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18話 戦闘訓練

ちと長めです。

 ーーー早朝ーーー


 俺はシャネの所に向かった。

 昨日の決心を伝えるためだ。

 玄関の前にはヴェルさんが立っていた。


「ヴェルさん、おはようございます。

 シャネいますか?」


「ハクレイ様おはようございます。

 ご決断されたのですね」


 ヴェルさんは笑顔で答えた。何もかもお見通しだったか。この人すごいな。

 ヴェルさんに連れられて俺はシャネの元に向かった。

 

「シャネ様はこの部屋の向こうです。

 では失礼します」


「パックはどう思う?」


「なにが?」


「俺が冒険者になることだよ」


「まぁ向いてなかったらその時考えよう。

 今は出来ることに向かって行動するのもありだよ」


 パックには世話になりっぱなしだ。

 背中を押されるようにドアを開け、部屋に入る。


「あれ?シャネぇ、居るかぁ?」


 部屋を見渡すと誰もいない。ヴェルさんは居るって言ってたけどな。

 デカいソファーがあったので勝手に待たせてもらう。

 すると目の前のドアが開いた。


「おぉぅ」


 思わず声がでてしまった。

 多分シャワーを浴びていたんだろう。

 髪はうっすらと濡れていて前をバスタオルで隠したシャネが現れた。

 シャネが顔を真っ赤にして固まっている。

 

「安心しろシャネ。

 バスタオルのおかげで大事な部分は見えてない。

 そしてこれは不可抗力であり、このまま俺が部屋を出ればなかったことに『ならねぇよ(怒)』・・さぁせん」


「今すぐ出て行けぇ!!!」


 追い出されてから10分程部屋の外で待っていると


「もぅ入って来ていいぞ」だそうです。

 確認のため少しドアを開けて覗くと服を着ていた。

 少し怒っているらしくソファーで腕を組んでいる。


「失礼しまぁす。

 ご機嫌斜めですが報告があります。

 この度私ハクレイは冒険者になりたいのですが、手続きはどの様にすればよいのでしょうか?」


 シャネの顔がポカンとしている。


「マジ?」


「マジマジ。

 冗談でこんな事言わないよ。

 俺の作るものは販売禁止なんだから冒険者以外にやれそうなことないんだもん。

 冒険者になるためにこんなポーチまで作ったぐらいだぞ?」


 昨日作ったポーチを見せびらかす。

 シャネが震えた声で話す。


「お前それは」


「はい?なんかまずった?

 俺としてはかなり便利なモノだと思うぞ!

 大抵の事では決して壊れないし、何より無限に入るのに重さは変わらないんだからな!」


 パックが呆れた顔でやれやれと溜め息をする。

 説明を終えた俺はドヤ顔をする。

 少し怒りながらシャネが、


「人前で使うのは禁止だ!

 とんでもないもの作りやがってまったく・・・

 異空間収納なんて伝説の魔法なのにそれをマジックバックに付与するなんて・・・

 それはそうとパックも冒険者になるでいいの?」


「平気だよぉ。

 パックはハクと一心同体だからハクについてく」


「二人の意見はわかったわ。

 今日は組合で登録の準備を進めといてあげるから、明日またあたしのところまで来て。

 明朝に組合で実技試験をやって適正確認をしたら晴れて冒険者ね」


「おいおい実技試験なんて聞いてないぜ。

 組合長の権限で冒険者になれないのかよ」


「組合長権限で免除されるのは筆記試験だけね。

 実技試験は冒険者の死亡リスクの回避と仕事の振り分けを決めるために必要なの。

 だから今日中に実技の練習をしといて。

 お金渡すから必要なものは買い揃えておいてよね」


 試験があるなんて聞いてないよ。

 いきなり壁にぶち当たる。

 俺喧嘩とか苦手なんだよな。

 部屋を出て車に戻ろうとするもヴェルさんが待っていてくれた。


「今日買い出しに行かれるのですよね?

 馬車でお送りします。

 それから戦闘訓練はいかがなさいますか?」


「ハクの訓練は任せて。

 責任を持って仕込んでおきますから」


 パックと訓練とか動物愛護団体に訴えられそうな絵図等だな。

 兎にも角にも先ずは装備集めだ。


「必須アイテムってなんだ?

 ポーチとナイフはあるけど他に必要な物ってわかるか?」


「正直ないかな?

 ハクの場合、昨日も言ったけど魔法創生があるから装備する意味はないね。

 強いて言うならナイフより剣、それも日本刀がいいかな?

 あとはポーション類を少々だね。

 それだけ持てば冒険者っぽいでしょ?」


 結構有るんだな。

 早速買い出しに行こう。

 ヴェルさんが街に送ってくれた。

 銀貨の入った袋を渡され、

 

「3時間程でお迎えに上がります。待ち合わせは噴水の広場でよろしいでしょう」だそうだ。


 早速町を歩いているとポーション類が売っていたが、


「この程度なら薬草買って自分で作れば質もいいしコストも抑えられるから、市場に行こう」


 と、なったのでポーションは自分で作ることになった。

 雑貨屋で小瓶を大量に買い込む。

 路地でコソコソとポーチに突っ込んで市場に向かう。

 セドルの市場は活気があった。肉や魚もあるが、薬草に果物・加工前の素材まで売っている。

 一通り鑑定しながら見て回ると、他の店よりは一回り小さいが薬草と素材の質が抜群に良い店を見つけた。

 この店は客があまり群がっていない。


「さぁせぇん。

 薬草いいですか?」


「あれ?ハクレイとパックじゃねぇか!」


 まさかのジェイドだった。

 

「なんでお前が薬草や素材を売ってんだよ?」


「前にも言ったろ?

 個人でやってる奴は色々とやってんだよ。

 冒険者として素材を集めて余ったらこうやって市場で売って金にするのは常識なんだよ」


「そんなに生活が厳しいものなのか?」


「俺は生活が厳しいってより作りたいものを作るために稼いでるんだよ。

 ソロのカッパーはダンジョンとかでも深く潜ることができないから、貴重な素材は買う以外選択肢がないんだ。

 浅い階層なら薬草とか小型のモンスターを狩って直接素材として売れば儲かるからな」


 直販だから質がいいのか


「そうか。

 じゃあ大銀貨10枚分の薬草貰おうかな?」


「そんな買うのか?

 こっちは有り難いけど量がすごいぞ?」


「なら届けてもらおうよ。

 ハクじゃこの量は持てないでしょ?

 場所はシャネの家だからジェイドならわかるよね?」


「シャネって組合長の事か!?

 金払いもいいし普通じゃないと思っていたが、まさか組合長の部下だったとは恐れ入ったぜ」


 部下では無いんだがまぁいいだろう。


「パックは欲しいものあるか?

 今ならジェイドに頼むけど」

 

「なら宝石関係とレアメタル関係かな~

 財産として持っとけば安心だろ?」

 

 人の金を自分の財産とするのはあまりよくないよな?

 パックはそんな奴じゃない!信じよう。


「大銀貨200枚置いていくから調達できたらシャネ同じように届けてくれ」


「お得意さんの頼みじゃしょうがねぇな。

 なるべく質の良い奴を探して持ってくよ。

 何か希望はあるか?」


「石はルビーにシトリン、エメラルド、サファイア、ダイヤ、ブラックダイヤ、あとアレキサンドライトかな?

 レアメタルはプラチナかゴールドがベストだね。

 あと刀も欲しいかな?業物がほしいけど中途半端なら間に合わせでいいから適当な奴でいいよ」


 ジェイドの顔が引きつっている。

 確かにとてつもない注文だ。

 素人の俺でもかなりムチャな注文だとわかることをペラペラとよく言える。


「出来る限り努力しよう」


 ジェイドの返事に元気はない。

 がんばってもらうとして俺は帰って戦闘の準備だ。

 噴水に向かうとヴェルさんは既に待っていた。

 馬車に乗り、家に帰る。


「じゃぁ明日のためにハクの装備を完璧にしておこうか。

 まずそのコートにポーチと同じような魔法陣を転写しておこう。

 それが終わったら戦闘訓練だね」


 ハードスケジュールは嫌いです。

 まずコートに付与を行う。

 昨日一度やったから数分で出来た。

 戦闘訓練の方はどの位やるんだろう。

 痛いのも嫌だし苦しいのも勘弁だ。


「コートは終わったね。

 ほいじゃ戦闘訓練始めまぁす。

 まず敵がいるイメージして」


「またイメージ?」


「せっかくいいスキルがあるんだから活用しなきゃ勿体ないじゃん。

 さっさとイメージして」


「らじゃ」


 これ、意外に難しくない?

 敵ってどんなのを想像すればいいんだ?

 知らない相手と対峙してる感じでいいのか?


「出来たっぽいね。

 それが襲ってくるのを撃退すればOK」


「えぇぇまじっすか?」


「マジっす。

 さっさとやって次いくよぉ」


 言われたとおり倒したぞ。


【対人超戦闘術ー単ー獲得成功】


 なるほど理解した。


「次は刀とナイフを持ってるイメージで敵と戦ってね。

 もちろん相手は武器持ってること。

 その次は相手が複数人ね。

 その6パターンを今度はデカい猛獣とやること。

 猛獣も空を飛ぶ奴と泳ぐ奴と走り回る奴でよろしくぅ」


 まじっすか。


【対人超戦闘術ー複ー獲得成功】

【対人短刀超戦闘術ー単ー獲得成功】

【対人短刀超戦闘術ー複ー獲得成功】

【対人長刀超戦闘術ー単ー獲得成功】

【対人長刀超戦闘術ー複ー獲得成功】

【対獣超戦闘術ー単ー獲得成功】・・・


【超戦闘術を極めし者獲得】


 これはしんどい。

 イメージのしすぎで脳みそがレッドゾーンだ。


「終わった?

 これで戦闘訓練は終わりだよ」


「これが訓練って強くなったの?」


「んじゃ試してみる?

 ちょうどいい相手が来たしさ」

 

「ちわぁっす!

 薬草とその他諸々持ってきましたぁ!!」


 まさかここまでパックの予定通りなのか?

 ジェイドよ。お前はこの可愛らしいキツネに手のひらで弄ばれているじゃないか。


「ありがとジェイド。

 それからハクと模擬戦をやってくれないか?」


「良いけど俺冒険者だぜ?

 怪我とかされるとちょっと困るんだよな」


「冒険者との模擬戦が一番効率がいいんだよねぇ。

 怪我してもジェイドが悪いわけじゃないから全力で頼めるか?」


「パックがそこまで言うならまぁいいけどよ。

 ハクレイもそれでいいのか?」


「問題ない。

 やってくれるか?」


「よっしゃ!

 じゃぁ構えろ!」


 いざ人を目の前にすると緊張するな。

 でもここはパックを信じてやってみよう。


「2人とも準備はいい?

 じゃあ、はじめ!!」


 パックの合図と共にジェイドは走ってこっちに向かってきた。

 凄い迫力だ。でも動きが早くて目で追うことが出来ない。さすが冒険者だ。


【思考加速開始】

【胴体視力向上】

【胴体視力超向上】

【相手の攻撃パターン先読み開始】

【筋力向上】

【反射速度向上】

【撃退開始】


 遂に俺は人をやめたのか?

 ジェイドが亀のように遅くなった。

 動きも見切ってしまった。

 相手の動きに合わせて軽く殴っとくか。

 動きの遅いジェイドの左肩を軽く殴るとジェイドは予想を遙かに超える勢いで吹っ飛んだ。


「完璧じゃないか!」


 パックはとてもうれしそうにしているが、ジェイドは気を失っている。

 ジェイドには申し訳ないが、コレで一通りの準備はできた。

 明日は問題なさそうだ。


 その後ジェイドが起きるまで2時間待った。

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