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6話 道中2

 寝れなかった。

 いや寝たけど寝た気がしない。昨日の声はなんだったんだろう。

 まぁいいや。

 そしてシャネはいつも早起きだ。こぅちの世界の人は日の出と共に活動するのかな?


「それにしても車って凄いな。

 馬車ならここまで来るのに三日はかかるんだけどな。

 これならレックロームまであと3日もあれば付いちゃうんじゃないのか?」

 

 なんもなかったから確か60キロから70キロぐらいで走ってたよな?

 馬車は時速30キロぐらいなのか?

 それより心配なのは燃料だ。

 絶対ガソリン売ってないし、ガス欠だとただのキッチンカーだ。しかも固定式の。

 ガス欠の車ほどお荷物はないだろうな。


「とりあえず朝食にしよう。今日はカップラーメンだ!!」


「よくわからないがそれでいこう!!」


 クッキングスタート!!

 1.まずお湯を沸かします。

 2.ふたを開け、かやくを入れます。

 3.沸騰したお湯を注ぎます。

 4.四分待ちます。

 完成だ!!


 キャンプ感無いのはもういいや。

 せっかくだから外で湖を見ながら食べる。


「旨いなぁ」


 簡単て最高だ。

 朝食を済ませ車に戻る。

 嫌な光景が視界に入ってきた。

 車の外観だ。傷だらけの泥だらけ。

 既に塗装は剥げ、ぶつけた形跡すらある。

 諦めます。

 落ち込んでいる俺とは対照的にシャネは絶好調だ。


「今日のうちにワレインまで行きたいな。

 この車なら装備や食糧の買い出しは不要だからディブロは素通りでいいしな」


「ディブロも少しは見て回りたいんだがダメか?」


「いいけどハクレイお金持ってるのか?」


 確かに持ってないな。日本円なら200万はあるが、この世界の場合紙幣より硬貨の方が物々交換するにもよさそうだ。


「ってことで出発だぁ!!」


 シャネは元気だな。

 こうして俺たちは湖を後にした。

 出発してから約2時間。

 ようやくディブロの端っこについた。時刻は10時過ぎだ。


「ディブロを馬車で通るには通行証がないと通れないんだが、

 車もたぶん同じだ。

 これを使ってくれ。」


 渡されたのは銀のプレートだ。

 字は読めないがかなり重く、端っこがギザギザしている。

 ギザギザが相手のプレートに合えばOK的なあれか?理解した。

 さらに約3時間ほど走ると大きな門が見えてきた。

 門の大きさは・・・・でかい!!

 高さが8~9メートルはあり門幅は20メートル近くある。

 どんなにでかい馬車でもってこのサイズはあり得ないだろ。


「門でかくね?てか門の前に長蛇の列があるんだ『んん~着いたか?』・・・」


 寝てやがったのか?なんか大人しいと思ったよ。


「あの列の横に銀プレート専用のレーンがあるからそっちに行ってくれ。

 あまり並ばなくてもいいし、面倒な手続きもしなくてよくなるから」

 

「そんな素敵なプレートどこで手に入れたん・・・まさか盗んできたなんてことは・・・」


「それだけ冒険者として信用があるってことだよ!!

 盗賊なんてやったら組合追放だよ!!」


 こいつそんなに凄いのか?

 おれはシャネの事をなにも知らないから仕方ないか。

 そして銀プレート専用のレーンの最後尾に並ぶ。

 豪華な装飾の馬車しかいない。

 通常レーンはデカい荷物をしょった人とか商人のような馬車が並んでいる。

 それにしてもみんなの視線をかなり感じるな。

 さすがに車は半端なく目立ってしまう。

 通常レーンの奴らはこっちをみながらこそこそと何かを喋っているようだ。

 どうせ嫉妬と妬みだろう。

 見たこともない馬車とそれを運転する若造。調子に乗るな的な感じですかね。

 前の世界でもキャンピングカー買ったら会社の奴に冷やかされたし。

 5分ほどで俺たちの順番がきた。門の兵隊さんが軽くザワついている。窓を開けてプレートを見せると


「おいっすぅぅ。

 最近の町はどうだい?」


 シャネが助手席から兵隊さんに話し掛ける。


「おぉ!!なんだシャネじゃねぇか!

 この動く箱はなんだ?」


「カルミスの田舎者が作った馬のいらない馬車だ。まだ試作段階だから王様も知らないんだよ。

 害はないからアタシに免じて通してくれないか?」

 

 設定が無茶すぎないか?


「まぁシャネが言うなら信じるが、この男はヘイルの国民なのか?

見掛けない格好してるし、冒険者じゃなければ入国審査をしたいのだが・・」


「レックロームで冒険者登録するから問題ない。

 アタシが推薦するからすぐ冒険者になれるよ」


「んん~・・・まぁシャネに免じて通すかぁ」


「ありがとさん。ハクレイそのまま真っ直ぐ走れ。

 その先の分岐を右に曲がって壁沿いを走って反対の門に向かおう」


 意外とあっさり門を抜けられた。途中力業にも見えたが、それ程信頼されているのかこいつは。

 壁を走りつづけて約2時間。やっと反対の門にたどり着いた。

 入国の時と同じようにシャネの力でそのまま出国した。


「アタシがいてよかっただろ?」


 なんてドヤ顔だ。だが確かにこいつが居なきゃ通れなかっただろう。

 しかしディブロはデカい。次回立ち寄ったときに見て回ろう。

 門をでて1時間ほどで森の入り口にたどり着く。


「ここから先はワレインになる。

 森の住人を怒らせないように注意して走るぞ。」


「森の住人が怒ることなんてあるのか?」


「そりゃ森を破壊したり、夜中に騒げば森の制裁が起こるよ」


 車の排気ガス大丈夫か?ちょっと怖いが昼間のうちに抜ければ平気か。


ーーー2時間後ーーー


「今日はこの辺で一泊だな。

 これ以上は暗くて危険だ」


 おいおい全然進んでないよ。

 ディブロの時は門から門まで直ぐだったのに、40キロも進んでない。


「もしかして森抜けるのに2日ぐらいかかる?

 長居は怖いから嫌なんだけど・・・」


「ハクレイって結構弱いのか?

 嫌だとか怖いってワードがよくでるよな」


「・・・駄目ですか?」


「駄目じゃないけど冒険者的にはどうだろうかな?」

 

 子供に言われると情けないな。

 大人として威厳と強さを出したいが、今は運転手兼料理人になっているのも確かだ。

 てか、俺は冒険者になる確定なのか?冒険者以外の選択肢はないのか?あとでどんな職種があるのか聞いておかないとな。

 

「それよりこの森はモンスターとかはいないのか?」


「基本モンスターはいるよ。

 余程のことがない限り森の管理人は干渉してこないから、襲ってきたら自分でなんとかするしかないな。

 森で安全に過ごすには火を焚き続けるのが一番のモンスター除けになる。

 今から薪を沢山集めて交代で見張りを・・・出来そうか?」


 あ、馬鹿にされてる。やってやろうじゃないか。大人として。


「ダイジョウブダイジョウブ」


「ビビってんじゃねぇか!!

 はぁ・・もぅ交代しなくていいから薪を集めてくれ」


 あきれたような顔で言われてしまった。

 襲ってくるなんていわれたら普通ビビるだろ?冒険者様は凄いです。

 仕方ないので俺は薪拾いに出かけるとしよう。

 暗い森の中を独りで巻き集めは危険だ。

 パラロープを車の近くの木にくくりつけておく。

 そうすれば帰ってくるときはロープを辿ればいい。

 護身用にサバイバルナイフももった。完璧だ。


「なるべくたくさん拾ってきてくれ。余ってもレックロームで売れるからな」


 なる程いいこと聞いたな。それならと大きめのリュックで行けばいい。

 ヘッドライトをしていざ出発だ。

 

が、20メートル程して気付く。薪落ちてなくね?パラロープ邪魔だし細い枝は湿気が凄くて薪にならない。

 必死になって探しているとパラロープの限界でこれ以上進めない。

 薪もまともに集められないのかとあきれたような顔をされるのも少し辛い。

 パラロープを離し、勇気を出して先に進む。

 古い家をみつけた。相当古く、扉は半分ほど開いているが、この周りだけ土が湿気ってはいない。

 

 辺りを見回すが人はいない。


「お邪魔しまぁす」

 

 芸能人の寝起きドッキリみたいな小声で家の中に入ってみる。

 本棚があり結構びっちりに本が並んでいる。

 が、人が住んでいた形跡は全くない。

 一つ本を手に取ってみる。

 字が読めない。パラパラめくっているとどうやら日記のように見えてきた。

 悔やむぜ俺よ。

 読書は好きだが文字が読めないのは辛い。

 こんなビンテージの本が読めればなぁ。 


ーー【文字の解析を始めます】ーー

ーー【本の内容を解析します】ーー


「はぁ!?」


 急に何処からか声がした。

 体が少し光り出し、頭の中に読み方が入ってくるのがわかる。

 すると手に持っていた本が小麦粉のように粉々になった。

 

ーーチンーー


 オーブントースターの音がした。


【ユニークスキル魔法創世により文字理解術と速読術を魔法化します】


 勝手に進めないでくれ。


【文字理解術習得】

【速読術習得】

【本の内容は商人の帳簿です】

【本の内容を魔法化し、理解します】


 いやいや、いらんてそんなもん。

おい、頭の中の人よ。勝手に進めないでくれ。ありがた迷惑だ。

 内容は王都の納品内容だった。


 聞いてた魔法とは違うがなんか面白い。次の本を手に取ってみる。

【本の内容は娘の成長日記です】

【本の内容を魔法化し、理解します】

 

 いらんいらん。10歳過ぎからの反抗期がきついと理解した。

 まともな本はないのか?次だ!

【本の内容は鍛冶職人の歴史です】

【本の内容を魔法化し、理解します】

 本の内容を魔法化する前に魔法化しますか?

 みたいに聞いてくれないのか?

 すごく体がだるくなってきた。

内容は・・・鍛冶職人の心得などだ。

 まぁぁぁいらんな。片っ端から本を手にしていく。

【読書家獲得】

 いや、読んでない。手に取ってるだけだ。

 内容が頭に入ってるからまぁ良い。 

 この世界は一定量同じことをするとスキルとして獲得できるのか?

 その後もひたすら本を手に取っていく。

 気がつくと辺りは粉だらけになっていた。

 内容は下らないが少しこの世界が理解できた気がした。

 しかし体がだるい。読む本もないしそろそろ返るか。

 疲労困憊の中、パラロープを端を見つけ車に帰る。


「遅い!!いつまで待たせる気だ!」


「申し訳あ~」


ーーバタンーー


 あれ?てか力が入らない。


「;%。^`#&」


 シャネがなんか喋っているが聞き取れない。

 声も出せないし凄く眠い。

 思考も回らずそのまま眠りについてしまった。


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