4話 彼女が発した言葉 2
3話でついに揚羽が謙信を呼びだした理由を語ります。
よろしくお願いします
「……勘……だと…」
あまりの衝撃に口がポカンと空いたままの状態になってしまう。
この女は今なんと言ったんだ。勘だと言ったのか。勘で俺が『サムライ』だとわかったと言ったのか。やっと頭が追い付いてくると、怒りが頂点に達する。
「ふざけるなよ!勘でそんなことがわかるはずがないだろ!わかったぞ!お前はまともに答える気なんてなくて、ただ、俺をおちょくりたいだけだろ!」
すると、また黒崎揚羽が口を開らいた。
「いいえ、ほんとに勘よ!でも、勘だけとも言わないわ。勘と推理したの」
「推理だと?」
「そう。それにもともと私は『サムライ』を、ある理由があって探していたから『サムライ』が高校生であることも予想していたの。そして、昨日の情報の時間でパソコンを使ったでしょ?その時、あなたのタイピング力は凄かった。そこでピンときたわ。あぁ、もしかしたらこの人が『サムライ』じゃないかってね。」
「いや、普通思わねぇだろそんなこと!なんで一回、俺がタイピングしてるとこ見たぐらいで俺が『サムライ』だって思うんだよ。さすがに無理があるだろ!」
「そうね、その時は私もそうかもしれないって思うぐらいだったわ。だから、かまをかけることにしたの。あなたと仲のいい峯くん?だったかしら、その人に日高くんのアドレスを教えてって言ったらすぐに教えてくれたわ」
そこで、気づいた。自分はとんでもない過ちを犯していたことに。そう、自分は自分で首を絞め、自分で証拠を出していたことに。
「そのあとは、まぁかけだったわ。あなたにメールを送る。あなたの正体を知っていると伝えて、今日の朝まだ誰も来ていない時間にあなた呼んだ。そこで、来なければあなたが『サムライ』じゃないことがわかる。でも、あなたはまんまと来てしまった。さっき、自分で『サムライ』だと、私に言ったわよね?そこで完全にあなたが『サムライ』だとわかったのよ」
そういうことか。自分は完全にはめられたのだ。
なんてばかな男だとやっと自分で自覚した。
「はぁ、そうか俺ははめられたのか。で?お前はいったい何が望みなんだ?俺をはめて、ここにおびき寄せて、何がしたいんだ?」
正直、ほんとは怖かった。今からなんと言われるのか、何を要求されるのか。この女の望みはなんなのか。そう考えていると。黒崎揚羽は口を開いた。
「わたしがあなたをここに呼んだ理由はただ、ひとつよ」
ここにきていっそう日高謙信の緊張が高まる。そして、次に発せられた言葉は。
「部活を作りたい」
また、その一言だった。
揚羽がついに訳をいったかと思うとまさかの「部活を作りたい」。揚羽はなんの部活を作るのか、どうして作るのかこの後の話で、わかります。
次もよろしくお願いします