少女が見た風景 3
少女と歩く遊園地は心躍る。
同伴者が可愛いと言う事もあるのだが、行き交う人とすれ違う度に向けられる好奇の目が主な原因だった。
最初こそ戸惑ったのだが、中々どうして、これは素晴らしい物だ。
馬鹿だと思うかもしれないが、
可愛い少女との逢引を周りはどう見ているのだろうか? そんな風な事を考えていた。
普段感じる事の出来ない優越感を・・・ 俺は密かに少女の隣で感じ取っていたんだと思う。
通報されるかもと言う悩みは有ったものの、俺は少女との時間を素直に楽しんでいた。
少女はと言うと無邪気なもので、次々とアトラクションを制覇している。
周りに笑顔を振りまきながら駆け回るその姿は天使そのものであり、ワンピースから時折除く幼い肢体が俺の心をざわつかせた。
もう一度言っておく、俺はロリコンじゃねぇぞ。
勿論、俺は彼女についていく。
天使の微笑に誘われ、絶叫マシンのフルコース・・・
訂正が必要だ。 彼女は悪魔だった。
「おい、そろそろ休まないか? さすがに俺も疲れたぞ・・・」
休憩が欲しかった。
少女と遊び始めて数時間、そろそろ日が傾き閉園時間も近づいている。
有無を言わせず、近くの売店でジュースを買い、備え付けのレストスペースに腰を下ろした。
少女もそれに続く。
少女の前にジュースを置き、俺は背もたれに深く体を預けた。
「飲め。 今日は全て俺のおごりだ。 乗車賃も含めてな」
気分がよかった。 加えて懐が温かい。
伊達に長距離の仕事を終えた後じゃない。
たまにはパッとした散財も悪く無いと思った。
しかし、少女が先程までの笑みを忘れ、困惑した顔をする。
「あの、、、これが援助交際と言うやつですか?」
・・・は?
一瞬何を言われてるのか分からなかった。
が、思考が追い付き立ち上がる。
「ちょーっっと、まてい!! それは違う!! 違うくないけど・・・ 断じて違うーーーーーーーー!!」
「でも、お金をもらって、男の人と遊ぶのは、、いけない事だって、パパが・・・」
反論を受けるも、引き下がる訳にはいかない。
「いいかい? 君は直接お金をもらっていない! 加えて、俺は君に如何わしい事をしていない!! よって俺は白だ。 いいね?」
「でも・・・パパが、知らないおじさんには気を付けろって・・・」
「俺は、おじさんじゃない!! お兄さんだ!! 顔よく見ろ!! しわだってまだない!! ぴちぴちのお兄さんだ!!」
「でも・・・」
大声を張り上げ、少女に詰め寄る情けない男が一人・・・
少女のおびえた様な表情が・・・ 俺の心を揺さぶる。
「ありがとう」
不意を突き、少女から発せられたお礼の言葉。 加えて優しい笑顔。
どうしていいのか分からない・・・
詰め寄った事で、少女の顔が近く、俺の心拍数は有頂天。
顔が真っ赤である事を、俺は自覚していた。
「クスッ」 そこに少女の微笑。
少女に笑われた?
彼女はこれを狙ってやったのか・・・
もし、そうだとしたら、、、恐ろしい少女である。
休息を終え、遊園地最後の思い出に観覧車へと向かう。
「最後に、観覧車に乗りたい!」 これは彼女が言い出した事だ。
少女と共に観覧車に乗り込み、その景色を眺める。
傾いた日が、高所からの景色をより綺麗なものへと昇華させていた。
思わず見惚れてしまい、少女から目を離す。
俺にもう少し経験値があれば、
少女に甘い言葉を掛ける事が出来たのかも知れないが、場の空気に俺は飲まれていた。
結果として、それが功を奏す。
少女が泣いていた。 声を押し殺して泣いていた。
時折もれる嗚咽だけが、その痛々しさを際立てている。
「ごめんなさい。
ごめん・・・なさい。 パ・・パ・・・ うぅ
もう少しで・・・ 帰るから くぅ・・・」
俺は声をかけてやる事が出来なかった。
他人が踏み込んではいけない一線を、感じ取っていたからである。
観覧車から降り、遊園地を後にする。
少女を車に乗せ、走らせた。
目的地は少女の家。
そこは、遊園地から少し離れた郊外の邸宅だった。
いい年をした男が一人、エア彼女と遊園地で戯れる風景・・・
遭遇したら、こわいですよねw




