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第15話:最終決戦!究極のデザート

決勝前夜。

俺は一人、部屋で考え込んでいた。

「デザート……何を作ろう」

第3ラウンドのテーマは『デザート』そして『自由』。

つまり、どんなデザートを作っても構わない。

「自由だからこそ、難しい……」

ノックの音がした。

「ケント、入っていい?」

リナの声だ。

「ああ、どうぞ」

リナが入ってきて、隣に座った。

「悩んでる?」

「うん。最後の料理、何を作るか……」

「ケントなら、きっと大丈夫だよ」

「ありがとう。でも――」

俺は正直に言った。

「レオンさん、すごく強いんだ。技術も、経験も、俺よりずっと上」

「でも、ケントの料理には、心がこもってる」

リナは真剣な目で言った。

「今日のハンバーグ、私も食べたかった。みんな、涙を流してたもん」

「……」

「ケントの料理は、人を幸せにする。それが、一番大事なことだよ」

「リナ……」

「だから、自信を持って。ケントらしい料理を作れば、絶対に大丈夫」

リナの言葉が、心に響いた。

「ありがとう、リナ」

「えへへ、どういたしまして」

リナが出て行った後、俺はもう一度考えた。

「俺らしいデザート……」

そして――閃いた。

「そうだ、あれを作ろう」

心が決まった。


料理祭、最終ラウンド。

会場は、これまで以上の熱気に包まれていた。

観客席は満席。

王族、貴族、市民たち――誰もが、この最終決戦を見守っている。

「さあ、いよいよ最終ラウンドだ!」

運営委員長が高らかに宣言した。

「決勝に残ったのは、レオン・ヴァレンティーノ、ケント、マルコの3名!」

拍手が起こる。

「テーマは『デザート』そして『自由』!」

「制限時間は2時間!」

「さあ――最後の戦いを始めよう!開始!」

ゴングが鳴り響いた。


俺は迷わず、食材を集めた。

「作るのは、フレンチトースト」

そう――リナが初めて店に来た日、俺が作ったあの料理。

シンプルだけど、心が温まる。

「これが、俺の答えだ」

卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンス。

パンを液に浸して、じっくり染み込ませる。

そして――バターで焼く。

弱火でゆっくり、じっくりと。

表面がきつね色になるまで。

次に、カスタードソースを作る。

卵黄、砂糖、牛乳、バニラビーンズ。

丁寧に混ぜて、とろりとしたソースに仕上げる。

そして――盛り付け。

フレンチトーストを皿に置き、カスタードソースをかける。

粉砂糖を振って、ミントの葉を飾る。

最後に――俺は目を閉じて、想いを込めた。

『リナが笑顔になったあの日』

『村のみんなが喜んでくれた日々』

『母さんと一緒に料理を作った記憶』

全ての想いを、この料理に込める。

すると――

『調理の祝福』が、かつてないほど強く発動した。

【調理の祝福】が極大発動しました!

料理に『体力回復・極大』『心の癒し・極大』『幸福感・大』『思い出・大』『愛情・中』が付与されました。

「愛情……」

新しい効果が、追加された。

料理に込めた愛情が、そのまま効果になった。

「これが、俺の全力だ」


一方――

レオンさんは、芸術作品のようなデザートを作っていた。

「クレーム・ブリュレのミルフィーユ仕立て」

完璧な技術。

美しい盛り付け。

さすが、宮廷料理人だ。

マルコさんも、必死に調理している。

「チョコレートケーキ、ベリーソース添え」

豪華で、見栄えのする料理だ。

3人とも、全力を尽くしている。

「時間です!調理終了!」

ゴングが鳴った。


審査の時間。

まずはマルコさんの料理から。

「チョコレートケーキです」

濃厚で、美味しそうだ。

審査員たちは一口食べて、満足そうに頷いた。

「うむ、濃厚で美味だ」

「ベリーソースとの相性も良い」

次に、レオンさんの料理。

「クレーム・ブリュレのミルフィーユです」

その瞬間、会場がどよめいた。

あまりにも美しい。

まるで、宝石のような料理。

審査員たちは、息を呑んで見つめた。

「これは……芸術だ……」

一口食べた瞬間――

「――!!」

全員が、言葉を失った。

「信じられない……こんな美味しいデザート、生まれて初めて……」

「パリパリのカラメルと、とろけるクリームが完璧に調和している……」

「これぞ、プロフェッショナルの技だ……」

レオンさんの料理は、圧倒的だった。

「さすが……」

俺も、心の中で認めざるを得なかった。

そして――俺の番。

「フレンチトーストです」

「……フレンチトースト?」

審査員たちが、戸惑った。

「最終ラウンドで、フレンチトーストか……」

「シンプルすぎないか?」

でも――第二王子が言った。

「待て。この青年の料理は、いつもシンプルだ。しかし、その裏には深い想いがある」

「……」

「食べてみよう」

審査員たちは、フォークを手に取った。

一口。

そして――

「――!!!」

今度は、全員が涙を流した。

「なんだ……これは……」

「温かい……心が、温かい……」

「懐かしい……幸せな記憶が蘇る……」

「母の愛を感じる……家族の温もりを感じる……」

一人の審査員が、声を震わせた。

「私は……孤児だった。家族の愛を知らずに育った」

「でも、この料理を食べて……初めて分かった気がする」

「愛情とは、こういうものなんだと……」

会場が、静まり返った。

そして――

第二王子が立ち上がった。

「ケント。お前の料理は……料理を超えている」

「……」

「これは、魂の料理だ」

第二王子の目にも、涙が光っていた。

「お前の料理には、全ての想いが込められている。それが、人の心を動かす」

「殿下……」

「素晴らしい。本当に、素晴らしい料理だ」

会場が、大きな拍手に包まれた。


そして――結果発表。

「審査員の協議が終了した」

運営委員長が登壇する。

会場が、息を呑む。

「今年の料理祭は、史上最高レベルの戦いだった」

「3名とも、素晴らしい料理を披露してくれた」

「しかし――優勝者は一人だけだ」

「……」

「第3位――マルコ!」

「くっ……」

マルコさんは悔しそうだったが、堂々としていた。

「そして――」

俺とレオンさんが、目を合わせた。

「第2位――」

心臓が激しく鳴る。

「レオン・ヴァレンティーノ!」

「――!」

会場がどよめいた。

「まさか……」

「レオンさんが2位……?」

「ということは――」

運営委員長が、高らかに宣言した。

「第50回王国料理祭、優勝者は――」

「ケント!!」

「――!!!」

会場が、爆発的な拍手と歓声に包まれた。

「やった……やったぞ……!」

「ケント!!」

リナが客席で飛び跳ねている。

「やったわね、ケント!」

セシリアさんも、涙を流して喜んでくれている。

「お前、やりやがったな……」

レイナさんも、誇らしげに笑っている。

レオンさんが、近づいてきた。

「おめでとう、ケント君」

「レオンさん……」

「君の勝ちだ。完璧に、な」

レオンさんは微笑んだ。

「君の料理は、技術を超えている。心で作られた、本物の料理だ」

「ありがとうございます……」

「これからも、その心を大切にするといい」

レオンさんは、俺の肩を叩いた。

「いつか、また勝負しよう」

「はい、必ず」


表彰式。

第二王子から、黄金の料理勺を授与された。

「ケント。お前は、この国の宝だ」

「恐れ多いです……」

「いや、本当だ。お前の料理は、人を幸せにする」

第二王子は真剣な目で言った。

「これからも、その料理で多くの人を笑顔にしてほしい」

「はい。必ず」

会場が、再び大きな拍手に包まれた。

こうして、第50回王国料理祭は幕を閉じた。

そして――俺の名前は、王国中に知れ渡った。

『辺境の村から来た、奇跡の料理人』

『心で作る料理の天才』

様々な称号が、俺につけられた。

でも――俺はただ、これからも料理を作り続けるだけだ。

大切な人たちのために。


ーー第16話に続く

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