16話 魔道具
「おいハク!ハク!お家に着いたよ!」
完全に寝てたな。
パックのテンションからして最後まで盛り上がってたのかな?
「ありがとうモアナさん。
おかげで楽に荷物を運ぶことができました。
このご恩はいつか必ずかえしますね」
「いえいえ気にしないでください。
それよりパックちゃん。
今日はとても楽しかったわ。
また会いましょうね」
「モアナばいばぁぃ!」
おい!まぁいぃけどさ。
それより俺は楽しい楽しいカバン作りだ!
早速車に戻って作業開始だ。
趣味の革細工をこの世界でも楽しめるなんて最高じゃないか。
では革細工を始めます。
工程は大ざっぱに次の通りです。
↓
1 型紙を作ります。
2 型紙より大きめに革をきります。
3 革の裏面を磨き、型紙通りに革をきります。
4 切った断面をきれいに処理すます。
5 糸を通す穴をあけて縫い付ける。
まぁこんなもんだろ?
「きゅぅぅぅ」
パック?呼ばれた気がするが気のせいか?
よし!始めよう!
【超裁縫術・超細工術を行使します】
終わたぁー。
2日は楽しめたのに秒で終わってしまった。
楽しむってのは悩んで失敗しても工夫しながら成長する事なのかな?
そんな時は集中してるから時間が経つのも早い。
今の俺は集中も無く瞬間的に終わってしまう。
何かを極めた人ってこんなもんなのか?
・・・はい次~
魔法陣を転写するだったか?これはパックに聞くしかないな。
あいつどこ行ったんだ?
「おぉいパック~」
「なにぃ?」
どこだ?周りを見渡すが見当たらない。
さっきまでそこら辺に・・ん?
「パックちゃんこれ食べる?」
「モアナばっかズルい!
ほらパック!こっちに来いよ!」
女子会の盛り上がりだ。
またしても俺は置いてけぼりだ。
魔法陣は後でやるとして、俺は実用性のあるカバンや小道具でも作っておくか。
まずポーチだ。
拳が入るサイズと口が30センチ開くのを作っとけば何かと便利だ。
ジェイド製のナイフホルダーに財布も作っておこう。
・・・・はい出来た。
「そろそろ作り終わると思ってきたけど予想以上に出来てるね。
これから魔法陣の転写のやり方を教えるけど、準備はいいかい?」
「女子会は終わったのか?」
「終わったよ~
シャネとも仲良くなれてよかったよ」
「魔法陣の転写をおなしゃす」
「んじゃはじめまぁす。
やり方としてはまず転写したい魔法陣を地面でも紙でもいいから書いて、その上に転写マークを入れた対象物を置いて魔法を発動させる。
以上!」
簡潔でわかりやすいが、正直全くわからない。
「じゃぁ耐水と耐火と耐汚の陣を地面に書いてみて。
ハクのスキルなら簡単にできるよ」
「どうやって?」
「魔法創生は願望やイメージした事をそのまま魔法に出来るんだよ。
火の中でも燃えないイメージをすれば、耐火の魔法陣が頭の中に浮かんでくると思うよ」
言われたとおりにイメージしてみると、変なサークルが頭に思い描かれてくる。
「このサークルを地面に書けばいいのか?」
「そうだよ。
同じ要領で耐水と耐汚も書くんだけど、3つの効果を一つにイメージ出来れば一つのサークルで済むからそっちの方が簡単かな?」
なるほどな。イメージ力がすべてのスキルだったのか。
妄想は得意だ。
3つの効果をイメージしみる。
少し複雑で大きめのサークルが思い描かれる。
絵を描くのはそんな得意じゃないから、サークルを書くイメージも一緒にしてみる。
【自動書き込みを行使します】
完璧だ。後は転写マークをカバンに書いて魔法を発動すればいいのか。
魔道具って案外簡単に出来るものなんだな。
「魔法陣の発動ってどうやるんだ?」
「簡単だよ。
魔法陣に力を流すイメージでOKだよ」
全部イメージだな。
魔法って全てイメージなのか?
魔法陣に手をかざし、言われたとおりにしてみる。
すると魔法陣と転写マークが輝き変化していく。
光った魔法陣はカバンに吸い込まれていく。
転写が終わると光は消えた。
「これだけ?出来たのか?」
転写マークが変化してHになっている。
完全に某高級ブランドのロゴマークのパクリだ。
「完璧だよ!
早速解析してごらん」
確かに出来ているが、
「これって売れるのかな?
街で見たのとはなんか違くないか?」
「それは魔法の階級の差。
街で見た大体の物が低級の魔法陣を転写してたからだよ。
ハクはこの世界だと国宝級か伝説級になっちゃうね」
サラッととんでもないこと言ってないか?
そもそも国宝級とか伝説級って意味が分からない。
イメージを転写するのは誰でも同じじゃないのか?
「なんの苦労なく国宝級、伝説級って言われてもなぁ。
そもそも魔法に階級なんて聞いてないぞ?」
「聞かれてないからね。
ハクはこの世界だと異次元の存在だね。
今書いた陣も本来なら1人の人間が一生かけても生み出す事が出来ない位の代物だよ」
それだと話は一気に変わるな。
道具屋でもやれば一生困らないじゃないか。
・・・よし!道具屋になろう!
「ハクレイちょっといいか?」
シャネが話しかけてきた。
昨晩の話の続きか?それは気まずいな。
「今物凄い光が見えたんだけど何をした?」
「あぁそれか。
これを見てくれ!まだ試作だが、なかなかの作品だと思わないか!?」
「こっこれは!?」
なんだ?文句でもあるってか?
確かにコバの処理が少し甘いが初めてにしてはなかなかの出来だと思うぞ?
「ハクレイがこれを作ったのか。
これはかなりまずいことになったな」
パックも
「そだね。
実際にこれはこれで問題だよね」
二人して何なんだ?
女子会のノリで俺を話に参加させない気なのか?
大きな溜め息をしてシャネが話し出す。
「この力は絶対に公言するな。
あとお前が作る魔道具は一切の販売を許さない」
「・・・いやいやふざけんなよ!
確かに売り物としてのクオリティじゃないけど、練習してクオリティを上げれば別にいいだろ!?
まぁ確かにロゴは色々と問題あるけども・・・」
「ロゴ?その変なマークか?
それはその人の特徴で、この世界では唯一無二の証になる。
変化した魔法陣は決して真似できないから、自社のエンブレムとして使用されることも多いんだ。
・・・そんな事じゃなくて転写された魔法陣が問題なんだよ!」
「パックが言ってた国宝級か伝説級ってやつか?
でも普通にやっただけだぞ?」
「その普通にやっただけが余計問題なんだ!
このレベルの魔道具は一般的な店で売ったら金貨1000枚とかの価値だ。
そんなもんを安くポンポン売り出したら他の店は潰れちゃうだろ?
この町の魔道具関連の職人は人口の10分の1はいる。
その人数が浮浪者になったら大変だ。
そして何より厄介なのはその噂を聞きつけた他国の奴らだ。
お前を狙ってこの町に攻撃を仕掛けてくるかもしれないからな」
「大袈裟だな~
じゃなにか?俺を求めて戦争みたいなことになるってか?」
俺は笑いながら話したが、シャネは低いトーンと真顔で答えた。
「何人死ぬか想像もできない規模の戦争だな」
それは確かに笑えないな。
俺は魔道具屋としては駄目ってことか。
職探しは振り出しに戻ってしまった。
「今ある小道具は転写して自分で使うとして、魔法陣のレベルを下げて売ることは出来ないのか?」
「それは無理だ。
上げたくても上げられないのと一緒で、故意に下げることは出来ない。
付与魔法ってのはそもそも簡単には出来ない。
魔法陣を転写するだけでも何時間、何日ってかかるんだからな。」
だからカバンも高価になってたのか。
「わかったよ!売らないから安心してくれ。
自分で使う以外は作らない!
これならいいか?」
「決して誰にも貸さない、作ってるところを誰にも見せないと約束してくれ」
「了解です。
他に何かあるか?」
「・・・夕飯の準備ができたから呼びにきた」
「・・・あざす」




