第24話:スキルの進化
ゼンとの勝負から1週間。
店は相変わらず繁盛していた。
でも――最近、変化を感じていた。
「『調理の祝福』が、また変わった気がする……」
料理を作るたびに、新しい効果が発動する。
「これって、成長してるのか?」
ある日、料理を作っている最中――
突然、視界にメッセージが表示された。
【調理の祝福】がレベルアップしました。
現在のレベル:5
新しい能力が解放されました:
『料理創造』
頭の中でイメージした料理を、現実に再現できます。
ただし、食材と調理器具は必要です。
「料理創造……?」
これは、すごい能力だ。
試しに、頭の中で料理をイメージしてみる。
『ラザニア』
前世で食べた、イタリアンレストランのラザニア。
すると――
手が自然に動き出した。
パスタ生地を作り、ミートソースを作り、ベシャメルソースを作り――
層にして、オーブンで焼く。
「できた……」
完璧なラザニアが、目の前にあった。
「すごい……レシピを知らなくても作れる」
これは、革命的な能力だ。
「これで、色んな料理が作れる……」
ワクワクしてきた。
その日から、メニューを大幅に増やした。
パスタ料理、ピザ、グラタン――
前世で食べた料理を、次々と再現。
「店長、新メニュー多すぎだろ!」
トムさんが驚いている。
「でも、どれも美味いな……」
「ありがとうございます」
客足は、さらに増えた。
隣町からも、わざわざ食べに来る人が現れた。
「噂を聞いて来ました」
「この店の料理、本当に魔法の効果があるんですか?」
「はい。少しですけど」
「食べてみたいです!」
店は、朝から晩まで満席。
「忙しいけど、楽しいな」
リナも嬉しそうだ。
「ケント、私も料理覚えたい」
「おお、いいね。じゃあ、教えるよ」
「やった!」
こうして、リナへの料理指導も始まった。
でも――
ある日、異変が起きた。
料理を作っている最中、突然めまいがした。
「うわっ……」
「ケント!?」
リナが駆け寄ってくる。
「大丈夫……ちょっと疲れただけ」
「無理しすぎだよ!休んで!」
「でも、お客さんが……」
「いいから!」
リナに無理やり休憩させられた。
「最近、働きすぎだよ」
「そうかな……」
「そうだよ。毎日朝から晩まで、休みなしで」
「……」
確かに、最近は休んでいない。
「たまには、休まないとね」
「そうだよ。明日は定休日にしよう」
「でも……」
「ダメ!ケントの体が心配なの!」
リナの真剣な顔を見て、俺は頷いた。
「分かった。明日は休む」
「よかった……」
翌日、久しぶりの休日。
俺とリナは、村の近くの森を散歩した。
「久しぶりに、ゆっくりできるね」
「ああ。たまには、こういうのもいいな」
「ケント、あのね」
「ん?」
「私、ケントと一緒にいられて、本当に幸せ」
リナが照れながら言った。
「私、昔は一人ぼっちだった」
「……」
「でも、ケントと出会って、居場所ができた」
「リナ……」
「だから、ありがとう」
「こちらこそ。リナがいてくれて、助かってる」
俺はリナの頭を撫でた。
「これからも、一緒に頑張ろうな」
「うん!」
二人で、穏やかな時間を過ごした。
ーー第26話に続く




