表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
dual  作者: T.D.W.
● 第一章 『両者』
11/12

始まりの日 2日目

「まぁ・・・・もういいよもう・・・どうせ巻き込まれてんだから・・・腹くくるさ。

 まず、この先どうすんだ?戦争の回避つったってもう国王さんは戦争の準備を始めて

 いるんだろう?始まっている事を回避するとなったらもう、頭である国王を潰すか、

 もしくは軍そのものの機能を停止させるような行動をとらないといけないと思うが?」



「言ったでしょう?少なくとも私は、この件に関して国民に血を流して欲しくない。

 いくら国の兵隊とは言えど我が国の民だわ」



恐らくこのゲロ男は、私の理の力を使い、軍を黙らせる為につまり力でねじ伏せろ

と言いたいのだろう。

が、その様な意見聞けるはずもない。

私が手に入れたこの力はその為のものじゃない。

戦に使われる為のものじゃないはずなのだ。だからこそ、私は国から・・・、



「なら、国王の方か?まぁその取り巻きも一緒にやらんといけんとは思うけど

 そっちの方がなんとなくだけど労力使わなさそうだよね」



「王も・・・父も・・やらないわ」



「・・・・あ?ちょっとまて。じゃあ他になにがあるっていうんだ?

 まさかとは思うが、誰も傷つけずに済む方法があるとか言わないだろうな?」



「昔に一度だけ、隣の国アンダギサタのパーティーに参加する機会があったの、

 その時にお会いした第一皇子のユアン皇子は、とても平和を愛し民を愛していたお方だった。

 ユアン皇子にイニトルタモベの軍事行動を伝え、国境付近に警戒線を敷いて貰えば

 一時的に戦争の始まりを抑える事が出来る。だからまずは国境を―――、」



「姫さんそれは馬鹿がする事だ。隣の国に軍事行動を教えるという事は、

 この国が戦争をしかけようとしているってのを教えに行くって事だよな?

 100年も続いた平和だけど、それ以上に長く戦争を続けていたんだ。

 両国のわだかまりだって完全に消えてるわけじゃねぇ。

 それを再燃させるいい燃料を、あんたは届けると?それこそ戦争の火種じゃ

 ねぇか。やめる事をお勧めするぜ!」



「でも!このままだと軍は、国境を越え、都市部から離れた集落を徐々に蹂躙する事になるわ。

 いくら隣の国と言えど民は民よ!そんな事許されるはずはない!

 ユアン皇子だって戦争は望まれないはず!お互い血を流さないように動けば

 戦争だって回避出来る!!」



「お会いした事が無いから、その皇子とやらがどれだけ平和主義者かわからんけどな、

 警戒線を引いた時点で、アンダギサタの軍には『イニトルタモベが攻めようとしている』

 って事が知られている訳だよ。あんたさっきいったよな?いくら兵隊と言えど民だと。

 涙が出そうなくらいのご高説で、その通りだよ。

 で、だ。あんたの言うその民が、その事実を知って

 はたして自分の心にだけ留めておくか?軍だけでもみ消せるのか?

 いいや無理だね。絶対国中に広がる。その広がりは大きくなって消せなくなるぞ。

 また始まる事になるさ、戦争が!」



「そんな事・・・・」



「いいか、気づけよ。あんたの戦いが『血を流させない事』なら親父さんが

 戦争の準備をした時点で負けてるんだよ。

 『多くの血を流さず戦争を止める』ならまだいけるかもしれない。

 『どんな手段を使ってでも戦争を止める』ならあんたの理次第で見込みはある。

 王を説得できずに、王都から離れている時点であんたは負けているんだ。

 あんた・・・”俺達”が勝つには選ばなきゃならないぞ。

 どするんだ、お姫様。あんたはこの国の民の為に、何を切り捨てるんだ?」


 

悔しい。

違うと叫びたい。

貴方はは間違っていると反論したい。

が、声が出てこない。

何も言い返せない。

私だって、頑張ってきのだ。

父が私の力を使って、隣の国を掌握しようと考えていると知った時から

幾度となく、反対した。

何度も何度も話をし、何度も何度も止めたのだ。

父からあの指輪をさせられそうになった時、私は絶望した。

初めから私の意見など聞いてはいなかったのだ。

逃げたつもりは無い、外へ出れば止めれる気がしたのだ。

この忌まわしい『傾国』の力で再び戦争が起こる事を。



答えは出てこない。



■■■■



「隊長、上級学校の方から知らせが届きました」



「知らせ・・・?あぁ、例の合格者の件ね。必要書類はこちらで全て準備しだい送ると

 伝えて無かったかしら」



「いえ・・・それが入隊手続きの件ではなく・・・その・・・入隊辞退願い届けが・・・」



「入隊の辞退届ねぇ・・・そんなの必要書類なんていらな・・・入隊辞退?今、入隊"辞退"

 と言ったのかしら?そんな事ありえるはず無いじゃない」



「はい・・・ですから直接学校の方へ出向きまして、事の詳細を訪ねると・・・これが」



「手紙?」



「はい、どうやら今回の入隊者の上級学校退学届らしく、その退学届と一緒に、

 辞退すると書かれていたようです。ただ中身の方はちょっと・・・」



「読みなさい」



「いや・・その・・・」



「いえ、私が読むわ。かしなさい・・・・離しなさい・・・ええい!!隊長命令よ!!

 よっこしなっさい・・・!!!・・・ったくもう・・・えっとなになに」





               退学願



   この度、私ごとでありますが、上級学校を辞めさせて頂く

   次第であります。

   退学理由ですか?

   そうですね・・・私から言える事は

   

  「あんなSっ気のありすぎる隊は嫌だ」

   

   これだけでございます・・・・。

   ではこれにて。



   ps 実技担当の人、あれは人ではありません、鬼です。




「フフフ・・・副隊長」



「はい・・・・」



「我が隊の活動で、私が必要とされているここ2週間の予定を言いなさい」



「・・・・・・・私が変わりに」



「あら、そんなつもりで言った訳ではないのに悪いわね」



「いえ・・・・」



「あとついでに、隊から2名程適当に人選をして頂戴、出立はそうね。明日にしましょう」



「・・・・やっぱり隊長自らが行く必要なんて無いんじゃ・・・」



「副隊長、私の持論は知っているわよね?」



「・・・・はい」



「私はね、自分で決定した事を曲げるつもりはないの。言ってみなさい副隊長。

 彼の入隊許可を最終決定したのは誰かしら?」



「隊長です・・・」



「実技の試験をしたのは誰かしら?」



「隊長です・・・」



「これから隊員となる初任者には、やっぱり隊の規律って教えるべきだと私は思うのよ」



「はい・・・」



「フフフ・・・腕がなるわ。どうやって躾てあげようかしら」



「隊長・・・・せっかくの綺麗なお顔が台無しになっています・・・・」





■■■■■  



「おいおい、超頭のいい事考えたぜ!!」



「頭の良い事?」



「あぁ、つまりだな!!!・・・・・・・・、」

 


彼の口から発せられた言葉はとても恐ろしい、提案だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ