54話 専用武器
「ハクはどこに行ったの?」
目覚めたルイスはクラスと共にハクを探していた。
「朝食の時間までにかえってくると思いますがそれ程遠くには行ってないと思います。
それよりルイスちゃん!
一緒に遊びましょうか!?」
「でも・・・ハクのことが心配だよ!」
ルイスの尻尾はパタパタしている。
「いきますよ!!」
「よっしゃこぉぉぉい!!」
俺の心配はどこか遠くに置き去りにするほど平和な奴らだった。
その頃俺は大勢に囲まれ質問責めを回避しまくっていた。
その場の雰囲気に圧倒されて英雄に憧れていて独学で剣術や魔法を学んだと説明した。
「魔法や剣術って独学でも努力すれば成果は出るんですね!」
「誰が落ちこぼれなんて言ったんだ!?
こんな努力家を俺は知らない!」
「彼にならこの命を預けてもいいぞ!!」
努力家か。こっちの世界で努力したこと無いが話が変な方に行かなきゃなんでもいいか。
「申し訳ないんだがそろそろ俺は戻るけどもう大丈夫だよな?」
褒められすぎて恥ずかしくなり一刻も早くこの場から立ち去りたい。
黙って抜け出したことを説明し俺は車に戻った。
「あ!ハクだ!」
「どちらへ行かれていたんですか?」
「すまんすまん。
釣りをしていたんだがーーーー」
2人にポイズンフィッシュの事などを説明し終わると、クラスは朝食を用意してくれた。
朝食もやはり屋敷から持ってきたものだ。
「そういえばクラスは魔法使えるのか?」
「肉体強化なら使えますがそれ以外は全くです。
詠唱を覚えても術者の特性に合わなければあまり意味はありませんから」
意外だ。メイドが肉体強化って戦闘でもするのか?
「それよりハク様、お聞きしたいことがあります」
「ん?」
「昨日から気になっていたんですがこの箱はなんですか?」
おっと?聞かれなかったから忘れていたがクラスも気になっていたのか。
「これはーーー俺の発明だ!!
快適に野営することが出来て移動も出来る優れものだぞ?」
「そうですか。
ハク様が発明好きとは知りませんでした」
「クラスも何か欲しいモノがあれば言ってくれ」
鉄生成に超裁縫術と超細工術があるから作れないものはない!
「そうですね・・・今は武器ですかね?」
「オッケー武器ね。ーーーん?武器?」
「はい。
私は戦闘に特化したメイドですから装飾品などは意味を持ちません。
昨日の戦闘で手持ちの矢を半分ほど使用したので補填したいです」
戦闘に特化したメイドなんて聞いたことないな。
しかし思い当たる節がいくつかある。
昨日の食事も今日の食事も屋敷まで取りに行ってるし、フォークは力業で直すし、鹿に至っては仕留めて片手で引きずってきた。
ん~納得。
「よし!ならばクラス専用の武器を今から作ろう!
何か要望はあるか?」
「ハク様にお任せします」
お任せときたか。でも俺はすぐに思い付いたモノがある。
それはーーー銃だ。
この世界の飛び道具は未だに弓矢か投げ矢しか無い。
銃があれば中距離と遠距離の戦闘がかなり変わるし屋敷を守るとき役に立つだろう。
ということで早速取り掛かる事にした。
鉄生成で必要な量の鉄を生み出す。
部品の一点一点をイメージしても俺には理解できないから完成系をイメージする。
【物質変形錬金術獲得】
さすがマイスキル!!
手持ちのスキルなんてフルシカトだ。
でもこれならかなりカッコイイ銃が出来そうだ。
ーーー数秒後ーーー
「出来たぁぁぁ!!」
形はオートマチックのハンドガン。
アンダーレール部をトリガーカバーより少し飛び出す形にしてそこへ魔力を溜めることができる。
グリップに3つの魔法陣を刻み込み一つは魔力変換を可能にする。
これならバレルに電気を帯びさせてレールガンに出来る。
2つ目は銃の形状記憶。
そして3つ目は形状変化と物質変化の融合だ。
これならクラスの手袋に変化する事も出来て近接戦闘時にはナイフにもトンファーにもなる。
魔力反応で手袋から自由に変化させれば取り出す動作もいらない。
専用武器として他の人は使えないし、9ミリの実弾と魔力弾のダブル仕様!!
マガジンにも自動補填用の魔法陣も刻んだし、予備の実弾もかなり作った。
これなら撃ちまくっても弾切れの心配は無いだろう。
我ながら完璧な仕事だ。
早速クラスの魔力を銃に記憶させる。
「これでよし。
それじゃ使い方を教えるぞ。目標に向けて構えたらそこのトリガーをーー」
ーードォォンーー
早速放ってくれた。
「おぉぉぉ!」
クラスの驚き声と銃声が森全体に響く。
「ハク様!これはなんて武器ですか!?
威力も凄いし真っ直ぐ飛んでいきましたよ!!
これは貰ってもよろしいのでしょうか!?」
初めて喜んでる顔を見た。
女性に銃を渡して喜ばれるなんて現世では有り得ないだろう。
「ルイスの世話をしてくれてるし俺からの気持ちだ。
だけど説明だけはしっかり聞いてくれ。
人に向けて撃たれたら取り返しがつかないからな」
俺は三つの魔法特性と使い方を説明した。
今まで見たこともない程まじめな顔で俺の説明を聞くクラス。
余程うれしかったのだろうか目が輝いていた。
「ーーーっとこんな感じかな?
試しに一発だけそこの岩目掛けて撃ってくれ」
レールガンを試す為に20メートルほど離れた岩に向かって構えるクラス。
クラスの魔力が銃に流れ、魔法陣の効果で銃はバチバチと電気を帯びている。
「いきます」
ーーードォォォンーーー
森の鳥たちが一斉に飛び立っていった。
これだけデカい音がすれば人間でも驚くか。
「てか、岩に当たったのか?」
「たぶん当たりました」
20メートルも離れてたら見えないか。
俺とクラスは確認のため岩に近づいた。
「「おぉぉぉ!!」」
2人して驚いた。
大人10人が手を伸ばしてやっと囲めるほどの大岩には小さな穴が。
しかも貫通している。
「これはさすがに・・・ヤバいよな?
欠けるとか傷つくなら良いけど貫通はやりすぎだろ」
「そんなことないですよ!!
ハク様やルイスちゃんを未知の脅威から守り抜く為にはこれぐらいは必要です!!」
んん~~本人が喜んでるし良しとしよう!!
この時クラスは世界で10本の指に入るほどの脅威となった。




