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「黒様、材料をお持ちしました。黒様は何をなさるのですか?」


「エリー、ありがとう。これからやるのは、ちょっとした小細工だ。色々と試した事が有るからな」

今、俺がいるのは寝室として用意された部屋の隣。この部屋には防音が施されているらしく、場所的にも機能的にも調度良かった。


「少し見ていてもよろしいですか?」


「別に良いが…………つまらないし、時間も掛かるぞ」


「大丈夫です。邪魔は致しませんので」


俺はエリーを側に有ったイスに座らせて、作業に取り掛かる。まずはダイス作りからだ。



まずは、ここで勝負師(ギャンブラー)クラスの特性を説明しよう。


一言で言えば、ほぼ全ての事象に抽選(ランダムチャンス)が付きまとうクラスだ。


Lvアップ時のステータス上昇にも抽選が必要になる。基本の上昇値は一律100で、2が出れば1倍、3なら2倍、4なら3倍、5なら4倍になる。1と6は特殊で1なら0倍で全く上昇しない。逆に6なら10倍と、かなり微妙な仕様だな。


当然、攻撃するにも抽選が有る。ダイスを2回振って1投目の数字が攻撃回数を、2投目に出た数字が命中回数を現すようだ。例えば1投目が5で、2投目が3なら5回連続攻撃が出来るが3回しか当たらないと言う事らしい。ただ、低Lvでの6回攻撃が出来る可能性はは魅力的だとも思う。


ちなみに各数字がゾロ目の場合は必中クリティカルになると言う美味しい面も有る。


だが良い事ばかりでは無く、1投よりも2投目の方が数字が大きい場合は失敗(ファンブル)になり、2投目の数字の数だけ敵からのクリティカルを喰らう事になる。


この辺りが勝負師になる人が少ない理由じゃ無いのか?俺に言わせれば可能性()しか無いのだが。




更に、鑑定所のオッサンが言うには、各クラスで得られる能力は最低6つ有り、Lvによって順次解放されるらしい。これは他のクラスでも共通なのだそうだ。勝負師になった事で俺も1つ能力を得ている。



ダイス1

帰還(リターン)サイコロを振った後、手元にサイコロが戻ります。



内容だけ見るとかなり微妙だが、いちいち振ったダイスを回収しなくても良いのは嬉しいと思う。



「黒様、この四角い物は何に使うのですか?」


「あぁ、ダイス………サイコロを作ろうと思ってな。色々な材料から試してるところだ」


「サイコロですか?」


「そうだぞ。エリーは勝負師ってクラスの事は知ってるんだろう?」


「はい。様々な抽選が入る。黒様を目の前にして言いにくいのですが、少々面倒なクラスだと………」


「それって失敗した時のリスクがデカイからだろ?」


「はい。その通りです」


「まぁ、試作品だけど………これ見てみろよ」

俺はエリーに今作ったダイスを見せる。


「これって普通のサイコロですよね」


「よく見てみ」


「あっ!!これ、全部6です。これもサイコロ何ですか?」

そう、全面が6のイカサマダイス。これなら6回連続攻撃の必中クリティカルしか出ないし、Lvアップ時のステータス上昇も10倍にしかならない。まさにイカサマ!!


「一応な。絶対に失敗の無いイカサマ専用のサイコロだ」


「イカサマ?ですか」


「イカサマって分からない?イカサマって言うのは、バレないズルって言うか、隠された技術ってところだな」


「はぁ~なるほど。これなら失敗しないと言う事ですね」


「まぁ、そう言う事だ」

まだ、それは試作品だけどな。


「でも、黒様は何故こう言うイカサマ?サイコロを作れるのですか?」


「うん?普通は作れ無いのか?」

まぁ、これは鑑定所のオッサンがサイコロを唯一の武器と言っていたので何となくは想像出来たけどな。多分、概念が無いのだろう。


「はい。この世界の人間は1~6のサイコロしか作れませんよ。それ以外のサイコロは作ろうとしたら壊れます」

そうなのか?それだとこの後作る予定のサイコロが作れない可能性も有るぞ。


後、考えられるとしたら芸術家(アーティスト)だろうな。


「芸術家の能力かな。エリー、エリーの中で芸術って何んだ?」


「芸術ですか?私はあまり芸術は得意では無いですが、凡人の理解の外に有る物でしょか?」

なかなか賢い回答だぞ。さっきも思ったがエリーは頭が悪く無いらしいな。


「俺もそうだと思う。簡単に言うと規格外って事だ。つまりは、人には理解出来ない物を作るのが芸術家って事だ。多分、自分で作れる物なら何でも作れると思うぞ。サブクラスが芸術家だから作れるんじゃ無いか?詳しくは分からないけどな」

何故なら芸術家のクラス説明には『芸術は爆発だ』としか書いてない。


まぁ、これは鑑定所のオッサンから話を聞いてから想像していた通りなんだけどな。


「もしかしてですが、黒様って強いのでは無いですか?」

ここで理解するとは、やっぱりエリーは賢いぞ。


「これから強くなる可能性が有るって事だ。今はまだ弱いぞ。それと今の話は流達には内緒だからな」


「分かりました。約束します。そろそろ戻りますね。今日はありがとうございました。黒様、無理しないで下さいね。おやすみなさい」


「おう。おやすみ」



さて、今からが本命のダイス作りだな。


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