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31話 空白の時間

 オドが話し出そうとした瞬間、副戦士長のアモが話し出す。


「オド様!小奴は何者ですか!?

 こんな旅人みたいな格好の奴を応接間に通す程の事ですか?」


 狂犬みたいな女だな。

 オドもやれやれとした顔で女の方に向いて話し出す。


「アモ、お前はコイツのことをなにも知らないのはしょうがない。

 コイツはこんな格好だが、この王国騎士全員より圧倒的に強い。

 それにお前も名前は知っているはずだ」


 狂犬女は不思議そうな顔で俺をみてきた。

 少し笑いながら話し出す


「それじゃオド様でも敵わないって事ですよね?

 先の戦争でこの様な格好をした戦士を私は知りません!

 失礼ですが名前は何ですか?」


 オドの話を聞いていなかったのか?

 何度も名前を呼んでいた気がするが、狂犬女に名乗ってなかったから名乗っておくか。


「あぁ、えぇっと、名前はハクレイ。

 レックローム時代に冒険者になれなかった半端者だ」


 名前聞いて狂犬女の顔が青ざめる。

 

「ハクレイ・・・そんな筈は無い!!

 オド様!その名前は『わかっている』・・・」


 ん?なんか変な空気になったぞ。


「すまなかった。

 ハクレイの事はコイツも理解したらしい。

 まず、ハクレイ。

 お前は今までどこにいた?なぜ五年前の姿ままなんだ?」


 状況確認だな。五年前の話になっているが、俺からしたら数時間前の話なんだよな。


「俺はオドの傷口を回復させた後、シャネの邸宅に帰ろうとした。

 ただ歩いていただけなんだけど、何故か次元を越えてたらしいんだよな」

 

 オドは悩み出した。

 狂犬女アモはバカにした顔でこっちを見ている。

 オドが話し出す


「なんとなくだが理解した。

 落ち着いて聞いてくれよ?

 実はなハクレイ、お前はこの国の英雄になっているんだ」


「はい?」


「時系列順に確認しながら話すぞ?

 お前は俺を助けた後そのまま帰ったが、その道中で異次元空間に囚われていたでいいな?」


「囚われてはいないが、まぁ大体は同じかな?」


「そうか。

 少し辻褄が合わないが、本人がそう言うならそうなんだろうな。

 実はその後にハクレイは大きな魔獣と戦って戦死しているんだ」


「はぁ?ありえないだろ?

 俺はあの後一切戦闘はしていないぞ?」


「わかっている。

 まずそこからの話をしよう。

 ジェイドの所で捕縛した暗殺部隊は知っているか?」


 完全に忘れていた。

 鉄の檻に閉じ込めたまま意識を奪ったままだった。


「そんな奴らいたな。

 でもそいつ等はほぼ廃人になってただろ?

 洗脳してあったらかな」


「そうだったのか。

 実はそいつ等が戦争の火種になったんだ。

 その暗殺部隊は自らの命と肉体を使って悪魔を召喚したんだ」


 やっちまった。

 カインとかいう奴はその身を滅ぼしてとか言っていた。

 てっきり自爆すると思ったが、生け贄になれって意味だったのか。

 俺はとんでもない過ちをしていてんだな。


「ハクレイ、そんな落ち込まなくても大丈夫だ。

 その悪魔たちは普通に倒すことは出来たからな」

 

 絶句している俺に気を使ってくれたのか、オドは話を続ける。


「その悪魔を倒したのはハクレイお前だ」


「そんなはずはない!

 俺は何もしていないぞ!?そもそもその場に俺は行っていない!!」


 話がこじれ過ぎだ

 一体誰が何のためにそんなことをしたんだ?


「落ち着けハクレイ。

 悪魔たちを倒したのはお前じゃないのか?

 その後レックロームの町全体を襲ってきた悪魔と魔獣を倒したのもお前になっているんだが・・・」


「違う!俺は全く関わっていない!

 他の奴が噂をバラまいただけだろ?」


「変だな。

 それを言っていたのはシャネ様だぞ?

 シャネ様がお前を間違える事なんてあるのか?」


 確かにそれは有り得ないだろう。

 何か策略があったのか?


「そうだ!

 パックは今なにしている?

 それにシャネもだ。今すぐ会うことは出来ないのか?」


「パック?誰だそれは?

 冒険者時代にそんな奴は知らないぞ?」


「パックってのは俺の肩とかに乗ってた小さい魔獣だよ!

 試験の時も一緒にいただろ?」


 オドは首を傾げている。

 パックの存在は消えているのか?

 アイツ俺が死後の世界に行っている時どこで何をしていたんだろう?


「それよりシャネだ!今すぐシャネに会わせてくれ!!」


 オドは首を横に振った


「それは出来ないんだ。

 誰もシャネ様に会わせることは出来ないんだ」


 意味が分からない。

 俺はオドに問い詰める


「シャネはレックロームの主のような奴で組合の長だったよな?」

 

「言いたくはないんだが・・・

 シャネ様は今、国家反逆罪の主犯として死刑決行日まだヘイル王国の地下牢に幽閉されている」


 おいおいおいおい、それはおかしいだろ?

 アイツは国家反逆をするほど馬鹿だったのか?

 ・・・アイツならやりかねないな。

 独立して国王になれって言ってきたのもアイツだったな。


「ならシャネを助け出せばいいんだな?」


「それは駄目だ!!」


 おぉい!ビックリした。

 オドがここまで怒るとは想像して無かった


「ふぅー、大声を出してすまなかったな。

 今すぐシャネ様を助けることは出来ない。

 助けるなら死刑決行日とかに強硬手段を使って助けるとかだろう。

 それより話を戻そう。


 暗殺部隊が悪魔を呼び寄せてその悪魔が他の悪魔を召喚したんだ。

 悪魔が悪魔を呼び、その悪魔が更に悪魔を呼ぶ。

 最悪の状況だった」


「想像しただけでもゾッとするな。

 俺は悪魔と戦ったこと無いんだけどそんなに強いのか?」


「それはあり得ないほど強いさ。

 闘技場でお前が倒した魔獣なんて足元にも及ばない程にな。

 そしてその悪魔たちは自分を生贄に悪魔将軍を召喚したんだ」


 ひどい話だ。それもこれもカインって奴の仕業なんだろう。


「シャネ様は何とかして王国に騎士団の派遣を頼んだが、王国は一切返答がなかった。

 その時ハクレイ、お前が悪魔将軍を倒すために単独で悪魔の集団に飛び込んでいった」


 そのハクレイは格好いいな。

 俺ならビビって避難所に避難しているだろう。


「時間が絶つに連れて悪魔との戦闘は酷くなっていった。

 そんな中、状況は更に悪くなった。

 それが魔獣の出現だ。

 レックロームは魔獣に囲まれ、町の中には悪魔将軍と下級悪魔が大量発生していた。

 それを必死にハクレイが倒していたんだ」


 ハクレイさん!半端ないっす!


「殆どの悪魔と魔獣を倒すのに4日程かかった。

 その全てがハクレイの功績だった。

 そして最後の悪魔将軍との戦闘でハクレイと悪魔将軍は相討ちになってこの戦争は終わったんだ」


「え!?俺死んでるじゃん!!」


「そうです。アナタは死んでいるんですよ」


 狂犬女アモが話し出す


「そもそもアナタは本当にハクレイ様なんですか?証拠を見せてください」


「こらアモ!

 ハクレイに失礼だろ!」


「オド様には失礼ですが発言を続けさせていただきます」


 俺には失礼じゃないのか?


「本物のハクレイ様なら刀をお持ちですよね?

 全てが真っ黒の伝説の名刀、十黒じゅっこくを」


 迷刀キターー!!

 久しぶりにその名を聞いたな。


「この刀だろ?

 それとあまりその名で呼ばないでくれ」


 刀をテーブルに置く。


 狂犬ちゃんは興奮している。


「こっっこれがあの伝説の名刀」


 狂犬が手にとり抜刀する。


「・・・これって使えるんですか?

 見た所何も切れそうにないんですけど・・・

 あぁ~これは偽物ですね」


 コイツはどうしても俺がハクレイってのが気に食わないらしい


「それは俺が使わない限りただの鉄の棒だよ。

 多分紙も切れないんじゃないかな?

 試してごらん」


 狂犬は紙を用意して切ろうとしたが、紙はただ破れただけだった。


「偽物ですね。

 そもそも武器ですら無いですね。

 伝説の刀は岩や鉄をも両断すると聞いています。

 それを持つのも使えるのも本物のハクレイ様だけですけどね」


「なら証拠を見せよう。

 オド、岩か鉄はないか?」


 大きく溜め息を吐いて立ち上がる。


「アモ、ついて来い。

 お前にハクレイの凄さを見せてやる」


 そう言って3人で部屋を出て裏庭に向かう。

 裏庭も随分と変わっていた。

 俺が家を建て直したときは何も置いて無かったが、今は戦闘訓練場になっている。


「ハクレイ、あの岩を切ってくれ」


 オドが指差す岩は高さが3メートルはある。

 いきなりこれか。まぁいいだろう。

 歩いて岩の前に立つ。

 

 周りで戦闘訓練をしていた若い奴らまで集まってきた。


「やめるなら今のうちですよぉ!」


「まぁ見てろって」


 刀を抜き天を指す。

 岩にそっと刃を当てる。

 そのまま力を入れずにゆっくりと下まで下ろす。

 

「何やってるんですか?」


 多分理解していないんだな。

 下まで下ろしたら鞘に刀をしまう。


「はい、お終りっと。

 見に来ていいよ!」


「?」


 狂犬は不思議そうに近づいてきた。

 岩をみて驚いている。


「えっ!?こっっこれって・・・マジ?」


 マジ?って俺以外使う奴いたんだな。


「な?俺が持つと凄い切れ味だろ?」


 岩は綺麗に刃を入れた筋が出来ていた。

 思いっきり振った訳でもないから音もしていない。

 この刀で岩を切るのは大きな豆腐を切るのと同じことだ。


 若い奴らも狂犬もざわついている。

 オドは何故か誇らしげだ。


「しっ!失礼しました!

 今までの発言や態度は万死に値すると思われます!

 がっ!今私にはやらなければならない事が山積みでして、処分は追って『あぁ、もうそれはいいから顔を上げろって』・・よろしいのですか?」


「信じてくれたなら別にいいよ。

 それより話の続きを聞きたい。

 部屋に戻らないか?」


「そうだな。ハクレイの誤解も解けた事だし、戻って続きをするか。

 アモ、納得したな?

 俺達は部屋に戻るからお前は急いで部屋に戻って紅茶を新しいやつに取り替えておけ!」


「直ちに行って参ります!」


 狂犬は物凄い勢いで走っていった。


「流石だなハクレイ。

 腕もなまってなさそうで安心したよ」


 俺とオドは笑いながら部屋に戻る。

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