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25話 火災

「はぁぁぁ」


「あまり溜息はよくないぞ?

 幸せが逃げるといわれるぐらいだし、一緒に居て不快だ」


 酷いな。

 でも溜息が出るのも仕方ない。

 冒険者確定してたはずなのにシャネの努力でパーだ。

 

「これからどうするか?」

 

「これを機にレックロームを離れてもいいんじゃないか?

 ミノスのツノが売れたら資金には困らないだろし、他の領地もきっと楽しいだろう」


 レックロームにこだわる必要はないのは確かだ。

 ここで出来た繋がりも少ないし、絶縁するわけでもない。


「でも、もう少しだけここで頑張ってみようかな?

 住んでみると不自由する事は今のところ無いし」

 

「そうか。

 まぁハクの好きにすれば良いさ。

 どんな時もハクと共に生きる事は変わらないからな」

 

 嬉しいが、正直パックが人の姿になるのは反対だ。


「それより少し思ったんだが、ハクはなんでわざわざシャネの家に戻るんだ?

 毎回客人扱いされて少しも心は痛まないのか?」


「いきなり帰らないってのもどうかと思うぞ?

 それに基本はキャンピングカー生活してるから迷惑ってかけてないよな?」

 

 もし迷惑ならきっと追い出されてるだろう。

 壁に穴をあけたのは申し訳ないと思うが、あれは不可抗力で悪意がないからOKなはずだ。

 

 グダグダと話をしながらシャネの家に向かうと


「ハク!向こうから煙が上がってる!」


「んあ?どこ?」


「正面だよ!あそこって・・・」


 雨でよく見えない。

 車を走らせて近付くと確かに黒煙が上がっている。

 シャネの家だった。

 敷地の外にはヴェルさんたちが避難している。


「ヴェルさん!!

 なにがあったんですか!?」


「ハクレイ様。

 それがどこから燃え上がったのか不明でして」


 ヴェルさんは落ち着いてるな。

 結構な雨が降っているのに家を燃やす炎は、より勢いを増して燃え続ける。

 

「パック、この火事なんか不気味だけどなんでだ?」


「これは呪いの炎。

 魔法の水なら消えるけど普通の雨や水では決して消えることはないね。

 でもこの世界でこんな炎を使える人間は限られてるよ」


 誰かがシャネを恨んでるってことか?

 王女で組合長ってのは大変だな。

 とりあえず鎮火だ。

 水弾とかで鎮火作業をしても家は粉々になるだろう。

 

「放水!」


 即席技だが魔法水だからいけるだろう。


バシューーー!!


「やべっ」 


 水量多過ぎ。

 それに威力が強すぎて家がボロボロになってしまった。

 この世界は色々と強度に問題があるな。

 まぁ無事鎮火出来たし他に燃え広がってないから結果オーライだ!


「ハクの水でボロボロだな」


「それは言わないでくれ」


 鎮火が終わってすぐにシャネが駆けつけてきた。


「皆は無事か?

 ハクレイもパックも怪我はないか?」


「俺達は平気だ。

 それよりこの火事は意図的に起きたものだ。

 炎が普通じゃなかったからな」


「またか。たぶん兄上の仕業だ。

 毎度毎度よく飽きもせず嫌がらせを続けられるな」


 コイツは身内に家を燃やされたのか。

 それにしても家を燃やされて平常心でいれるシャネは凄いな。


「毎度って事はよくあることなのか?」


「この町で何かあると嫌がらせが起こるんだ。

 家が燃えたり、この町の冒険者が誰かに襲われたりな」


 シャネの周りは恐ろしいな。

 

「今回は何が原因でこうなったんだ?」


「それはハクレイの存在だろうな。

 魔獣を一瞬で倒せる奴がアタシの近くにいるってことが気に食わないんだろうな」


「え?俺?」


 まさかの発言に驚いた。

 冒険者になれていない俺が原因になるとは予想外

 俺の実力を過大評価しているのは試験の時にいた奴らだけだ。

 この町からシャネの兄上とやらに報告した奴がいるってことは、町全体を常に見張られてるってことか?

 暇な奴が多いな。


「シャネに迷惑ならすぐにこの町を出てくよ。

 他の冒険者にも迷惑はかけたくない」


「無理するな。ハクレイに宛がないのは知っている。

 それにお前を冒険者にしなかったのが今回の原因だろうな。

 自分の兵団に入れるとでも思ったんだな」


 面倒な兄弟だな。

 嫌がらせはどの世界でも妬みやらで起こるけど家を燃やすのはやりすぎだ。

 なんかイラついてきた。


「仕返しはしないのか?

 ここまでやられて黙って見過ごす訳ないよな?」


「無理だ。

 証拠はないし、王族同士の争いは禁止事項だからな。

 これは王家として耐えなきゃならないことなんだ」


 王族ではない俺は納得ができない。

 本人が納得なら何も言えないが、後味が悪く周りの雰囲気は最悪だ。

 ヴェルさんも納得はしてない表情だ。


「家の後始末は組合でやるから皆は宿に泊まって過ごしてくれ。

 ハクレイはいつもみたいに車で寝泊まりするのか?

 宿ならとってやるぞ?」


「宿はいいや。

 それよりこの敷地はシャネの土地だよな?

 今まで良くしてくれたから家や家具のことを俺に全てを一任してくれないか?」


 不思議そうな顔で俺をみるシャネ。

 しかし俺の真面目な顔初めて見たんだろう。

 大きな溜め息をして


「まぁいいか。

 任せるからハクレイの好きにしてくれ」

 

 と言ってくれた。

 これなら恩返しも出来るし魔法の練習も出来る。

 それに家を建て直せば俺が自由に出入りしても問題はない。

 周りが驚くような立派で豪華な家を建ててやる。

 みんながいなくなったのを確認したら早速準備に取り掛かる。

 まず燃えた家から金属の類を集める。

 イメージはネオジウムより強力な磁石のようなモノだ。

 家の中から反応して集まるようにイメージしてサークルを書く。

 発動する。

 剣や盾など小さい鉄は集まった。


 次はレアメタルだ。レアメタルは磁石にくっ付かない。ならレアメタルが集まるイメージをすればいいだけだ。

 しかし同じようにやったが殆ど集まらない。

 シャネの家はゴールドやプラチナがあまり無いらしい。本当に王女なのかと疑う程で、指輪やネックレスの類が小量しか集まらなかった。

 

 後は土と木材と陶器などしか残ってないので全て燃やして何もない状態にする。

 下準備は完璧だ。

 全て燃やして平地にしたシャネの土地の広さは一つの学校が建つほど広かった。

 晴れたら家を建てよう。

 それより家を囲む顔壁だ。なにか違和感を感じる。

 しかし近づいても何もない。


「おかしいな。

 なんか変な気配を感じるんだけど」

 

 悩んでいるとパックが


「壁に魔法陣が刻まれてるね。

 カモフラージュされているから目で確認する事は出来ないよ。

 壁全体を解析してごらん」


 パックの言うとおり解析してみた。


「なんだこれ!?」


 外壁全体に100以上の魔法陣が隠されていた。

 

「どうやらシャネは常に監視されてるな。

 よく見ると炎系の魔法陣もあるようだ。

 家の中にも同じ魔法陣が沢山あったからな。

 それで外部から遠隔で火災を起こしたんだろう」


 なんて陰湿なやり方だな。ストーカーも放火も覗きも立派な犯罪じゃないか。


「パックは家の中にも魔法陣があるの知ってたのか?」


「風呂場にもあったからね。

 何が目的であんな所にあったのか不思議だったけど、これは愛情を通り越して変態のすることだな」 


 元々愛情があるようには感じないな。

 面倒なので壁も全て燃やして破棄する。

 すべてをゼロから作り直せばシャネも安全だろう。

 

 明日から忙しくなるな。

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