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70話 邂逅

しれっと投稿。

 屋敷を出て2日。王都に到着して真っ先に目に付いたのはブランドHの店。

 見るからに好立地な場所に高級感漂う店構え。

 そしてその店は長蛇の列で明らかに通行の邪魔をしている。少し前に来た時にはこんな建物は無かった。店の前には見た事もないファットなオヤジが声を張る。


「今王都で人気のブランドハーク!なんと王族御用達!!人気のポーチは数に限りがあります!!お早めに!!」


 人気?ただのポーチにそこまでして買う価値は無い筈なのだが何か勘違いをしている可能性がある。

 店の外から店内を覗き込むと少し小さめの店内は四人の客と四人の店員。行列の出来るラーメン屋と同じで小さい店はどんなに頑張っても多少人気があればすぐに人が店の外に待たされる。更にマンツーマンで接客をしていればこの列も頷ける。

 

「お兄さん達も気になりますか?最近流星の如く現れた天才デザイナーの手によって作られた一点物のこのユニークなデザイン!

 そして汚れる事なく劣悪な環境にも耐えるーーーーー」

 

 話しかけて来たファットさんは頼んでもいないのに商品の説明を続ける。

 話の内容を聞いて思ったが防汚の付与なんてした覚えは無い。

 一点物なのは確かだが理由は飽きると手が止まると思ってただデザインを変えていただけだ。

 何と言うか、どの世界でも一点物ってのは付加価値が高く馬鹿みたいに値段が上がる。そして売り方でここまで買い手が付くとは恐れ入った。

 姉さんは優秀な営業マンであり、実家は相当力のある家なんだと思い知らされた。


「せっかく来たんだから買い出しでもーーん?」


 店の列にローブを纏った明らかに場違いな集団が並んでいる。

 周囲の人もチラチラとそのその集団を見ているが当の本人達は全く気にしていない素振り。しっかり列に並んでいるのは偉い。

 近づいて確認するとアリスとその取り巻きだ。


「何してんだ?」


「これはこれはハク様じゃないですか!なぜこの様な場所に?」


「視察と言うか何と言うか」


 俺が店に視線を送るとアリスはニヤリと笑みを浮かべた。


「まさかハク様も例のポーチを狙って?最近流行ってますもんね!!でも残念ですがこの場所は譲れませんね〜。

 2日前から並んでやっとここまで来たんです。欲しいのなら並ぶしか無いですよ?」


 2日!?なんて暇な奴らなんだ。仮にも義勇兵か義賊か知らんがこんな所に2日も並ぶならやる事がたくさんあるだろう。


「カバンやポーチに興味はないかな?それよりお前達はそんな格好で並んでいて恥ずかしくないのか?」


「我々は目立つ事はなるべく避けるためこのローブは脱ぐ事ができないんですよ」


 取り巻きの1人で毒でピクッていたルカが答えたが逆に目立つって事を知らないのか?


「そうか。•••じゃまた。」


 俺達はその場を早々に立ち去る。友人に思われても互いに迷惑だし俺は王都の上層部に嫌われている可能性が高い。揉め事に巻き込むのは申し訳ないしな。

 その後王都を1日歩いて思った。意外にカフェ的な場所に人が集まっていたし、菓子屋もそれなりに多い。

 この世界に無い菓子を作ればきっと売れる!!

 屋敷に戻る馬車に揺られながらプランを練ると案外簡単に作れて原価の安い菓子を思い付く。

 それはーーーポテチだ。更にチョコをコーティングしてロ○ズ的な奴と2つ出せば儲かる気がする。

 屋敷に戻り作業に取り掛かる。イモを油で揚げて塩をかける•••完成だ!

 揚げたイモに塩をかけチョコでコーティング•••完成だ!!

 皆に食べさせて反応を見るが悪くない。姉さんに頼んで店を出して貰えば金銭面は難なく解決だ。


 今後の事はザンに一任して俺はハディの元に向かった。

 神々の悪戯を止めるためには情報が必要だ。ハブられてるけど多少は情報を引き出せるだろう。

 しかしその希望は儚く散った。泣きたくなる程情報をが無い。

 本来ならハディと組んで神々をーーーみたいなノリになる予定だったが叶いそうに無い。

 可哀想な視線を送り続けた結果ハディは途中から目を合わせなくなった。終いには

 

「我を泣かせたいのか?」


 寂しい事を言われる始末。必死に違うと説明したが聞く耳を持たなかった。

 何とかしてこの世界は守りたい。だが方法が無いのだからどうしようも無い。

 八方塞がり状態の俺の前に光り輝く柱が立つ。


「久しいなハディ。元気にしてたか?」


 体から金色のオーラを放つデカいおっさんが突如として現れる。見た目からして一瞬で神と理解した。


「ん?人間•••あり得んか?いや•••なるほど」


 目が合ってしまった。何がなるほどなのか理解出来ないが凄く見下されている感じは伝わって来る。


「ハディ!!人間と関わるとは何事だ!!」


 金色のおっさんはハディに激怒している。俺の目から見てハディが少し怯えている


「こっ、此奴はくだらない人間じゃないし、我々に危害を加える事もない。別に誰と居ようと関係ないじゃ無いか」


「我に口答えするか!?」


 多分兄弟喧嘩なのだろうがサイズがサイズだ。迫力満点で怒鳴り声は地を揺らす。この調子だと洞窟も崩壊の可能性があるが、喧嘩の圧が凄すぎて席を外すタイミングを完全に見失っていた。


「ゼス兄さんは何も知らないだろ!?ハクは大事な友達だ!!それに此奴の凄さは神をも凌ぐ存在だと証明してやる!!」


「神をも凌ぐか。どうやって証明する気だ?」


「ハクは•••神を殺す事が出来る!!」


「「は?」」


 無理だろ?ハディの発言に知らないおっさんとハモってしまったが、神を殺すって余りにもハードル高すぎる。そもそも神は崇める存在であって殺すなんてあり得ない。


「ゴットブレイカーか。未だにそんな存在を気に掛けているとは情け無い」

 

 聞いたこと無い単語だ。てか神をブレイクして何の意味があるのだろうか?

 意味の無さそうな兄弟喧嘩を数十分繰り広げ、最終的に俺は神をブレイクしちゃう存在であり危険だと説明するハディ。

 それに対して完全に呆れて話を聞く気が無くなったおっさん。

 2人の会話は脱線に脱線を重ね最終的には


「ならばそこの人間がこの世界を支配してみろ。それなら少しは認めてやる」


「ハクならばそんな事は簡単だ。すぐにでも人間を支配してくれるだろう」


 ポテチにチョコをコーティングして喜んでいる程度の人間に世界を支配しろと?それは無理だろ?

 俺の心の声は届かず2人は勝手に取り決めてその場を解散した。残された俺とハディ。

 やってやったぜ感をモロに出しているがかなり迷惑な事に巻き込まれた。


「さっきの流れだと俺が人間を支配すれば神の悪魔的遊びはやめてくれるのか?」


「まだ難しいだろうな。しかしハクの存在が神々に知れ渡れば考えが変わるかも知れん。

 ゼス兄さんは神の中でもかなり上の存在だ。取り敢えず結果としては良かったのでは無いか?」

 

 前向きに考えればそうなのか?単純に世界を滅ぼすのをやめてくれればそれで良い気がする。 


「それなら1つ聞くがどうやって世界を支配したと証明するんだ?明確な目標でも無い限り無理な気がするんだけど」


「んん〜•••」


 ノープランだったらしい。悩んでも仕方ないので俺は屋敷に帰る事にしたが、それでもあのゼスっておっさんを納得させれば世界の破滅は何とかなるかも知れない。

 

「なんとかなりそうな気が・・しないが取り敢えず一歩前進だな」


 少し気が楽になったのだろう。意識せずつい独り言が出る。その帰路は思った以上にスッキリした頭で屋敷に帰ることが出来た。


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