表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

「………ここは」

自称調律者が言う通りなら、4大国の何処かだよな。見た感じ王宮の中って感じだが…………


「お前、(くろ)か?」

「お兄ちゃん!!」

「うん?アッ君」


やはり3人共転移させられていたか、不幸中の幸いで一緒に居たみたいだな。僕にとってもだが………


「黒、お前もか」

確か、異世界の歩き方(チュートリアル)の記憶は無いんだよな。異世界の歩き方の記憶を無くすなら、最初からしなくても良いんじゃないかと思うんだが…………


さて、演技に自信は無いが頑張らせて貰おうかな。本当は今直ぐにでもステータスを確認したいんだがな。


「流、それに桃、桜姉(さくらねぇ)か?ここは何処だ?…………どう見ても生徒会室じゃないよな」

僕的には100点の演技だが果たしてどうだ?


「お兄ちゃん、私達も気付いたらここにいて何が何か分からないんだよ………助かるのかな?」

僕をお兄ちゃんと呼ぶのは白戸桃(しらともも)。1歳下の妹で、赤茶色のポニーテールが良く似合っている現時生徒会副会長。1年の秋時点で当選してしまう人気者だ。実際に告白された数も少なく無いだろう。


「アッ君は何か分かる?」

今のは1歳上の姉の白戸桜(しらとさくら)。桃と見た目はそっくりなのだが、目の色と髪型が違っている元生徒会長。こちらも妹以上に人気が有る、若干天然気味のところが良いらしい…………弟としては心配なのだが。


こうやって3人の名前を比べてみると僕だけキラキラ具合が目立つよな。両親よ、あなた方の良心を本当に疑うよ………せめて2人の容姿が有れば良かったのだが、僕だけは父親似?なのか全く似ていない。


「いや、分からないが…………ラノベ的には転移か?」

ここでも無難な答えを選べたはずだ。


「やっぱり、黒もそう思うか?」

そう言うコイツは、菊地流(きくちながれ)。趣味が似通っている小学校からの腐れ縁の悪友だ。流石に異世界に転移しても一緒になるとは思って無かったけどな。コイツが現生徒会長をしている。コイツさえ居なければ、僕が面倒くさい生徒会の書記をやらなくても済んだはずだ。


「他に誰かに会ったか?」


「まだ、アッ君以外は誰とも有ってないわよ」


「部屋にも鍵が掛かっているからな」

と言う事は、そろそろ来るかな。部外者になるだろう僕僕はどうするかな。テンプレなら王族、それも…………




「勇者の皆様、永らくお待たせ致しました。私は………」

固まっているのか?無理も無いだろうな、3人だと思っていたはずの勇者が4人居るんだからな。


「すいません。取り乱しました。私は4大国の1つ東のイストで第1王女をしております。イスト・ヴァイン=エリシア、エリーとお呼び下さい。これでも現第一王位継承者なんですよ。勇者様」

綺麗な姫だな。予想と違って僕と同じ黒髪なのが残念だ。ファンタジー、それも異世界の姫なら金髪がテンプレだろう。


しかし、調律者の時もだったが、言葉が普通に通じるのにも違和感を感じるな。


「「勇者?」」

まぁ、ラノベに慣れてない姉妹達は気になるところだろうな。逆に悪友の方は覚悟が出来てるみたいだ。


「はい。勇者様です。色々と分からない事が多く有ると思いますが、詳しいお話は王自らがなさるそうですので、申し訳ございませんが付いて来て下さいませんか?」


流石は年長者、桜姉が皆の意見を目で確認している。実際のところは付いていくしか選択肢が無いんだけどな。




「おぉ~!!よくぞ参った勇者達。ワシが4大国イストの王だ。ワシも、そなた達と同じ地球人だ。本名は織田博(おだひろし)と言う」


「「「「えっ!?」」」」

これは想定外だ。ラノベ設定に慣れる、慣れないの問題ではない。本気で驚いてしまった。


「驚くのも無理は無い。それは、おいおい説明させて貰う。差し支え無ければ、そなた達の名前を聞いても良いか?」


「あっ、はい。私は白戸桜と申します」


「白戸桃です」


「白戸黒」

僕の名前を聞いた瞬間…………一瞬だが、王と王妃?らしき人が驚いた顔をしていた。そんなに驚かなくても良いと思うんだがな。


「俺は菊地流と言います」


「改めて、よくぞ参った勇者達よ。ワシは、魔王を倒す為に地球から呼ばれた先代の12勇者の1人だ。18年前にワシらは魔王を封印したのだが、先日復活の兆候を感じた。恐らく遠く無い先に魔王が復活する………そなた達を召喚したのは魔王の再封印の為だ」

うん。期待した通りのなかなかのテンプレだ。


「わざわさ私達を召喚しなくても、その12勇者で封印すれば良いのでは?」

桜姉の言う事は、もっともだが………その質問は無駄だ。出来る事なら既にしているはずだ。無理だから新たに召喚しているのだろう。まぁ、ここは桜姉や流に任せて、僕は冷静に話を聞かせて貰おうか。


「勿論、ワシも出来るならそうしたいのだが、無理なのだ。封印には黄道12星座を継ぐ勇者の力が必要なのだ。18年前の戦いを生き残った勇者達は、ワシを残して既に地球に戻っておる。ワシは女王………当時の姫と恋に落ち、この異世界(ファンダルシア)に残ったのだ」


「勇者達は生きているのですよね。では、もう1度地球に戻った勇者達を呼び戻せば良かったのでは?」


「それは無理なのだ。人が次元を越えれるのは2度まで、地球に戻った者の再召喚は不可能なのだ。どうか頼む。勝手なお願いでは有るが、ワシらを……ファンダルシアを助けてはくれぬか。勿論、出来る限りの事はさせて頂く」

王、王妃らしき人、王女、そして兵士達が一斉に頭を下げてくる。


テンプレなのだが、異世界の住人は他力本願過ぎるな、少しは自分で何とかして欲しいものだ。


「私達に戦うのは無理ですね。直ぐにでも地球、日本に帰らせて下さい」


「今は出来ないのだ」


「何故ですか?先代の勇者は地球に戻っているんですよね」


「魔力が足りぬのだ。この世界に存在する人種は魔力が低い、MPが0の者が殆どなのだ。今回12勇者を召喚するのにも4大国の大魔術師級の魔導師が18年間蓄えた魔力を使っておる」


「「「18年!?」」」

おいおい、それは長すぎるぞ。


「じゃあ、私達は18年間は地球に帰れないのですか?」

家族だから分かるが、桜姉はかなり怒ってらっしゃるな…………


「それなのだが、魔王の魔力を使えば帰れる。以前も、魔王の魔力を使って帰還したのだ」


「少し、私達だけで考えさせて下さい」

王が本当の事を言っているかは分からないが、直ぐに地球に戻る為には魔王を封印しろって事か…………さて、3人はどうするのかな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ