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努力係数について
古典魔法学において魔法は火・風・水・土の4つに分類される。
しかし理論魔法学の先兵たる魔法力学によって、これらは本質的には同一のエネルギー理論──すなわち魔力と呼ばれる生物特有の(無生物にもその片鱗はうかがわせるものが証明されているが)エネルギーを外界に放出するという点において同じ理論──に基づいていることが証明されたのである。
さて、このコペルニクス的転回が現代の魔法学にどれほどの影響を与えたか。その答えは意外にも、理論魔法学の未来にとって明るいものではなかった。
生物の意識と親和性、つまり努力係数という計算不能な変数を除去できなかった魔法力学は、魔法の実使用に際した利便性という点において、数世紀前から存在する四元素魔法理論にすら遠く及ばなかったのである。
────「古典魔法学と理論魔法学の盛衰」p.87 より抜粋