2話 2日目
朝日の眩しさで目が覚める。
俺は今、車の中のベッドにいる。
昨日の夜は色々と不慣れな出来事が多く、寝て起きたら元通り。
なんてことにはなっていなかった。
時計の表示はAM9:26
顔を洗って、歯を磨きながら外に出てみる。
少し離れたところにアルマの家が見える。
異世界二日目はなんてことない普通の始まり方だ。
今日はアルマに車の事を説明して、魔法を教えてもらおう。
歯磨きを済まし、アルマの家に向かう。
アルマは洗濯物を干していた。
普通に洗濯物を干しているだけなのに、とても美しく見える。
見取れていたら、アルマが気付いて俺に手を振っている。
とても無邪気な笑顔で手を振られる。
嬉しいが少し恥ずかしいので軽く手を上げて近付いて行く。
「おはようアルマさん」
「ハクレイさんおはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
なんてことない普通の会話をして、昨日は聞けなかったスキルなどの事について聞いてみた。
しかし、スキルを持つ人はかなり稀なので詳しいことはわからないらしい。
冒険者のトップクラスになるとスキル持ちが居ると言われているとかなんとか・・・
街の教会に行けば天啓を授かった教祖が魔力量や適正などを教えてくれるらしい。
やはり街に行って自分で調べるのが一番いいのか?
「ところで昨日はどちらでお休みになられたんですか?」
おっと、遂に俺の馬車ならぬ車を説明する時がきたようだ。
「昨日はここで休みました。」
かなりのドヤ顔で車を紹介した。
「なっっなんですかこれは!?」
素敵な反応だ。まぁ元々自慢したかったのだが、かなり驚いたようだった。
「この中は普通に生活する道具が一式揃った走る箱・・・車です!」
・・・まぁ車だし他に説明のしようがない。中を案内したらアルマの目が更に輝いていた。
ベッドにレンジ、コンロやエアコンを装備したフルスペックのキャンピングカーに死角はない。
「こんな異次元の箱を持っているハクレイさんは王族か貴族ですか?」
確かにアルマの家と比べると異次元過ぎる。
普通の中小企業のサラリーマンであるが説明出来ないので発明家として話をゴリ押しして何とか納得してもらった。
「街にはこの車で向かいたいのですが、馬車だとどの位で着きますか?」
馬車で10日程と聞いたのは良いが、馬車が時速何キロで走るのかは知らない。そして道という道が無いので確実に迷子だ。
「今日の夕方に私の友人が薬草と食料を持って来てくれるので、その子について行けば迷子にならずに住みますよ。」
なんて事でしょう。このタイミングで友人が訪ねて来るなんて奇跡。
10日程くっ付いて行けば街にいけるとは素晴らし。
「その友人を紹介しますのでご飯でも食べてゆっくり待ってましょう。」
アルマの優しさは底が無いらしい。その言葉に甘えて夕方まで待たせてもらった。アルマの友人ならきっと美人のエルフに違いない。
そんな美人と10日以上も一緒なんて俺の理性は大丈夫だろうか?
妄想し過ぎて気がつくと夕方になっていた。