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50話 暇

 王国の首都の横にある広大な森。

 そこは建国当初からマルセス家が保有する土地であり、国王ですら許可なく立ち入ることを禁止されている場所だ。

 森の中心にはマルセス家の城がある。

 王の住んでいる城と同規模の立派なモノだ。


「「お帰りなさいませ、ザン様」」


 ザンを大勢の使用人が出迎える。


「ただいま戻りました。

 カベリー様は今どこに?」


「応接間でお待ちです」

 ヘイル家とマルセス家は建国時から常に対等の存在であり、ザンはマルセスの6男。

 若い頃に神童と呼ばれるほど頭が良く身体能力はスバ抜けて高かった。


 人当たりもよく周囲の皆がザンに期待していたが、天の声を聞いたと言ってある貴族の執事になる為屋敷を出る。

 勝手な行動だが、元々長男でないザンを家に繋いでおく事にカベリーと使用人以外は望んでいなかった。

 屋敷に帰ってもカベリーと使用人以外に会う事はない。

 しかし応接間に着いたザンは目を疑った。


 4人の兄弟が待っていたと言わんばかりの視線を送ってきたのだ。

 長男のカベリー、次男のサドラ、三男グレール、四男コナ、五男キルベット。


 この出来事に少し動揺したザンだが、


「大変失礼しました。

 皆様お揃いで何か大事な会議ですか?」


 兄弟の誰かが口を開く前に一瞬で状況を理解したザン。

 この場を乗り切る為の時間を得るために最初に言葉を発した。


「まず座りなさい」


 三男のグレールに着席を求められた。


「いえ、私はここで」

 

「座れ!」


「•••失礼します」


 

 グレール•マルセス。

 マルセス家直属の私兵部隊育成を担当していた戦闘狂。

 鍛えた私兵部隊かあまりにも強すぎた事により王国騎士団の指南役を任されている。

 

「なぜ皆が集まっていのかお前なら理解できるだろ?」


 次男のサドラが口を開く。

 マルセス家の財務を担当してる。


「何のことだかわかりませんね。私はカベリー様にお話があって参りました」

 

「マルセス家から犯罪の経歴を持つ者を出すつもりはない。

 お前なら国王に仕える事も容易いだろ?

 我々の推薦なら明日にでも国王専属の執事に出来る」

 

「犯罪?何を言っているのか理解出来ません」


「そもそも何故あの様なヤツに仕えるのだ?

 特別何かが優れている訳でもない」


「本来我々マルセス家は格式高い一族だ。

 自分より地位の低い人間に— — — —」


 多分全員がハクとゲルの一連の出来事を知っているのだろう。

 サドラとグレールはゲル側の人間である事は知っている。

 ハクの事は商人の息子程度にしか思っていない。

 それ故にこの2人はザンの話を聞く事もなく否定的な言葉しか出てこない。

 そんな2人を見かねてカベリーは口を開く。


「落ち着きなさい。

 ザンよ、皆はお前の事を心配して言っているのだ。

 気を悪くするな。

 サドラとグレールも言い過ぎだ」


 流石長男。


「どうでもいいよ」


 四男コナが初めて口を開いた。

 

「研究の続きがしたいからそろそろ戻ってもいいかな?」


 コナはマルセス家で唯一魔法を使える魔法研究者。

 研究熱心だが世間との干渉を極端に嫌う変わり者だ。

 

「正直こんな事でもう呼び出さないでくれ。

 時間の無駄だ」


 そう言って立ち上がり部屋を出て行った。


「我々もこれで失礼します」


 サドラとグレールも部屋を出る。

 3人の行動にカベリーは呆れた顔をしていた。

 

「キルベット様は未だに消息不明ですか?」

 

「相変わらずだよ。

 多分だが王国内にはいないのだろう。

 まぁ何をやっているのか全くわからんが、彼奴なら大丈夫だろう」


 五男キルベットはザンが執事になる前から家を出ていた。

 王国以外に興味を示していた事もあり外交官を目指していた。それ以上の事は誰も知らない不思議な人だった。


「それよりお前の主人を見て来たがアレは一体何者だ?

 以前の噂とは全く違う人物じゃないか」


「ハク様はある日を境に変わられたのです。

 私は見た事ないのですが今は魔法も使われるそうです」


「魔法を使えるだと?

 それは戦闘に於いてもか?」


「はい。

 全世界の7パーセントが魔法特性を持ち戦闘魔法が使えるのはその中でも1パーセント未満です。

 我がヘイル王国でもかなり貴重な存在であります。

 そんな貴重なお方に冤罪を•••考えられません」


 今まで見た事も無い憎悪の瞳をするザンを見てカベリーは一瞬身震いした。

 ハッと我に帰るザン。

 

「そっっそれはそうとカベリー様から見てハク様はどうなると思いますか?」


「ん〜そうだな、他の貴族連中は騒いでいるが、嘘をつくような人間では無いし問題ないだろう。

 それにこの件に関しては色々と裏でやっていた事が表に出てきたゲル王子の方が危ないな」

 

 そんな話をしている頃、当人のハクは面会室のソファーで神妙な面持ちで座っていた。


「•••••暇だな」


 捕まって以降、面会も商談もパッタリなくなっていた。

 他の貴族達はゲルの行動がおかしいと理解していてもハクに関わろうとする者は皆無だった。


「失礼します。

 そろそろ戻られては如何ですか?」

 

「来客も来ないしそうするか」


 それから10日後にザンが帰宅した。

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