始まりの日 2日目 ②
「頭の良い事?」
「あぁ、つまりだな!!!あんた自らが戦争をふっかければいんじゃね!?」
「・・・・貴方は何を言っているのかしら、理解に苦しむわ・・・」
これだから頭の回転が遅い王女様は困る。
「まあ聞けって!要は、両国の戦争を回避すれば、済むわけだ!
つまり、この二つの国が戦争出来ないような自体を起こせばいい。
ここまではいいか?」
返事はなかったが、このまま続ける事にする。
「だから、この二つの国にとってどちらからも脅威になる勢力
つまり第3の勢力を作れば良い、共通の強大な敵!
それはもう国家レベルで危険極まりないような感じで!
という事でお前の出番だよな!【傾国の姫】さん!」
「・・・・・・」
俺の完璧なる計略に言葉も無いのか、先ほどから沈黙を貫いている。
いちいち気にするような奴でもないので、まだまだ続ける事にする。
「まず、あんたの第1案通りに、アンダギサタの皇子とやらに会う。
イニトルタモベの軍の動きを知らせ、国境付近まで警戒網をしいてもらう。
で、国境付近で戦闘が起こる前にあんたが、圧倒的火力で両国の兵士を
【汚物は消毒ですわ!】なんて古語使いながら、両国に宣戦布告!!
これで立派な国家危険人物に昇格ってわけだ!」
といった感じで渾身のドヤ顔をしておいた。
まあ、その場しのぎの案ではあるが、
そこまでやっておいたら当面戦争は起きないだろう。
なにせ、【傾国】とやらは国一つ滅ぼす程の力を有しているというのだ。
確かに、気の量では恐ろしいものがあった。
あれだけあるのであれば、軍隊にすら一人で勝てるのではないだろうか。
後は巧みな話術で指輪の解除、即とんずらといった形をとろうと思う。
「・・・貴方はそれでいいの?」
当然だ。
と、表情で伝えておいた。
「・・・・いいわ。やりましょう、父はもう動き出してしまっている。
私抜きでも戦争を始める気でしょう。
貴方の言った通り、私は誰にも血を流させない戦いでは既に負けて
いるかもしれない。
でも、戦争の回避ではまだ負けていない。なら進むべき道は、
貴方の提示するこの道なのかもしれない。そう思いこむ事にするわ」
なんでもいいけど、そろそろイスからどいてくれないだろうか。
何故に俺が、地面でこいつがイスで俺が地面なんだ。
さっきから俺が完全に見下ろされる形で話が進んでいるのが気に食わない。
なんだろう一回殴ったほうがいいんだろうか。
「そうと決まれば早々に、アンダギサタに向かうとしましょう」
なし崩しの旅が始まった。