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サブクラスを決めて城に戻った俺達は、王様の用意した装備を受け取った。見た目からしても、かなり優秀な装備だと思う。王家が太っ腹なのは間違い無いな。
俺以外にとってはだが………
いかに勝負師と言うクラスでも、ここまでギャンブル要素を入れなくても良いんじゃないのか?
俺の場合は、装備出来る物を1回1回ダイスで抽選しなければならない。しかも1を出さないと、その装備は永久に装備不可になると言う残念な仕様だ。
当然、王家は俺にも色々と用意してくれたのだが、殆どの装備に1を出す事が出来なかった。その殆どが6だったのでダイスが細工してある事も疑ったが、桜姉達が振ると数字は満遍なく出た。
俺が不運過ぎるのか?そう言えば、桜姉達とは違ってステータスにも運の要素が無かったんだよな。
そもそも勝負師が装備出来る物自体の能力が高くないのだ。何処の縛りプレイだ………と感じてしまう。
唯一の救いは、サブクラス芸術家の武器で、攻撃力の有る鑿と金槌にも1を出せて装備出来た事だ。しかも、二刀流になるのかな?貰ったダイスは攻撃力が0だったので、かなり助かった。
絵筆?でも1を出せたが攻撃方法が検討も付かない。ってか、誰が装備品の中に紛れ込ませたんだ?
また、自称調律者に会う機会が有れば有無を言わさずに1回殴らせて貰う。絶対にだ。
「お兄ちゃん、それは流石に酷く無いかな?」
心を読まれた?勇者の能力か?それに桃は自称調律者を覚えているのか?アイツの話では、忘れているはずだが………いや、アイツの事をアテにする方が間違いか?
「そうだな、戦う気は有るのか?」
「そうか?少しはマシになったと思うけど」
なんだ。装備の事か………確実に装備品の分ステータスも上昇してるから俺としては問題無いが。
「いや、いや、どう見ても熟練の職人さんにしか見えないから………」
確かに防具の方は、鎧等は全滅で作務衣とタキシードしか装備出来なかったので動き易さの面から、作務衣を選んでいる。この世界で異彩を放っていた制服よりも遥かにマシのはずだ。しかも制服の防御力0だったし。
それに黒一色なのでなかなかカッコいいと思うのだが。
ちなみに頭用の防具は、かろうじてターバン風のニット帽が装備出来た。もう1つ、タオルハチマキも可能になったが本当に見た目が職人さんになってしまうから却下だ。防御力は少しだけタオルハチマキの方が上なんだけど、そこは我慢だ。見た目も大事だろう。
鑿 攻撃力+50
金槌 攻撃力+65
作務衣 防御力+50
ニット帽 防御力+10
まぁ、確かに金属製の武器と防具で、1桁は高い能力を身に纏う3人から見ると………残念な結果だろうな。
「桃ちゃん、アッ君の事はもういいです。アッ君は城の中にいる方が安全そうですからね」
「だな。俺達と違って勇者でも無いから仕方ないんだろうと」
命を預けるのでは無かったのか?まぁ、俺だったらこんな見た目のヤツに命は預けれないけど。
それにしても何か選択肢を間違えたみたいだ。そもそも普通に選択出来る要素が、僕にはサブクラスしか無かったのだが。
今現在の選択肢的には…………桜姉と流が寂しそうな目でこちらを見ている。仲間から外れますか?はい・いいえ
はいを選んでも良いが、ここは……
「ごめんなさい」
一択だな。もう少しは一緒にいたい。
「すみません。皆様、明日は城の周辺でこの世界での戦い方を学んで貰います。私と第二戦士長も付き添いますので危険は無いと思いますが、慣れる迄は辛い部分も有ると思うので………」
「エリー、覚悟は出来てるから心配しないの。私達も頑張るから。その代わり、エリーはお兄ちゃんを守ってね」
「お任せ下さい」
王女に守られるって俺って、何なんだろうな。
「では、本日はゆっくりとお休み下さい。後程お食事をお持ちいたします」
「了解。待ってるね」
「エリー、すまないが素材と言うか、石材や鉱石等の材料系を数種類、数は多目に貰えないか?」
俺にも試してみたい事が有るからな。勝負師の可能性を信じて………
「はい、大丈夫です。食事の後にお持ちしますね」
「すまない。助かる」
もう誰もツッコミを入れてくれないんだな。少し寂しく感じるよ。




