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第1話:スキル『調理の祝福』の正体

「よう来なさった。わしはこの村の村長、グレンというもんじゃ」

村長さんは優しそうな笑顔で、俺を村に案内してくれた。

ここは「ミルフォード村」という、王都から遠く離れた辺境の小さな村らしい。

人口は200人ほど。魔物もほとんど現れない、平和な場所だそうだ。

「それで、お主は記憶を失っておると?」

「はい……気づいたら、あの草原にいて」

とりあえず記憶喪失ということにした。異世界から来たなんて言っても信じてもらえないだろう。

「そうか……まあ、困ったのう」

村長さんは困った顔をした。

この世界では、身分証明がないと色々と不便らしい。でも、辺境の村だから、そこまで厳しくないとのこと。

「とりあえず、しばらくこの村におればええ。仕事は……何かできることはあるか?」

「料理なら、少しできます」

俺がそう答えると、村長さんの目が輝いた。

「料理か!それはええ!実はのう、この村には食堂も酒場もないんじゃ。皆、自分の家で食事しとる」

「そうなんですか」

「ああ。もし良ければ、村に小さな食堂でも開いてみんか?古い建物があるから、それを使っていい。家賃はいらん。その代わり、村人に美味しい料理を食べさせてやってくれ」

「本当ですか!?」

これは願ってもないチャンスだ。

村長さんに案内されたのは、村の中心にある小さな木造の建物だった。

元は雑貨屋だったらしいが、店主が引退してから空き家になっていたという。

「中は少し片付けが必要じゃが、使えるはずじゃ」

扉を開けると、確かに埃だらけだったが、構造はしっかりしている。

広さは15坪くらい。テーブルを5つくらい置けそうだ。

「ここで、カフェを……」

想像しただけで、ワクワクしてきた。

前世では叶わなかった夢。

自分の店を持って、お客さんに料理を提供する。

「よし、やろう」

その日から、俺の準備が始まった。


3日後

掃除と修繕を終えて、ようやく店らしくなってきた。

村の大工さんに手伝ってもらって、テーブルと椅子も作った。

キッチンは薪を使う旧式だが、これはこれで味があっていい。

「さて、試しに何か作ってみるか」

村長さんから分けてもらった食材を使って、まずは簡単なものから。

「オムレツでも作ろう」

卵、塩、バター。

シンプルだけど、基本の料理だ。

フライパンに火をかけて、バターを溶かす。

卵を溶いて、塩で味付け。

そして――

「あれ?」

卵をフライパンに流し込んだ瞬間、何かが起こった。

卵が、淡く金色に光った。

「なんだこれ……」

驚いていると、視界の端にメッセージが表示された。

【調理の祝福】が発動しました。

料理に『体力回復・小』の効果が付与されました。

「マジか!?」

これが『調理の祝福』の効果か。

料理に魔法効果を付与するスキル。

「これって、もしかして……」

オムレツを完成させて、一口食べてみる。

「うまい!」

味は普通に美味しい。いや、むしろ前世で作ってた時より美味しい気がする。

そして――

「体が、軽くなった……?」

確かに、疲れが取れていく感覚がある。

「これは……すごいスキルかもしれない」

普通の料理に、回復効果を付与できる。

この世界では、回復ポーションは高価らしい。

でも、俺の料理なら、安く提供できる。

「よし、明日オープンしよう」

こうして、俺の異世界カフェが開店することになった。


ーー第2話に続く

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