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私立令嬢塾~おっさんが講師の令嬢塾、やめようと思ったが、何やかんやあって少し続けてみようと思う平民の娘の話

作者: 山田 勝

「皆様、ごきげんよう」


「「「「先生ごきげんよう」」」


「皆様、今日は特別講師、トーマス様をお呼びしました。令嬢言葉を教えて頂きますわ」


「あ~、なんやねん。ワレ、なにしろいうねん」


「皆様、これは訳して、『まあ、なんですの?私に何をして頂きたいの?』ですわ」


「「「まあ、なんですの?私に何をして頂きたいの?」」」


「最近の研究ではおっさんの話す事は令嬢に近いとのことです」


「あああ?われ、いちびっておるんか?」


「まあ、貴女、私を軽く見ているのではなくって?」


「「「「まあ、貴女、私を軽く見ているのではなくって?」」」



 ・・・何か違うと思う。私はサリア、王都靴流通ギルドの娘。

 行儀作法を学べと令嬢塾に入れられたわ。


「では、皆様、扇でビシッの決めポースの練習です。重さ3キロの扇で練習ですわ」


「「「「はい」」」


「次は令嬢チョップ!」


「「「「はい」」」」


「次は令嬢走り!スカートの裾を持ち10キロですわ!」


「「「はい」」」


 しかし、こんな中でも落ちこぼれはいる。


「オ、オラ、追いつけないだ!」

「ミーシャ様、私の肩におつかまり下さいませ」

「いつもすまないだ」


 ミーシャ様、王都の土木商会の令嬢だ。

 2人一組の姉妹制を取っている。


 こんなことをやって何になるのかしら。

 塾長は自称人外のローズ夫人だ。薔薇の妖精を自称している。


「ホ~ホホホホホホ、皆様、令嬢は心、心ですわ。心こそ大事ですわ」


 年齢は不詳、というか誰も聞く勇気はない。


 そんな時、合同お茶会のお誘いがきたわ。貴族学園の淑女科ですわ。


 何でも貴公子も来るそうだ。


「「「キャア!やったわ!」」」


 だけど、ローズ夫人や講師の方々は来られないと言う。


「貴女たちだけで行きなさい。これも令嬢道よ」


「「「はい」」」


 皆、最高のドレスを用意して精一杯おめかしして行った。


 そしたら・・・



「今日はお招き頂いて有難うございますわ。私、代表のサリアと申します」


「あら、令嬢塾ね。注意事項よ。この茶器はカップ一つメイドの一月分のお給金の値段ですからご注意下さいね」


 挨拶を返してくれない。


「プゥ、まあ、お嬢様、ドレス、間違ってお婆様のドレスを着てらっしゃいますわ」

「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」


「そこのメイド、お茶を入れて下さる。本当に気が利きませんわね。あら、令嬢塾の方?ごめんなさい。私のレディースメイドよりも粗末なドレスでしたから」

「「「プゥ~クスクスクスクス~~」」」


 嘲笑の的になったわ。それでも・・・・皆は我慢した。貴公子が来るからだ。


 しかし、来たのは令嬢たちの婚約者だ。


「皆様、これが私の婚約者のロバーツですわ」

「・・・フウ、ミレーヌ私がどれだけ婚約者に恵まれているかわかったよ」


 一気に白けた。私達は当て馬。帰ろうと思ったらミーシャ様が標的にされた。


「まあ、ここに庭師の方がいますわ。お間違いでなくて?」

「オラ、ミーシャだ。令嬢塾の者だぁ?」


「まあ、そうですの。令嬢・・・プゥ、ごめんなさい。間違えましたわ・・」



 何だが、腹が立った。そりゃ、令嬢塾はおかしいと思うが他人に言われると腹が立つ。


 学んだ事を思い出せ。こう言った時は・・・おっさん言葉・・・


「あああ?われ、いちびっておるんか?」


 しまった。翻訳しなかった。本当は

『まあ、貴女たち、私達を軽く見ているのではなくって?』


 と言いたかったのだが、するとその令嬢は硬直した。

「ヒィ、お父様に・・・も叱られた事なかったのに・・グスン、グスン」

「モラハラ・・いえ、パワハラ・・・」


 そうか、この令嬢たちは温室育ちで誰からも厳しい言葉を投げかけられたことなかったのね。


「皆様、帰りましょう。ほら、ミーシャ行くよ」

「んだ。んだ。白粉塗った若ババだ」

「言えてる」


 その時、腕を捕まれた。


「君、ミレーヌを侮辱したな。ただで返す訳にはいかない」


 この令嬢の婚約者のようだ。


「まあ、どうするのかしら?」

「フ、しれたこと、ミレーヌの靴にキスをギュアアアアーー」


 話している最中に令嬢チョップを首筋に放った。

 私は5人家族、12歳くらいまでガチで男兄弟と喧嘩をしていたのだ。

 重さ3キロの扇の素振りが役に立った。


「いたい、いたい、首が、何か曲がっているぞ・・」

「あああ~ん。兄ちゃん。魚くってへんのか?」

 やだ、また、おっさん言葉が出てきた。


 扇をビシィ!と決めポーズを取って。


「ワレ、チンチンついてるんか?男なら悲鳴上げるなや」


 もう、少しも翻訳する気にならなくなった。


 その時、高笑いが聞こえた。

 これはローズ夫人だ。


【ホ~ホホホホホ、サリア見事でしてよ】

 何故かトーマス様も後ろにいた。


「王妹殿下!」

「・・・どうしてここに」


【淑女科気をつけですわ!】


 ローズ夫人が扇を振ると、令嬢と婚約者は頭だけ残して地面まで埋まった。魔法だわ。本物の貴族のようだ。


「ヒィ、グレース王妹殿下・・」

「やめて下さいドレスが」

「謝罪します。謝罪します」


「罰を受けなさい。トーマス様、よろしくですわ」

「ああ~ん。これが生意気なガキか?」


 トーマス様は令嬢と婚約者たちに・・・


 プゥゥウウウウウウウーーーー


 とお屁をした。


「クセエエエー」

「死ぬーーーー」


「あああ~ん、ニンニクじゃー!ボケ」


「オ~ホホホホホホ!」


「皆様、帰りましてよ」

「「「「はい」」」


 私達は帰った。


 令嬢は心、分かったような分からないような不思議な気分だ。

 もう少しいようと思ったら。


「オウ、オウ、ワレ、どこの者だ!」


「「「まあ、まあ、貴方様はどこの家門の方ですか?」」」


 トーマス様は常勤講師になっていた。


最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
信じられない話です。お嬢様を嘲笑したような面白い話です。この物語での表現方法も気に入っています。
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