4話 出発!!・・・の準備
初の1日連続投稿です。
ーーーカチャカチャーー
なにか音がする。
ーーーガサガサーー
「んんんうぅぁぁ・・・ん?」
なんか色んな扉が開いてる。
身を起こして見てみるとシャネがなにかを探しているようだ。
「オイ」
「んぁ!!」
ーーーガン!
「う゛ぅぅうぅ・・」
頭ぶつけてもがいているのか?たぶんお菓子を探しているのだろう。
「昨日の菓子なら上の棚だよ。
ちょっと待ってろ。今とってやるよ」
「違う!色々と見ていただけだ!
そんな盗みみたいなことは断じてしていない!!」
明らかに怒ってるのは図星だからだろう。
車や俺の持ち物が不思議なのはしょうがない。
「取り敢えずこれ食ってろ。
アルマさんはまだ寝てるのか?」
お菓子を出すと直ぐに椅子に座って食べ始めた。
「アルマなら家の掃除に行ったよ。
結構ひどい状態だったからなぁ。」
時刻はAM7時。行動する時間としてはかなり早めだ。
車を降りてアルマの様子を見に行ってみる。家の外観は痛みが凄い事は明らかだ。熱風を正面で受けた面は少し焦げているし、
小石みたいのが当たって凹んでたりする。
「アルマさん何か手伝おうか?」
家の中に入ると箒でガラスの破片やらを片していた。
「おはようございます。ハクレイさん。
こっちはほぼ片づいたので大丈夫です。」
にっこりとした笑顔・・素敵だ。品がある。
「今日は王都へ行かれるんですか?」
「シャネの話だと違う町の話だったんですけど・・・何処だっけ?」
「メザリックだよ。」
なんかモグモグしながらシャネが話に入ってきた。
ん?あれ俺のカ○リーメイトのフルーツ味じゃね?
「お前なに食ってんだ?」
「下の棚に沢山あった黄色い紙の箱のやつだ。
これも旨いなぁ。」
まぁ中学生位の年齢にそんなことで怒っても器が小さいと思われるからここは許そう。大人として。
「シャネと随分仲良くなられたようですね。安心しました。」
確かになんだかんだと気を使わずに過ごせているから仲良しなのかな?
俺は兄弟がいないが、妹がいたらこんな感じなのかな?
「それよりハクレイは教会に用事があるんだろ?
別に王都やメザリックじゃなくても良いならアタシはレックロームって街でも良いと思うがどうだ?」
地理が全然わからない。情報を整理したい。
「レックロームは遠いのか?」
「今いるカルミスとはまぁ真反対だな。
王都を過ぎて更に南側に行けばいいさ。」
なら王都でよくね?ツッコミどころが多いが今はシャネの指示に従った方が良いだろう。
「レックロームは海に面していてお魚がとても美味しい町ですよ。」
アルマが羨ましそうに目を光らせている。
「アルマさんも一緒に行きますか?この車の旅は食糧さえあれば、かなり快適にすごせますよ。」
「おぃ!」
肘でシャネにど突かれる。痛い。
アルマは困った顔で、
「行きたいんですけど仕事が有りますので・・・すみません。」
ちょっと引きつった笑顔だった。
なんか地雷踏んだのか?シャネが顔に手を当ててため息をしているのが横目に入ってきた。
「レックロームはカルミスから最速でも領地2つ越えるほどの長旅だ。
馬車だったら20日程だからしっかり準備しておけよ!!」
ーーーバン!
戸を思い切り閉めてシャネが出て行った。なんでアイツまで怒ってるんだ?
でも、引き受けてくれたっぽいので準備でもしますか。
準備ってなにするんだ?
「おぉい!シャネェェ!」
外にでたシャネを追いかける。
「準備ってなにすれば・・・」
ーーグスンッ
!?
「おいっ!お前なんで泣いてんだよ!」
「うっさい!触んな!!死ね!!!」
「えぇぇぇ」
嫌な空気のまま1時間以上準備をしているフリをしている。なぜならキャンピングカーにはかなりの水と食糧が備蓄されている。
※キャンピングカー装備品&備蓄品
水が2Lのペットボトルで30本。
お茶やジュースが60本。
大量のゼリー飲料と固形栄養食品・お菓子
カップラーメン系が6箱程。
パックご飯がダンボールで2箱。
レトルトカレーがダンボールで1箱に、サバイバルナイフやパラロープが50メートル・浄水機・テント・ドローン・フリスビー・弾けないギター・フ○ブリーズ詰め替えetc.
今更だが俺はキャンプする気がなかったのではないか?自衛隊の演習より凄い装備だ。
フリスビーに至っては自分で投げて自分でキャッチする気だったのか?
・・・まあいい。
心配性でよかった。これなら国を余裕で回れるはずだ。
心配性なのはガソリンの方だが石油とか出てたりするのかな?
何をするわけでもなく時間だけが過ぎていく。
しばらくするとシャネが準備を終えてこっちに歩いてくる。
ーーーバン!
「準備出来たから行くぞ。」
助手席に乗り込んできた。ドアをもっと優しく閉めてくれ。
「俺アルマさんに挨拶してくるわ。」
車から降りようとするとドアの横にアルマがいた。降りずに開いている窓から話しかける。
「短い間でしたけどお世話になりました。」
「とんでもないです。まて遊びに来てくださいね。
楽しみに待っていますから。」
最後まで素敵な笑顔だった。
ーードッドッドッドゥルゥゥゥン!
エンジン始動。
走り出すとアルマは大きく手を振って送り出してくれた。
見えなくなるまで。
この世界に転移して最初の別れ。
また直ぐにここに来れるように努力しよう。
俺とシャネはレックロームへ向かって走り出した。