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第22話:氷竜王の試練

翌日。

歓迎宴の準備が始まった。

「こちらが、竜国王宮の厨房です」

案内されたのは、王都の厨房に負けないくらい立派な場所だった。

「使ってください」

「ありがとうございます」

厨房を見回す。

「さて、何を作ろう……」

竜国の特産品を調べると――

「雪山の山羊肉、氷魚、雪茸……」

寒い地域ならではの食材が揃っている。

「これは……」

アイデアが浮かんだ。

「よし、これで行こう」

調理を始める。

まずは、山羊肉のロースト。

臭みを取るために、ハーブと赤ワインでマリネ。

じっくり火を通して、柔らかく仕上げる。

次に、氷魚のカルパッチョ。

この世界特有の魚で、身が透明で美しい。

薄く切って、レモンとオリーブオイルで味付け。

そして――雪茸のスープ。

雪茸は、雪の中で育つキノコ。

濃厚な出汁が出る。

野菜と一緒に煮込んで、優しい味に仕上げる。

全ての料理に、『調理の祝福』を込める――

【調理の祝福】が発動しました。

料理に『体力回復・大』『寒冷耐性・中』『心の癒し・中』『故郷の味・微』が付与されました。

「寒冷耐性?故郷の味?」

また新しい効果だ。

「この国に合わせた効果が出るのか……」

『調理の祝福』は、本当に奥が深い。


夜、歓迎宴。

大広間には、竜国の重臣たちが集まっていた。

そして、中央にはフロスト王。

「では、料理を運べ」

俺の料理が、次々と運ばれる。

まずは、氷魚のカルパッチョ。

「ほう……美しい」

「透明な魚……まるで氷のようだ」

重臣たちが興味深そうに見ている。

一口食べると――

「――!」

全員が驚いた。

「なんだ、この爽やかさ!」

「氷魚の甘みが、こんなにも引き立つとは……!」

「それに――体が温まる……」

次に、雪茸のスープ。

「これは……」

フロスト王が、スープを一口飲んだ。

「……!」

王の目が、見開かれた。

「この味……」

「どうされましたか?」

「……母上が作ってくれた、スープの味だ」

「え……」

「幼い頃、母上がよく作ってくれた……」

フロスト王の目に、涙が浮かんだ。

「懐かしい……温かい……」

「王……」

重臣たちも、感動していた。

「この料理には、魔法がかかっているのか……?」

「思い出が蘇る……」

「心が、満たされる……」

そして、最後の山羊肉のロースト。

「これは……完璧だ」

フロスト王が言った。

「柔らかく、臭みもない。そして、この深い味わい……」

「ありがとうございます」

「ケント」

フロスト王は立ち上がった。

「お前の料理、確かに受け取った」

「……」

「これほどの料理、私は初めて食べた」

フロスト王は微笑んだ。

「お前を、竜国の名誉料理人に任命する」

「え……!」

「そして、リナエルの件――許可しよう」

「本当ですか!」

「ああ。リナエルは、お前のもとで幸せそうだ」

フロスト王は続けた。

「無理に連れ戻すよりも、彼女の意志を尊重する」

「ありがとうございます……!」

「ただし――」

「はい?」

「年に一度、竜国に来て、料理を作ってくれ」

「もちろんです!喜んで!」

こうして、俺は竜国での試練をクリアした。

そして――リナは、村に残ることができるようになった。


ーー第23話に続く

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