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ぼく
窓を開けたら電線を跨いで見える空が灰色に染まっていて、思わず最低と呟いて、トースターにパンを投げ入れた。
その間に寝間着を投げ捨てて着替えたら冷たい水で顔を洗い流した。
ベッドの傍らに放っていたテレビのリモコンで電源を入れたらパンの焼けた音が聞こえた。
いつも起きるのはギリギリの時間そんな時間で出来ることなんてパンを焼いてなんか飲んで行くくらい。
準備は出来たし、テレビに表示された時刻が間に合うか間に合わないかの時間に変わったのを確認してから気怠い腕でリモコンを持ち上げた。
『今日はあなたにとって、特別な日になるでしょう』
ならないでしょう。
プツッと電源が切れた音を確認して玄関の扉を開けた。
『なりますよ』
振り返ると、確かにテレビは消えている。
頭を掻いてから、
「いや、ならないでしょう」
きっちり否定しておく。疲れてるかな。