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28話 寝言戯れ言

 空を飛びながらシャネの元へ向かう途中、視線を感じた。

 周りに人の気配はない。

 気のせいか?急いでシャネの元に向かう。

 街に魔獣の姿はない。

 無差別殺人をする気はないらしい。

 すこし上空を彷徨っているとシャネの馬車を見つけた。

 急降下し、馬車に乗り移る。

 

「シャネ!組合が襲われてたぞ!」

 

「本当か!?今すぐ向かわなきゃ!」


 陸路で組合に向かうのは危険だ。

 シャネを担いで空から向かう。


「ハクレイは空も飛べるのか!?

 最初出会った時とは別人だな!」


 これで冒険者の肩書きがあれば最高にカッコいいが、今は無職だから何も言わない。


 組合に向かう途中、正面からデカい骨剥き出しのドラゴンが三体、俺達に向かって来た。

 見た目は汚らしいが、シャネにはその姿が恐ろしく見えたのだろう。


「あれはスカルドラゴンじゃないか!?

 なんでこんな所を飛んでいる!?」


 知りません。

 反応を見る限り珍しいんだろう。

 スカルドラゴンの視線は敵意丸出しだ。

 襲われる前に倒しておくか。

 

「炎弾!」

 

 ボシューーン!スカっ!

 

 避けられてしまった。

 真っ直ぐ飛ぶだけじゃ避けられることもあるのか。

 なら追尾機能を付けておこう。


【自動追尾機能獲得】

 

「よし!炎弾!」


 今度は当たった。

 スカルドラゴンを倒して組合に急いで駆け付ける。

 

 組合に着くと皆が魔獣の片付けをしていた。


「組合長!」


 ついて早々に冒険者が集まって来た。

 こう見るとシャネって人望もあって凄いんだな。


「良く組合を守ってくれた!状況はどうなっている!?」


「はっ!今のところ魔獣の出現はありません!

 しかし•••」


 すらっとした若い冒険者は言葉を詰まらせた。

 そして苦しそうな顔をして話し出す。


「オド隊長が魔獣の攻撃を受けて瀕死の状態です」


「オドが!?」


 つい声に出してしまった。

 俺が来たとき既に治療の為建物に避難していたんだな。

 

「今も治療は続いています。

 この組合でも指折りの治癒師が交代で治療しています。

 ですが、もう限界のようです」


「シャネ!オドの元に案内してくれ!」


 シャネと若い冒険者と共にオドの元に向かう。

 その間に治癒のイメージをしていたが、混乱しているらしく何も魔法が思いつかない。


 オドの元に着き横たわる彼の状態に絶望した。

 防具は血だらけで焦げ付いている。

 火傷や切り傷も多く完全にモザイクが入る状態だ。

 治せる気がしない。

 

「どうだハクレイ?

 治せそうか?」


 無理だ。

 俺は医者じゃないし、そもそも治るイメージが出来ない。

 こんな時にパックが居ないことを後悔する。


 ・・・・あれ?確かポーションあったな。

 ポーチからポーションを取り出す

 

「これって使えるか?」


「水なんてかけても意味ないですよ!」


 治癒師の男が叫ぶ。

 

「これ一応俺が作った回復薬なんだけど・・・

 そもそもポーションってかけるの?飲むものじゃないの?」

 

 俺の質問に誰も答えてくれない。

 たが、顎に手を当てて悩みながらその話を聞いていた若い女治癒師が答えてくれた。


「一般的なポーションは苦くては飲めないんですよ。

 でもここまで濾過されたポーションなら飲めるかも・・・・」


 瀕死のオドにポーションを飲ませてみる。

 オド、実験みたいになって申し訳無い。

 だけど血を止める位の効果はあるはずだ。

 その身で証明してもらおう。


「・・・・ハクレイか?」 


「オド、無事回復出来たんだな。

 よかったぁ~」


 瀕死の状態から普通に回復出来たじゃないか!

 やはりポーションは飲むものだな。

 俺は満足しているが周り冒険者は不服そうな顔をしている。

 水がどうこう叫んでいた治癒師の男に至っては


「なんなんだよ、そんなのなしだろ」


 ぶつぶつと文句を言いだす始末だ。


「シャネよ。俺はやってはいけないことをしたのか?」


「あぁ、もう庇いようが無い程絶望的だな。

 お前の情報は他の領地や王家に知れ渡り、皆がお前を狙ってくるだろう」


 オワター

 俺の平穏はたった今途切れたらしい。

 大人しくしても結局狙われる始末だ。


 するとシャネが急に考え込む。

 俺の顔をチラチラ見ながら


「だが、1つだけ方法がある」だそうだ。


「逆に1つしかないのか。

 それに希望を託すとしてそのたった1つの方法を教えてくれ」


「それは・・・ハクレイがヘイル王国の領地であるこのレックロームを統治して権力を持つ。

 そしてここレックロームはヘイル王国から独立して国になることだ。

 お前は国の王様になればいい!」


 コイツ起きてるよな?

 とっさにシャネの目の前で手を振ってみた。


「いや、起きてるよ?」

 

 シャネは普通に返事をしてきた。


「すまん!寝言を言い出したから立ったまま寝てるかと思ったよ」


 どうやら正気らしい。

 それにしても無職がいきなり王様か。

 んん~夢があっていいな。

 でも完全にパックのシナリオに沿って行動してるとしか思えないな。

 シャネとパックはグルか?


「どう考えたってそれは無茶だろ?

 無職からの王様は成り上がりどころじゃないぞ?」


「ハクレイの強さがあれば独立して国になった方がレックロームとしては有り難いな。

 今の状況より先は明るい」


 ムーリー。

 元々ヤル気もないが、領地民が許さないだろう。


 もし日本で大統領が「前職は無職でした!」なんて言いだすような事だ。

 これは流石の俺でも通用しないのは理解できる。

 しかし、シャネの目を見る限り本気だ。


 最近のレックロームは確かに荒れている。

 元凶が俺だからいっそのこと全て俺に責任を負わせようとしている気がする。


「ハクレイの気持ちもあるだろうから返事はすぐじゃなくていいよ。

 帰ってじっくり検討してくれ」


 いや、やらないよ?

 やる体になってるけど無理だよ?


「パックと相談してみるよ」


 これは一旦帰ってパックと要相談だな。

 アイツは喜びそうだが、パックにシャネを説得してもらわなきゃならん。


 一度車に戻るため組合を後にする。

 

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