プロローグ
アメリカ編を書くつもりでしたが、もう少しかかりそうなので、とりあえずはこの作品にします!
頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!
僕は生まれた時から地球上で、いや宇宙で最強の存在だったのかも知れない。
そんなことを、大学の入口で考えてしまうの流行りの中二病を患っているかもしれない。でも、人間は一度でも、楽をしてしまうと次も楽をしてしまうものだ。そのことを先月に嫌というほど味わった。
嫌な気分になってきたので、手に持っていた缶コーヒーを飲みほす。 ふー、と気分を鎮めていると肩を叩かれた。
「氷華ー、遅れるよ!」
これから講義だというのに楽しそうな顔が僕の周りをうろちょろしている。
「もう、そんな時間!?」
「ほらほら、早く早く!」
大学の友人である朝月光太に背中を押されながら、前へと歩みを進める。
視界の端にゴミ箱が見える。距離にしてざっと15メートル、届く距離だ。ゴミを投げたら朝月が怒るに違いないので、後ろへ回り込み、彼が見ていないうちにゴミ箱へと投げる。かなり高い弾道になってしまった。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
朝月の納得していない視線を受け流しながら、ちらっと俺の投げた空き缶を探す。高く上がった缶はゴミ箱を通り越して地面へと落下した。しかし、缶は落下した後にゴミ箱に向かってバウンドし、綺麗な弧を描いてゴミ箱へと入る。
ゴミ箱の近くで会話をしていた者は皆、不思議そうにゴミ箱を見つめていたが、すぐに話を再開していた。
「、、、やっぱりか」
「何か言った?」
朝月が不機嫌そうな視線をこちらに向けている。適当に扱われたのに腹が立っているらしいが、気にしない。
「いや、何も」
「ぜったい、嘘だ!」
朝月がガミガミ何かを言い出したので、何も聞かないように努める。すると、風の音一つ聞こえなくなってしまった。
不思議と口元が緩む。自分が何でもできるという喜びは自分を除く人類で未だに感じた者はいないだろう。
自分だけだと予測できる。そう—、僕は何でもできる。