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27 異変

 翌朝。

 家も建てたし、作る物もない。

 暇を持て余したいる。

 本来ならさっさとキャンプにでも出かけたいところだが、今勝手な行動は良くないだろう。


「今の内になんか稼げる方法ってないかな?

 ミノスのツノが売れない限り収入ゼロはキツいっす」


「ハクはどんな職業でも出来るんだから迷う必要無いじゃん」


「今更だけど冒険者って楽な選択肢だったよな。

 ジェイドが羨ましいよ」


「いっその事ジェイドにダンジョンでも連れて行って貰えば?

 素材集めてジェイドに売りさばいてもらえば稼ぐ事は簡単に出来るじゃん」


 冒険者でないのにダンジョンに入るってのは少し抵抗がある。

 日本人だからか?マナーを守るのは当たり前で、規約違反とか嫌いだ。

 でも金が無いのも事実だ。


「ちょっとジェイドの店に行ってくるよ。

 パックはどうする?」


「今忙しいから今日はやめておくよ。」


 忙しいって映画観てくつろいでいるだけろ?

 まぁパックもずっと忙しかったからな。

 たまにはのんびりしたいんだろう。


 俺はジェイドの元に向かった。

 店の前に着くと真っ暗で人の気配が無い。

 休みか?

 裏の工房に向かって歩いていると


——ガシァァン!!


ーーウルァァア!!


 テンション高いなぁ。何やら荒ぶっている様子だ。

 近づかない方が良いだろうけど、ここまで来たら顔ぐらい見て帰ろう。


「うぃぃ。荒ぶってんねぇ」


「ハクレイ逃げろ!!

 コイツら王直属の暗殺部隊だ!!」

 

「あい?」


 暗殺部隊とやらは間髪入れずに襲って来た。


【思考加速開始】

【胴体視力向上】

【胴体視力超向上】

【相手の攻撃パターン先読み開始】

【筋力向上】

【反射速度向上】


 さすが極めし者だ。

 相手の殺意に勝手に反応してくれたらしい。

 人数は8人か。

 全員武器はナイフ。

 こんな狭い所でこの人数だと、うまく連携出来ないらしくパターン先読みで読めたのは6人が各個人で襲ってくる様子だ。


【撃退開始】


 武器は無いがこの程度なら余裕だ。

 全ての攻撃を紙一重でかわしてワンパン。

 とりあえず気絶させておこう。

 6人を一瞬で倒すと残り2人は連携して襲って来た。

 普通これ見たら逃げるよな?

 残り2人をワンパンで倒して終了。


「おいおいジェイドさんよ。

 何すれば暗殺の対象になるんですか?」


「知らねえよ!

 名前聞かれてそうだって答えたら一緒に来いっ言われてよ。

 怪しいから断ったら襲って来たんだよ」


 理由なく襲われたって事か?

 こんな朝から暗殺なんてコイツらの親分は元気だな。

 

「ちょっと頭の中を調べてみるか」


 ジェイドは、はぁ?って顔しているが俺も出来る自信はない。

 無駄になってもいいからやってみよう。

 相手の記憶をピンポイントで読み取るイメージ。

 目的と指示した人間との会話を読み取る。


【思考回路略奪•記憶回路略奪獲得】

【洗脳獲得】

 

 略奪って山賊じゃないぞ?

 相手の記憶を頭の中で再生する。


 砂嵐の様な映像が鮮明に映し出された。


——「暗殺部隊の諸君、どうやら我々の放ったミノスのツノが売りに出されているらしい。

 場所はレックロームだが、

 売り出しているのはカッパーの冒険者で名はジェイド。

 聞かない名だがミノスを倒す程の実力者だ。

 我が軍隊に入りそうなら勧誘して来い。

 無理そうなら脅威として始末して来い。

 これは王から直接受けた命令だ!

 失敗は許されない!

 もし相手に捕まったならその身を滅ぼしてでも全てを消しされ!

 以上だ」——


 コイツら意識戻ったら自爆するった事か?

 急いで広い場所に移さなきゃマズいな。


「ジェイド!今すぐコイツらを外に出すぞ!急げ!

 外に出せば俺がその場で牢屋を作って閉じ込めておく!」


 ジェイドは混乱しながらも全員を外に放り投げ始めた。

 投げ終わるまでに牢獄を作るイメージをしておく。


【鉄牢獄獲得】


 よし!あとは爆発しても爆風や熱風を外に漏らさない結界をイメージ。


【隔離防壁獲得】


「ハクレイ!!これで最後だ!!」


 全員が外に投げ終わったようだ。


【鉄牢獄】【隔離防壁】

【物理カウンターシールド】

【マジックカウンターシールド】 


「これでなんとかなるかな?

 あとは全員を洗脳しとけば万が一の事も起こらないだろう」


「なんかすげぇ魔法だなぁ。

 てかなんで俺が襲われたんだ?」


「ジェイドを仲間にしたかったらしいぞ」


「なんだなんだぁ?

 王国も遂に俺の実力を認めたってことだな!?」


 ミノスを倒した事になってるからな。

 狙われたのにジェイドは嬉しそうだから黙っていよう。


「暗殺部隊捕まえちゃったけど、コイツらの処分ってどうすればいいんだ?」

 

「組合に報告だな。

 暗殺部隊がレックロームに入り込むなんてよっぽどだし、王直属でも不法侵入は罰せられるはずだ」


 そう言ってジェイドは組合に走っていった。

 マズい事になったな。

 まさか王家がミノスをレックロームに放つなんて・・・

 この町を潰す気で動いている。

 命令した奴は誰だ?映像だと顔は観たけど名前がわからん。

 そう言えば暗殺部隊は洗脳してるから質問すれば答えてくれるかな?


「お前たちに暗殺部隊に命令した奴はなんて名だ?」


「・・・カイン様・・」


 カイン様?俺はゲルって奴だと思っていたが違ったのか。

 後でシャネに聞いてみるか。

 

ーーー1時間後ーーー


「ハクレイ大変だ!

 組合が襲われてる!!」


「襲われてるって暗殺部隊はここに居るんだぞ!?まだいたのか?」


「暗殺部隊じゃない!!魔獣に襲われているんだ!!」


 むむむ!

 まさかカインって奴がまた魔獣を放ったのか?

 魔獣じゃ刀が必要だな。

 一度車に帰るか。


ーー縮地瞬歩ーー

 

 目の前の光景に絶句する。

 シャネ邸の周りを囲うように魔獣が群がっている。

 結界に守られているから邸宅の敷地は無傷だが、周囲の木々はなぎ倒され惨い状態だ。

 急いで車に戻り刀を持つ。


「おいパック!

 こんな時に何昼寝してるんだよ!

 今この周りは魔獣だらけなんだぞ!?」


「んん~結界があるから大丈夫だよぉ。

 それにあの魔獣はたいしたことないよぉ。

 多分こっちの実力を知りたいんだろうねぇぇZzz」


 ここまでのんびりと昼寝されるとこの現状が本当なのか不安になるな。

 でも外を見ると魔獣だらけだ。

 とりあえず壁で見えないから上空から数えるか。

 空を飛ぶイメージ。


【無重力浮遊獲得】


 おお!!飛べる!!

 数は1、2、3、・・・・・43体か。

 多過ぎだろ。単騎でなんとかなる数じゃないよな?

 種類は全部で6種。牛も蛇もいるし、狼みたいな奴もいるな。

 面倒だ。


「炎弾連射!!」


ボボボボボボシューーン!


 手加減したのにめっちゃ出た。

 ここまで高火力だと街中じゃ使えないな。

 シャネ邸の周りに人が住んでなくて良かった。

 すべての魔獣は燃やし尽くしたが、辺りは悲惨な焼け野原になった。

 それより組合だ。

 急いで向かわなくては!

 無重力浮遊状態は思い描くように自由に飛べる。

 縮地瞬歩の方が移動速度は速いけど上から街を見下ろして移動した方が被害情報の把握に役立ちそうだ。

 飛びながら移動していると妙な事に気づく。

 襲われているのはシャネ邸と組合本部だけだ。

 相手の目的が理解しやすい。

 組合の連中を助けてすぐシャネの元に向かわなきゃならんな。

 

【思考加速開始】

【胴体視力向上】

【胴体視力超向上】

【筋力向上】

【反射速度向上】


 これなら誰の目にも映らない速度で殲滅出来そうだ。

 下に降りて殲滅を開始する。

 組合には7体の魔獣しかいないので一秒もかからないだろう。

 10回ほど切り刻む。それを7体すべてにやって全滅完了。


 待ってろシャネ!すぐに駆けつけてやる!

 

 

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