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第19話:帰還、そして新たな日常

王都を出発して5日。

俺たちは、懐かしい村の入り口に立っていた。

「着いた……」

「帰ってきたね、ケント」

リナが嬉しそうに笑う。

村は、出発した時と変わらず、静かで平和だった。

「おーい!ケントが帰ってきたぞー!」

見張りの村人が叫ぶ。

すると――

「ケント!!」

「リナちゃん!!」

村人たちが、次々と集まってきた。

「よく帰ってきた!」

「王国料理祭、優勝したんだって!?」

「建国祭の晩餐会も大成功だったらしいな!」

「すごいぞ、ケント!」

村中が、歓迎ムードだった。

「みんな……」

胸が熱くなる。

「ただいま、戻りました」

「おかえり、ケント」

村長さんが、優しく笑った。

「よく頑張ったな」

「ありがとうございます」

「さあ、今夜は祝宴じゃ!村をあげて、お前たちの帰還を祝おう!」

「村長さん……」

その夜、村の広場で盛大な宴会が開かれた。

「ケント、王都はどうだった?」

「料理祭、めちゃくちゃ緊張したんじゃないか?」

「国王陛下に会ったんだって?」

村人たちが、次々と質問してくる。

俺は一つ一つ、丁寧に答えた。

料理祭のこと。

レオンさんとの戦い。

建国祭の晩餐会。

「すごいな……俺たちの村から、そんな英雄が出るなんて」

「でも、ケントはやっぱりケントだな」

「ああ、全然偉ぶってない」

「だから好きなんだよな」

温かい言葉が、心に染みた。

「ありがとう、みんな」

「ケント、明日からまた店、開くのか?」

トムさんが聞いてきた。

「もちろんです。明日から、また営業します」

「よっしゃ!じゃあ、また毎日通うぞ!」

「お待ちしてます」

こうして、俺は村に帰ってきた。

王都での華々しい日々も楽しかったけど――

やっぱり、ここが一番落ち着く。


翌日。

カフェ・ミルフォードを再開した。

「久しぶりだな、この厨房」

リナも嬉しそうだ。

「掃除もしておいたから、すぐに使えるよ」

「ありがとう、リナ」

開店準備を整えて――

「さあ、開店だ」

扉を開けると――

「おはよう、ケント!」

トムさんが一番乗りだった。

「早いですね」

「当然だろ!お前の料理、1ヶ月以上食べてないんだぞ」

「じゃあ、特別サービスしますね」

「まじか!やった!」

次々とお客さんが来る。

冒険者、村人、木こりたち――

みんな、笑顔で迎えてくれた。

「やっぱり、ここが俺の居場所だな」

リナが笑う。

「うん、ここが一番だね」

平和な日常が、戻ってきた。


でも――その平和は、すぐに破られることになる。

開店から3日後。

店に、見慣れない客が入ってきた。

「いらっしゃいませ」

「……」

黒いフードを被った人物。

顔は見えないが、ただならぬ雰囲気を感じる。

「ご注文は?」

「……お前が、ケントか」

低い声。

男性だろうか。

「はい、そうですが」

「噂は聞いている。王国料理祭の優勝者だと」

「……はい」

「お前の料理、食べさせてもらおう」

「分かりました。何がいいですか?」

「お前が一番自信のある料理を」

「承知しました」

厨房に戻って、特製ハンバーグを作る。

『調理の祝福』を込めて――

完成した料理を提供する。

「お待たせしました」

「……」

男性は無言で、ハンバーグを口に運んだ。

一口。

「――」

動きが止まった。

「どうですか?」

「……なるほど。確かに、本物だ」

男性はフードを外した。

現れたのは――30代くらいの、鋭い目つきの男性。

「俺の名はゼン。『美食結社』の一員だ」

「美食結社……?」

聞いたことのない組織だ。

「世界中の美食を追求する、秘密組織だ」

ゼンは続けた。

「お前の料理、合格だ」

「合格……?」

「ああ。お前を、美食結社に招待する」

「え?」

突然の申し出に、戸惑った。

「美食結社には、世界最高峰の料理人が集まっている」

「お前なら、資格がある」

「でも、俺は……」

「断るのか?」

ゼンの目が、鋭くなった。

「お前の才能を、こんな辺境の村で腐らせるのか?」

「それは……」

「考えておけ。俺は3日後、また来る」

そう言い残して、ゼンは去っていった。

「美食結社……」

また、新たな展開が始まろうとしていた。


ーー第20話に続く

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