ半分といった様子のメアちゃんに、あたしは笑いかける。

「メアちゃん、動かぬ証拠っていうのはつまり『メアちゃんがどう頑張っても否定できない証拠』ってことでいいよね?」

「え、ええ」

「なら大丈夫、もう一つの推理が、それを解決してくれるから!」

 メアちゃんが少し後ずさる。

「もう一つの推理……? ふん、言ってみなさいよ。どうせ時間の無駄でしょうけど」

 あたしは一歩前に出た。

 いつもはこうやって追い詰めるのは、いつもメアちゃんだった。

 でも、今日だけは逆。

「じゃあ言うね。……『芽亜里』ちゃんってさ、ゆめっちのこと好きでしょ」

 放り投げられたその推理に、メアちゃんはしばらく絶句していた。

 目を泳がせ、顎に手を当て、最終的にはあたしの頭の方を注視する。

「頭が、おかしくなったのかしら」

 いきなり狂人認定をくらってしまったけれど、あたしはさらに前に出た。

「おかしくなんかないよ。だって、さっきから何度も言ってるでしょ、『裏自分のその①、裏自分は本来の人格と真逆の性質を持つ』って」

 そこまで言ってようやく気が付いたのか、メアちゃんが目を見開く。

「まさか……」

「そのまさか、だよ。ゆめっちは百回もメアちゃんに告白して、そして振られた。正直こんなこと言いたくないけど、たぶん今だってすっごく嫌われている。でも、」

 力を込めて、言い切る。

「でも、『メアちゃん』があたしのことを嫌っているってことは、逆に『芽亜里』はあたしのことを大好きってことになるよねー! そしてそれさえ証明できちゃえば、自動的にメアちゃんが裏自分だっていう根拠にもなるんだよね」 

 そう、これは鏡の世界のお話。

 上は下、右は左になる世界でなら、「嫌い」は「好き」へと変わるんだ。

 でも、そんな屁理屈を受け入れるメアちゃんではない。

 今日一番に動揺し、頭を抱えながら、あたしの言葉を跳ね返す。

「そんな、ことを……よく、根拠もなく……」

「根拠ならあるよ!」

 大声で叫んで、あたしは振り返る。そして高台の下に見える校舎の方を指差した。

「あそこに見える横断幕、あれが証拠だよ!」

 振り返るのは、少し前のできごとだ。

「十二月六日のことを覚えてる? あの日の夜に、ゆめっちたち会ったよね」

「ええ、でもそれがなに?」

「やっぱり覚えててくれたんだ。でも、ゆめっちの方がもっと覚えてるよ。メアちゃんはあの時、体育の時にはこの高台で見学してるって話と一緒に、あの横断幕の話をしたんだよ」

 まさに今遠くではためいている横断幕を見つめる。

「メアちゃんはあの晩、マラソンの授業中はここの小屋にいるって教えてくれた。だからあの日も小屋に行って、その時に見た横断幕の内容が気に入らなかったって話をしたんだ」

 あたしは横断幕の方を指差し、そのままなぞるように下の方へと指を向ける。

「中でも、一番ボロボロに言ってたのは、あの横断幕下半分に書いてある創作ダンス部のことだった。『気に入らなすぎて、全員名前覚えちゃったー』って、カンカンだったよね」

 メアちゃんはやはり、なんのことだかわかりかねる、という不審な表情をしていた。

「それがどうして、『芽亜里』があんたのことを好きだって証拠になるのかしら」

 さすがにこれだけじゃ、察してくれないか。

 あたしはさらに指を下げて、ちょうど横断幕の真下あたり、校舎の側面を示した。

「あの横断幕の真下、見学スペースなんだよ。あの日の体育の授業で、ゆめっちは怪我をして、あそこで見学してたんだ」

「ええ、無様だったわね」

「……ここで話を戻すけどさ、どうしてメアちゃんは横断幕なんか見てたのかな? だってメアちゃん、つまらないことは絶対にしない主義でしょ。体育を見学してるのもそう。あそこの見学スペースじゃなくて、高台に行ってるのもそう。全部、自分が気に食わないからって理由でそうしてるんだよね。なら、どうしてつまんない横断幕の内容なんか、ずっと見てたのかな?」

「それは……」

 そこで言葉がつまるのは、きっと当然のことだ。

「言いにくいんだったら、あたしが代わりに言ってあげるよ。ずばり、『芽亜里』は横断幕じゃなくて、〝あたしを見てた〟んだよ」

 もう一度眼下の見学スペースに目をやる。じーと眺めてみると、やはりあたしの考えが正しいという確信が持てた。

「あのあたりで見学してたあたしを、『芽亜里』はずっと見てたんだ。だから、そのすぐ真上にあった横断幕の内容をよく覚えていた。それも、あたしに近いところにあった、創作ダンス部の部員の名前を暗記しちゃうくらいね」

 振り返って、またメアちゃんの方を見る。少し気まずそうに目を伏せるメアちゃんに、微笑みかけてやる。

「あと忘れてるかもしれないけど、メアちゃんはあの時、ゆめっちが先生に巻いてもらったピンクのハンカチのことまで言ってたよね。実はあのハンカチ、あたしも巻いてるのが恥ずかしいというか、申し訳なくて、傷口を洗ってからすぐ先生に返したんだよ。時間にしたら、ほんの十五分くらいだったかな。でも、そんな短時間のことを、メアちゃんは指摘してくれた。これはやっぱり、あたしのことをずっと見てたって証拠だよね」

 メアちゃんが唇を噛むのが見えた。

 そんな彼女に、あたしは今こそと畳み掛ける。

「まさか、どうしてずっと見てたか、なーんて野暮な質問しないよね? 特定の人をずーと眺めてる理由なんて、一つしかないんだからさ」

 しばらく、返答は返ってこなかった。

 これでトドメかと思ったけれど、メアちゃんはまた顔を上げた。

「いい線は行っているわね。でもあんたの推理はやっぱり、『メア』と『芽亜里』……だっけ、その二つの人格の存在なしでは成り立たない。そこを証明できない限り、ただの詭弁の域を出ないのよ。それに、百歩譲ってその前提が正しいとして、どうしてここに立ってあんたを眺めてたのが、『メア』でなく、『芽亜里』の方だとわかるのよ」

 なるほどそれは、確かに痛い点をついていた。

「じゃあメアちゃんは、『芽亜里』なんて人格はいないし、ここで横断幕を見てたのも、当然メアちゃん自身だって言いたいんだね?」

「そうよ! さっきからそう言ってるでしょ?」

 苛立ちからか、腕を震わせて言い放ったその言葉は、

 ……あたしが、ずっと待っていた一言だった。

 あたしはあまりのおかしさに吹き出した。

「あははっ、へぇーそうなんだ、ここで見てたのは『芽亜里』じゃなくて『メアちゃん』の方なのかぁ! なら、もっと嬉しいなぁ」

 煽りたっぷりのセリフに、メアちゃんも目をむく。

「どうして……そんな態度を取れるわけ? あんたの推理も、これでお終いのはずなのに……」

 おやおや、相当驚いている様子だ。なら、教えてやらないこともない。

「メアちゃんさ、自分の言ってることをよく考えた方がいいよ。だって、あの時に見てたのが『芽亜里』だったにせよ、『メアちゃん』だったにせよ、ゆめっちのことをじーっと見つめてたって事実は変わらないんだよ? もしメアちゃんの言う通りなら、ゆめっちを見てたのは『メアちゃん』ってことになるけど、いいの?」

 しまった、という顔が目の前にあった。

 そんな姿が愉快で、かわいくて、愛しくてしかたがない。

 だからこそ、あたしは手も口も緩めない。

「しかもー、メアちゃんだとすると、『芽亜里』がゆめっちを見てたって場合よりも、もっとすごいことになるんだよ。だって、メアちゃんって記憶力、特に短期記憶が弱いんでしょ? 何回も見て、じっくり振り返らないと覚えられないって、デートの時に言ってたよね。だけどあの晩のメアちゃんは、あたしのすぐ上にあった創作ダンス部の名前を暗記してたよね。……それってあれかな、苦手分野を克服しちゃうほど、いたいけなあたしの姿から目を離せなかったってことなのかなぁ?」

 きゃー、そんな何回も見ないでー!

 じっくり振り返らないでー!

 あたしは騒いだ。今日だけは、自分が一番魅力的な人間だと信じて。 

 メアちゃんはしばらく前を見たままだった。口を何度も開けようとして、やめるのを繰り返す。

 でもついに彼女が探している反論は見つからなかったみたい。

 メアちゃんはばさっと、その長い両手を空中に上げた。

「あーあ、降参よ。なるほど、あんたが『証拠を〝作る〟』って言ってた意味がわかったわ。つまりあんたは、物的証拠なんか出せなくても、この私が、〝否定できない〟証拠さえ出せれば勝ちだったわけね。……確かに、体育のあいだじゅうあんたの姿をずっと見てたなんて、口が裂けても認められないわ」

 寂しげに腕を抱きながら、メアちゃんは正面を向く。

「……そうよ、私は『メア』。結城芽亜里の〝裏自分〟」

 それはずっと聞きたかった言葉だったけれど、いざ実際に耳にしてみると、やっぱり驚きだ。あたしも人のことを言えないけれど、こんなに堂々と人間生活を送っている裏自分は彼女くらいなんじゃないだろうか。

 反応に困っていると、メアちゃんは穏やかな表情でこっちを向いた。

「あんたの名前は、『ゆめっち』だったかしら。私って記憶力がないから、自信ないのだけど」

 そう言って、右手をこっちに差し出してくる。

「まあ、今後は仲良くしましょ。お互いに、同じ〝裏自分〟として、勝ち負けなんかつけずにね」

「あ、うん」

 手を握り返すと、メアちゃんの手はすごく冷たい。

 いや『芽亜里』の手か。

 どちらにせよ、メアちゃんはしばらく握られた手を見つめていた。はたから見れば、早朝から密会するカップルに見えるかもしれない。

 でも、そこでふとあたしは違和感を感じた。

 それはいまさっきのメアちゃんのセリフだ。

『同じ〝裏自分〟として、勝ち負けなんかつけずにね』

 勝ち負けなんか、つけずに……。

 それが引っかかった。だって、勝負はついたはず。メアちゃんも自分の正体を白状して、あたしの勝利で……。

 はっとして顔を上げると、メアちゃんと目がった。

 そこには、冷たく、底の知れない色が浮かんでいた。

 間違いない。『メア』はまだ、負けを認めてはいない。これだけ言いくるめられ、正体がバレてなお、勝機を見据えている。

 あたしがなにかを推理するよりも早く、彼女は動いた。

「『ゆめ』は、ずいぶんと性能の良い裏自分を持ったものね。私のように、言うことを聞かないただの悪霊だっているのに」

 言葉と同時に、握られていた手に力がかかる。とっさに振りほどこうとしたけど、離せない。

「ちょっと、痛いよっ。メアちゃん……」

 あたしの悲鳴を無視して、メアちゃんは喋り続ける。

「でもね、裏自分に頼るということは、それがどんなに善良な人格だったとしても、危険なことなのよ。……それを今から、教えてアゲルっ!」

 その咆哮と同時に、腕が引かれた。

 体のバランスが崩れ、あたしはメアちゃんの方へと引っ張られる。

 前を見ると、そこには小屋の入り口があった。

 OBの先輩によって作られたその木造の小屋は、見た目こそ綺麗だけど、中は真っ暗だ。

 そう、真っ暗。

 裏自分が出てこられないほどに。

「まさか……」

 あたしはやっとメアちゃんの意図に気が付いた。

 しかしもう遅い。

「裏自分に頼り切った人間は、その分だけ弱くなる。まさに『芽亜里』がそうだったわ。そしてそれはあんたも同じ。裏自分という裏面が強まれば、表裏一体の表の自分はどんどん存在を失い、意思は弱くなり、思考力も鈍くなる」

 メアちゃんは小屋の中の暗闇に向かって、全力であたしの体を押し込んだ。

「さようなら、『ゆめっち』。あんたさえ消えれば、残されるのはただの『ゆめ』。私が大好きな、弱くて、愚かな彼女に戻ってくれるのよ」

 次の瞬間、あたしの体は完全に闇に飲まれた。


 勢いのままに、小屋の床に倒れ込む。冷たい地べたに投げ出され、足を打った。

 でも、あたしは死んではいなかった。

「あたしは、ゆめっち……」

 床に手をついて立ち上がり、前を向く。

 目の前には、驚愕するメアちゃんに姿があった。

「どうして、どうして消えないの!? だって裏自分は……」

 そこで、メアちゃんはなにかを察したように目を開いた。

「まさか、あんた、は……」

「そうだよ。あたしはゆめっち……なんかじゃない!」

 足と手の痛みを堪えながら、メアちゃんの前に立ちふさがる。

 呆然とする彼女の表情を見送りながら、あたしは頭のハチマキに手をかけると、勢いよく解いて足元に投げ捨てた。

「引っかかったね、メアちゃん。あたしは最初からゆめなんだよ。つまり、今日は髪を後ろで結って、ハチマキして、ゆめっちのフリをしていただけ」

 メアちゃんはまだ、信じられないという顔をしていた。

「そんな、できるはずがない。弱虫で、駄目だったあんたが、ゆめっちのような力強さでこの私を追い詰めるなんて、できるはずがない!」

 その言葉には、心から同意できる。

「正直、あたしだってまだそう思ってるよ。でもね、ゆめっちがいつも言ってたんだ『私はあなたの一部なんだ』って。あたしも最初はそんなこと信じてなかった、でもわかったんだ。裏自分は、なにもかも真逆の、鏡の中の像じゃない。理想の自分でもない」

 暖かな勇気に突き動かされるのを感じながら、あたしは言う。

「裏自分は、ちょっと手を伸ばせば手が届く、〝なりたい自分〟だったんだ!」

 言葉もないメアちゃんに、胸を張って、今度こそ突きつけける。

「あなたの負けだよ、『メア』」

 そのあと、向き合っていた時間はどれくらいだったか。

 一瞬のようでも、数時間のようでもあったけれど、結末は変わらない。

 メアちゃんはゆっくりと、地面に膝をついた。

「なるほど、ね。これが裏自分の答え……だったのね。きっと〝私〟は、そのために……」

 小さな声でなにかを呟いてから、メアちゃんは顔を上げる。

「認めるわ、今度こそあんたの勝ちよ。ゆめ」

 そして次の瞬間、メアちゃんは暗い小屋の中へと飛び込んできた。

 止める間もなかった。

 あとはさっきメアちゃんが言ったとおりだ。

 暗闇の中に入れば、裏自分は消え去るのみ。なぜなら彼らは、光がなければ存在できない、鏡の世界の住人なのだから。

 飛び込んできたメアちゃんを、あたしはなんとか受け止めた。

 その身体は冷え切っていたけれど、とても柔らかくて、芯の部分には暖かな体温が感じられた。

 最後に、あたしの腕の中で彼女が言った。

 それは鈴を振るような、穏やかで、優しい声だった。

「……ふふ、ちょっと見ないあいだに、ずいぶん大きくなったのね。ゆめ」


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