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「確認は終わったか?勇者には〈勇者〉の称号と専用のクラスが用意されているはずだ。ワシが現役の時は蟹座の勇者だった。今はイスト国国王になっているがな。それで、1つ聞きたい事が有る。この中に他の………勇者以外のクラスを持つ者は居なかったか?」
他国との連絡方法が気になるな。便利な方法が有るなら知っておきたい。
やはりと言うか星座の名前は地球と同じ様だな。これは1回確認して見るしか無いか。
「この中に勇者以外の者が居たら、どうだと言うんです?まさかとは思いますが扱いを変えるとでも?」
いや、流よ。僕としては扱いは変えて欲しいのだが…………あのステータス差では一緒に戦えない、よく頑張って壁だろう。
「いや、そうでは無い。勇者の数が合わないのは驚いたのだが、ワシら先代の勇者も12人だけで魔王と戦った訳では無いからな。確認したのは改めて協力を頼みたかったからだ。魔王が復活するまでに時間も多く無い、ワシは少しでも有利な状態で魔王に挑んで貰いたい」
まぁ、建前としては合格点だと思うが、僕はそんなにバカな人間では無い。
「それと専用のクラスを持つ者以外が自分に合ったクラスを知る為に、クラス鑑定所と言う場所が街に有る。勇者達も自分に合ったサブクラスも知る事が出来るぞ」
クラスとサブクラスか…………ゲームで例えるならジョブみたいな物だろうな。僕の場合は一般人?になっていたし…………
「僕だ。僕が勇者じゃない。勇者の召還に巻き込まれた者だ」
バレている相手にいちいち隠す必要は無い。自分に合ったクラスと言うのも気になるからな。
「もともと異世界の事情に協力する気は無いが、仲間の為に戦わせて貰う。ステータスが皆と比べてかなり低いからサポートメインになるがな」
これくらいの念は押しておいた方が良さそうだ。仲間の為ならともかく、僕は異世界の為に身を粉にして戦う…………ましてや死ぬ気はさらさら無い。
「それでも、こちらとしては有り難い。礼を言わせて貰うぞ。では早速で申し訳無いがエリシアを連れてクラス鑑定所でサブクラスを決めて来なさい。その後、こちらでクラスに見合った装備や支度金を用意させて貰う」
自称調律者と違い、太っ腹の様だな。装備と金さえ貰えれば後はどうにでもなる。
「勇者様、こちらです。付いて来てください」
「勇者様方、この度は本当に申し訳ございません。私達の勝手で、この世界までお呼び立てしまして……」
「ストップ。エリー………で良いんだよね。勇者様って呼ぶのやめて。桃で良いから」
「だな。俺は流で良いぞ」
「そうですね。私は桜もしくはお姉様でも良いですよ」
「あっはい。えっと………桜お姉様」
「あれは桜姉の冗談だ。僕は黒で良いぞ」
「えっ!!黒様では?」
「悪いなエリー。黒は名前で呼ばれるの好きじゃ無いんだよ。俺は良い名前だと思うんだけどな」
病院等で、あの名前を呼ばれる気持ちを少しは考えて欲しい。
「分かりました。では桜様、桃様、流様、黒様、改めましてヨロシクお願いします」
「「「「ヨロシク」」な」ね」
クラス鑑定所に着いた僕らは順番に鑑定を受けていた。移動中にエリーから受けた説明では、1度決めたクラスの変更は出来ないが、サブクラスの方は極めるする事で変更が可能らしい。
まぁ、極める事自体が珍しい事で、エリー自身3年前に1回見ただけらしい。
最初に流が入り、物理系の剣士と言うサブクラスを得ていた、剣王は剣での攻撃にボーナスが入るし、利き腕じゃなくても利き腕同様に剣を扱えるらしい。つまりは武器の二刀流が可能になるようだ。
2番目と3番目に入った桃と桜は星魔法と言う万能魔法系のサブクラスわ得ていた。流石に見た目がそっくりなだけは有る。これは、僕のクラスにも期待が持てそうだ。
「…………君は本当に彼らの仲間かね?」
「一応そうだが、問題でも有るのか?」
「問題では無いが…………君に1番合っているクラスは勝負師だ。しかも天職と言っても良いくらいだ。それに珍しいクラスなんだぞ」
この職員は変な事を言い出したぞ………僕には、皆には普通に有る運のステータスが存在して無い。それにも関わらず勝負師が天職だと、どこの遊び人だ。勇者の仲間に相応しくないしサポートも出来そうに無い。
しかも、僕には皆に有る運のステータスが存在して無い
「だったら2番目は何だ?」
「………すまない。さっきは1番合っていると言ったが………それ以外は選べそうも無い。あぁ、その代わりと言ってはなんだが、サブクラスは3つから選べるぞ」
クラスは確定で勝負師か。果たして魔王と戦えるのだろうか?せめてサブクラスはまともな物が欲しい。
「何が有る?」
「これも珍しい物が多いぞ。今の時点で選べるのは商人と芸術家、家政婦だ。お金の稼げるサブクラスなんだぞ」
お疲れ様でした。僕の異世界放浪計画は終了しました。




