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第21話:竜国への旅立ち

1週間が、あっという間に過ぎた。

出発の日。

「ケント、気をつけてな」

村長さんが見送ってくれた。

「はい。必ず戻ってきます」

「お前なら大丈夫じゃ。信じておる」

トムさんも来てくれた。

「ケント、竜国でも暴れてこいよ!」

「暴れはしませんけど、頑張ります」

「期待してるぞ!」

そして――リナ。

「ケント……」

「どうした?」

「本当に、ありがとう」

リナは、深々と頭を下げた。

「私のために、こんなことまでしてくれて……」

「いいって。俺が勝手にやってることだから」

「でも……」

「リナ。お前は、店をしっかり守っててくれ」

「え?」

「俺が帰ってくるまで、店番を頼む」

「……うん!任せて!」

リナは笑顔になった。

「じゃあ、行ってくるよ」

「いってらっしゃい!」

ドラグが用意した馬車に乗り込む。

「では、出発する」

馬車が動き出した。

村が、だんだん遠ざかっていく。

「また、帰ってくるからな……」


竜国まで、馬車で10日の旅。

道中、ドラグが色々と話してくれた。

「竜国は、山岳地帯にある」

「年中雪が降る、寒い国だ」

「そうなんですか」

「ああ。だが、料理は美味い。肉料理が中心だ」

「肉料理……」

「お前には、新王の歓迎宴で料理を作ってもらう」

ドラグは続けた。

「新王は、まだ若い。18歳だ」

「18歳……!」

「ああ。政変で前王が倒れ、急遽即位した」

「そうなんですか……」

「彼は、リナエル姫の従兄だ。幼い頃は、よく遊んでいた」

「リナの従兄……」

「良い王だ。国を立て直すために、日夜努力している」

ドラグの目は、尊敬の色を浮かべていた。

「お前の料理で、王を喜ばせてくれ」

「はい、頑張ります」


10日後。

竜国の国境に到着した。

「見えたぞ」

ドラグが指さす。

そこには――雪に覆われた、巨大な山々。

その山の中腹に、立派な城が建っていた。

「あれが、竜国王城だ」

「すごい……」

「竜族は、高地を好む。空気が薄いが、慣れれば問題ない」

馬車は山道を登っていく。

気温が、どんどん下がっていく。

「寒いな……」

「竜国へようこそ」

ドラグが笑った。

城に到着すると、多くの竜人族が出迎えてくれた。

「ドラグ隊長、お帰りなさい」

「ああ。彼がケントだ。新王にお会いしたい」

「かしこまりました」

俺は、城の中へ案内された。

廊下を歩きながら、周囲を見回す。

「豪華だな……」

石造りの城だが、装飾が美しい。

竜の彫刻、氷の結晶をモチーフにした装飾――

「こちらです」

大きな扉の前で、止まった。

「新王がお待ちです」

扉が開く。

そこには――

玉座に座る、若い竜人族の男性。

銀髪、赤い瞳、立派な角。

「よく来た、ケント」

低く、威厳のある声。

「私が、竜国新王フロストだ」

「ケントと申します。お会いできて光栄です」

「噂は聞いている。王国料理祭の優勝者だと」

「はい……」

「私は、お前の料理に興味がある」

フロスト王は立ち上がった。

「明日、歓迎宴を開く。そこで、お前の料理を披露してもらう」

「承知しました」

「期待しているぞ」

フロスト王は微笑んだ。

「リナエルのことも、聞いている。あの子を守ってくれて、感謝する」

「いえ、リナは俺の大切な仲間ですから」

「良い関係だな」

フロスト王は頷いた。

「お前が私を満足させられたら、リナエルの件、許可しよう」

「ありがとうございます」

「では、明日を楽しみにしている」


ーー第22話に続く

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