21話 付与魔法の使い方
「じゃぁこの世界の常識である魔法と宝石の相性から教えるね」
パックの説明が始まった。
宝石には相性のよい魔法を与えることが出来るらしく、相性が悪くても付与は可能だが威力は20%まで落ちることもあるとの事だ。
基本は色で判断できる。
赤=火 =ルビー
黄=雷、土 =シトリン
緑=風、木 =エメラルド
青=水 =サファイア
白=光 =ダイヤ
黒=闇 =ブラックダイヤ
虹=肉体強化、保護、武器強化=アレキサンドライト
大体こんな感じらしい。こっちの世界でも宝石の呼び方は同じだ。
次に台座として使うレアメタル。オシャレに彫刻する意味はないらしい。
プラチナもゴールドも大差ないが、プラチナの方が見た目は良いとの事だ。
俺は右で武器を使うのがメインになるから左手に合わせて指輪を作るのがベストらしい。
指は五本しかないが一つの指輪に2つの宝石を着ければ問題無いんだとさ。
人差し指にダイヤ、中指にルビーとシトリン、薬指にエメラルドとサファイアを作る。
人差し指のリングは拳を握った上面に石が見えるようにつくる。
中指と薬指は上面のから半々で作るか交互に散りばめるのが良い。
制作手順はお決まりのイメージと既にある超細工術でOK。
じゃぁ作りまぁす。
【超細工術】
はいできた!スキル様々ですね。
「出来たようだね。
次は付与だけど少し変わった付与をするよ」
また説明が始まった。
本来の使い方は宝石に発動したい術式を転写して、魔力を集めてある程度溜まったら発動するらしい。
でも宝石の魔力容量を越えると宝石は塵になりリングも使い物にならなくなる。
仮に容量を越えなくても溜める事によるダメージは蓄積されるため最終的に石が割れたりする。
そしてこの方法の一番の欠点は直接術式を転写する事で一つの魔法しか使えない。
全てを解決するにはまず宝石に魔力を溜めずに通すだけ。通して石の外で溜めれば良い。
溜める術式はリングの表面や縁に入れることによって外部から展開させる。
発動したい攻撃術式は言葉で魔法陣を展開させるらしい。
理解は出来るが難しくないか?
溜めてから技名を叫ぶのは少し恥ずかしくもある。
言われたとおりに超細工術でリングに直接魔法陣を彫り込む。
技は単純に炎の玉が飛んでいくイメージで炎弾で良いだろう。
「炎弾」
軽いノリで撃ってみた。
ーーボッ!!ドシュゥゥン!!ーー
撃てた!しかしマズい事になった。
威力が強いのかシャネ邸の敷地を囲む立派な壁に穴を開けてしまった。よく見ると溶解している。
思った以上に危ない技だ。
使う場所を間違えると周りに迷惑をかけることになるな。自重しよう。
他にも2パターン技を作った。
炎流弾 隕石的なやつ
炎壁 名前のまんま
三パターンで四種類あれば十分だろ。
試しに撃ってみたいが・・・やめておこう。
シャネ邸の庭がカオスな状態になったら大変だ。
試し撃ちは後でやるとして、後は刀に魔法を付与して終わりだ。
「刀はそのままでもよくないか?
不都合は無いし、正直自分で使った感がなくて何が足りないのかわかんないよ」
「ハクは本当にダメだなぁ。
どんなに良い刀だって刃こぼれするだろ?
再生能力を付与すれば折れても刃こぼれしても問題ないだろ?
それに何でも切れるようにしとけば石も堅いモンスターも切れて便利じゃん」
何も言い返せない程完璧だな。
「ハクの思いつく限り付与しておくことを進めるよ。
付与し過ぎで困ることはないからね」
そう言ってパックはどこかに行ってしまった。
思い付く限りか。
何でも切れるのは良いけど武器が奪われたら危ない。
俺の手から離れた時点で武器として使えなくすれば奪われても安心だな。よし!
刀には魔力憑依・属性無効化・高度無効化・高速再生能力・専用武器化をしておく。
これなら安心安全だ。
ダイヤの魔法は何をすればいいのか不明だったので付与していないが、それ以外は出来た。
「・・・暇だな」
やることが無くなったのでひたすらポーションを作りまくる。大量に買った薬草で200本ぐらいできた。
あとは車にもポーチと同じ魔法を付与しておこう。
これなら被災地でも無敵だ。
それから2時間は紅茶を飲みながら一息入れる。
バタバタと過ごした今日までを振り返るとあっという間の出来事だった。
「夕飯食って寝るかなぁ」
ボソッと独り言を言った瞬間、背筋が凍った。
ーードォォォン!!
地鳴りとともに爆発音が響き渡る。
「ハクレイ様!
敵襲です!避難してください!」
ヴェルさんが屋敷の窓から叫んでいる。
敵襲って変じゃないか?
こんな端っこの領地を攻撃出来るのは近隣の領地だよな?
俺はシャネ邸の屋根に飛び乗り周囲を見渡す。
この領地の入り口の門から黒煙が上がっているが、遠く何が起きているのかわからない。
「パック!!どこだ!?」
パックがいない。こんな時にアイツは何をしているんだ?
屋敷の中に入りパックを捜す。
「ハク、どしたの?」
風呂上がりのパック発見!
「今この領地は攻撃されてるらしいんだ!
さっきの爆発聞こえただろ?」
「聞こえたけど組合が対処するって話じゃないの?
ハクはまだ冒険者になれてないから行っても邪魔になるだけじゃないかな?」
冷静になるとそうだが、人としての心は・・無いな。コイツは人じゃないし。
「俺は戦争なんてしたことないからどうしたらいいかわかんないんだよ!
どうすればいい?教えてくれ!」
「少し冷静になりなよ。
ハクがこの争いに手を出せば面倒な事に巻き込まれるかもしれないよ?
それでもいいの?」
確かに面倒事はさけたい。が、
「俺は今出来る事をしたい!
組合にはシャネもいるし、迎撃にはオドもジェイドも加わっているんだよな?
少しでも力になりたい!」
「わかったよ。
とりあえず自分を中心に門まで意識をドーム型に広げるイメージをしてみて。
それが索敵魔法になるから」
言われたとおりやってみる。
【魔力干渉・魔力索敵を行使します】
「これで今門のところでなにが起きてるかわかるよね?
試験の時に倒したモンスターと同じ奴が門を突破してきたっぽいね。
ファイティングブルが3匹とレッドスネークが6匹か・・・結構いるね。でも本命は・・」
確かに牛と蛇は俺もわかるが、後ろにはデカい何かがいる。
「パック!あいつは何だ!?」
「・・・ミノスだね。」
「ミノス?
ミノタウロスの略か?」
「そうだよ。
牛の頭がついてる人型の魔獣だね。
でもミノスってそこまで知性がある魔獣じゃないんだよなぁ。
指揮官としてはダメだけど、強さは牛と蛇の5倍くらいだね」
それって強いのか?
牛も蛇も一瞬で倒せたから何とも言えないな。
「加勢にいく?」
「おぉよ!
足手まといになるかもしれないけど、少しは役に立ってやるよ!」
俺とパックは魔獣の元に向かって走り出す。




