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62話 誰?

 無茶振りされて二日経った。未だに団員の候補は決まっていないがそれよりコナじいさーーいや、コナさんの行動が気になって仕方ない。

 明らかに小さくなったその姿で今までと同じように研究所の中で普通に研究しているが、


「ハク!アレとって!」とか、


「ハク!お昼は!?」


 わがままが一際目立つ。性格も若くなってしまったのかわからないがぶっちゃけ面倒臭い。

 実年齢は60を越えているし、ずっと1人で全てをこなしてきた人だ。

 他人の話を聞かない自己中心的な考えになるのは仕方のない事だろう。

 だが、見た目が明らかに年下だから命令されると少しイラっとする。俺は居候だが執事じゃない。むしろ客じゃないのか?そう思いたくなる2日間だ。

 

 それは置いといて今日は軍編成をしなくてはならない。2日間調べてわかったのはこの国には攻撃魔法を扱える奴が居ない。

 身体強化はそれなりだがコナさんの求める人材は皆無。しかし俺は焦っていない。

 存在しないなら召喚すればいい!

 この世界で優秀な奴を2、3人呼べば問題ない!


 召喚用の魔法陣をイメージして部屋の地面に転写し、


「来い!!」


 気合いを入れて発動した魔法陣は直視出来ないほど輝き出した。

 光が収まるとそこには3つ影が見える。

 2つは人間っぽいが1つは少し小さい?

 まぁ別に人間を指定してないから問題無いが大丈夫か?


 光が収まり姿が目視できるほどになったが現れたのはザンとクラス、そしてルイスだった。

 

「ハクだ!」


 俺を確認した瞬間飛びついてきたルイス。

 呆然と立ち尽くす俺とは対照的にスッと一礼をするザンとクラス。いきなり周囲の景色が変わって本来なら驚くところだろう。

 冷静な分析能力、状況判断と動じないそのメンタルは見習いたい。

 

「えぇっと、何から話せばいいんだ?」


 久しぶりの対面で俺の動揺は隠せないがザンは普通に話し出す。


「大体の事情は察していますが出て行くにも一言欲しかったですね」


 そう言えば黙って屋敷を出て行ったんだった。


「ハクは何で帰って来ないの?」


「そうです。ルイスちゃんが可哀想です」


 2人からの追撃で更に何も言えず黙っていると


「ザンではないか?何故ヌシがここに?」


 コナさんナイスです。素敵なタイミングで現れてくれた。多分声がしたから駆けつけてきてくれたのだろう。

 コナさんを一眼見てザンとクラスはスッと一礼をする。


「ここはコナ様の研究所でしたか。何処なのか分からず挨拶が遅れて申し訳ないです」


「誰も入ったことが無いのだから仕方ないだろう。で、何故ザンが居るのか説明してくれるな?」


 老人の姿で睨まれるとやはり威厳があるな。


「今日必要な人員をこの国から呼び出したんだけど、魔法が使えて尚且つ優秀な奴に絞って召喚したら何故かこの2人と1匹が選ばれまして•••」

 

「•••ならこのメンバーで良いだろう。

 もう時間も迫っている。準備しておいてくれ」


 コナさんが部屋を出て行った後、俺は2人に事情を説明した。断られても文句は言えなかったが2人は協力してくれる事になったのたが、


「条件があります」


 真剣な眼差しで俺を見るザン。

 

「えーっと、その条件は俺に出来る事?今の俺は見ての通り何も無いんだけど大丈夫か?」


「ハク様からコナ様に提案して下さい。我々をこのまま雇ってくださいと進言して頂きたい」


「え?」


 ザンの後ろでクラスも頷いていた。


「ここは給金も出ないし役割もめちゃくちゃで大変だぞ?」


「それでも我々はハク様の従者でいたいのです。

 他の使用人達も同じ気持ちですので、最終的にはあの屋敷の使用人全てを雇って頂こうと思っております」


 感極まる俺に抱かれたルイスも、


「ハクといっしょ〜」


 泣きそうになる俺を見てクラスは、


「正直私はルイスちゃんと一緒なら何処でも良いのですが」


 ここで何故ツン?さっき頷いていたのに?

 それでもやはり嬉しい。俺には何も無いと思っていたがそんな事はなかったようだ。

 

「ならその条件はしっかりとコナさんに伝えよう。

 その前に呼び出した理由を説明するから」


 これから軍事顧問が来る事と、そのメンバーに必要な事、そして何より時間が無い事。


「私はハク様から頂いた銃を所有していますから誤魔化す事は可能だと思います」


 確かに中距離程度なら銃でも大丈夫だろう。

 ならザンとルイスは何故召喚対象になったのだろうか?


「ザンが団長をやるでいいか?」


 これが無難だと思ったがザンは首を横に振った。

 

「名前だけでもハク様の上は無理です。

 それに私とルイスちゃーーーんっ!!ルイスは問題有りません。

 近接戦闘なら覚えがありますし、魔獣使いとしてなら問題無いかと思います。

 それに本来魔獣は移動や荷物運びなどで馬より優秀です。

 それに咆哮での威嚇、単独での特攻などそれなりに成果を出しますから戦力としては完璧です」


 ルイスちゃーーーは聞かなかった事にするとして、本人がそう言うなら本来の目的と少し違うが大丈夫かな?


 準備は大体出来た。俺達は身分を隠す為の黒いローブを羽織り、研究所の外で軍事顧問の訪問を待った。


 待ってる時間緊張している俺と違い3人は微動だにしない。

 コナさんは少しプルっているがザンが居る手前、はしゃぐ事は出来ない。


 待つ事1時間、目の前に100人規模の軍隊がこちらに向かって来る。その姿を視認するとザンがコナに向かって話しかけた。


「コナ様、あの軍隊はーーー」


「あぁ、脳筋馬鹿集団だ」


 誰?と思ったが全て終わってから聞けば良いとして、軍隊の方からピリピリとした空気が風に乗って伝わってくる感じがする。


「整列!!」


 1番先頭の鎧を纏った大男が叫ぶと軍隊の中央から偉そな奴が馬に乗って先頭まで進んできた。


「私は王国騎士団指南役のグレール•マルセスである!!」


 距離感がわからないのかと思うほど声がデカい。


「今日はマルセス家の軍事顧問としてヌシらの実力を見に来た!!

 早速始めてもらおうか!!」


 ・・・とにかくやるだけやってみよう。

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